第30話 光輪
「ギャアアアア!!!」
喚きの喚き声だ。俺の姿を取ってはいるが。
「喚きサマ! 持っていました!」
俺の顔と声でそれはキツスギル。
案の定衾に憑いていた鬼が正体を現し襲い掛かっていたようだ。
俺と同じ赤鬼で金棒だ。趣味が良いな。
衾は瀕死ではないが結構な傷を負っている。
美味と嘆きは軽傷だ。
「ハァ!? アンタが隠し玉か!? 歯応えはあるんだろうな!」
吠える吠える。
喚きの言葉通り俺は鏡で喚きの姿だ。
やはり見た目にも気を使うべきか。
この姿だとどいつもこいつもぺらぺらと話し出す。
「どう見ても神が討てるとは思えねぇな。誑し込んだのかい? それなら俺もご相伴に肖りたいところだぜぇ?」
「黙りなさい下郎。私の下僕に恥をかかせてこのまま帰れるとは思わないことです」
俺の金棒、いや奴には喚きの姿から繰り出される鉄扇を受け止める。
「やるじゃねぇか。俺の所に来ないか喚きサマ。男も人間もよりどりみどりだぜぇ。鬼の天国を味合わせてやるぜ!」
「その天国では神の訃報でも知らせているのですか? 耳が早いようですが」
「なんだよ。余裕があるじゃねぇか。だったらコイツだな」
赤鬼が俺から離れると影に潜る。そして俺の影に。
マズイな。流石の鏡もこれはバレる。
俺は神の力の一つを使う。
光の輪が俺の周りに出現し影を無くす。
名付けて「光輪!」
「ギャアアアア!!!」
影に潜ろうとした赤鬼が血を吹き出して地面から飛び出る。
潜む影が無くなって押し出されたか。
俺は赤鬼の角をへし折るとそのままトドメを指す。
情報が欲しかったが鏡を使っていることがバレているかもしれないからな。
「ギャアアアア!!!」
次は喚きか。こいつも影に入られている。
こちらも影潜りではなく影読みか。精神に干渉されているな。
俺は鏡を維持しながら影に潜る。面倒な事をさせてくれるものだ。
喚きの影を占有し影読みの鬼を追い出す。
細い女の青鬼か。
その顔を鉄扇で叩き割る。だが目配せをしていた。これで終わりではないな。
ーーー
逃げられたな。これでは親玉を始末できたか怪しい所だ。
俺はもう一度光輪を使うと鏡を割る。喚きの方もだ。
これで入れ替わりはバレないだろう。
「酷いです大餓サマ! こんなことなら引き受けるんじゃなかったです!」
「だが土産はあるぞ。よりどりみどりの鬼の天国だ。好きなだけ食え」
「ウハァ! 前言撤回です! これならまた引き受けるのもやぶさかではないのです!」
「ではまた頼むぞ。喚き様」
「しょうがないですねぇ! 大船に乗った気分で喚きに頼るといいのです!」
まったく単純な奴だ。あの影鬼たちの角の欠片でも煎じて、
いや今食っているのか。




