表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/54

第43話 風穴

 その地は巨大な風穴であった。

 俺が大字と呼ぶ侍武者の案内で来たそこは城の中庭。

 そこに結界が張られ中の餓鬼を押しとどめている。

 その行く先は城の真下。斜めに伸びている。


「光輪!」


 俺は喚きの姿で光臨を結界の中で炸裂させると餓鬼が消え失せる。


「なんという力!」


 驚きの声が結界を張っていた術士の喉から漏れる。


「この程度の力。神を食らった鬼神美味様の借り物にすぎません。さあ、先へ」


 どよめきの声が聞こえるが俺は無視して進む。

 結界に触れるが問題ない。鏡も無事だ。

 それほど強力なものではない。

 更にどよめきが起こる。


「あないを。臆しましたか? 鬼とはいえ女人を先に立たせるとは何事です」


 神妙な面持ちで顔を見合わせる術士達。

 そこで一歩を踏み出したのは先の侍の一人、大字だ。


「ならば某が。術士達は更なる結界を。某が先導いたす」


ーーー


 中は広い。鬼の俺でも通れる大きさだ。

 大字を先頭に俺が続き後ろに術士が二人。

 餓鬼への備えではないな。俺への警戒だろう。

 そして大字が話しかけて来た。


「喚き殿。先程美味殿が神を食らったと申したか?」

「いかにも」

「ならば此度の大事は無関係とも言えますまい」

「それは?」

「今回の件は要である神が居なくなったことに起因するもの。それによって黄泉の蓋が軽くなったと申せばわかり申すか?」

「わかります。ではこの道は黄泉への道だと?」

「その通り。これを守護するための城であり、我々でもありもうした。それの抑えが効かなくなった。大事の規模は我々の想定以上。喚き殿に治められると?」

「勿論。神が如き鬼神の力を借り受けた私にこの程度の大事は小事。すぐにでも片付けましょう」


ーーー


 辿り着いたそこには更に深い縦穴が待ち構えていた。

 それは松明で囲われその穴の上に何かの祭壇でもあったのだろう。

 それを支えていたであろう床の残骸だけが残っている。


「さて、ここが終点で御座る。喚き殿」

 

 俺が振り合えると縦穴ではなく出口に陣取る大字と術士達。


「かような危険な鬼。ここから出すわけにもいかぬ。心中仕る」


 ほう。まさかここまで肝が据わっているとは驚きだ。


 俺は光輪で目くらましをすると鏡を割り喚きを影から呼び出す。


「なんと! 新たに鬼を呼び出すとは!」


「俺は大餓だ。俺に食われに来たとは殊勝な人間だ。最後に残す言葉はあるか?」


「ない。それはもう残してきた。存分に殺し合おうぞ鬼よ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ