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第25話 神肉実食

 神速の太刀筋。稲光を超える剣速。

 だがそんなものは見慣れている。

 俺自身が扱っているものを把握できないとでも思っているのか。


 そしてコイツはそれにかまけて研鑽をしていない。

 俺の金棒は人型の諸刃の剣を弾く。その一撃に稲光が乗っているが俺はそれを自身の雷で受け流す。

 悪鬼羅刹と戦う神がこのザマか。これはこの世に仇成すわけだ。


「おのれ! 謀りおって!」


 距離を取った人型が構えを取る。確実に取る致死の一撃。

 それを待っていた。

 俺はカナヅチを元にした金槌を左手に取るとその先端から刃を出現させる。

 イカヅチを模したその刃は神速稲光を超える。

 名付けて「神雷(カナヅチ)!」

 

 致死の一撃に集中していた人型に神雷(カナヅチ)の刃が届く。

 伸縮自在。その刃が完全に体を捉え中身を蹂躙していく。

 俺が肉薄し金棒で人型の首を落とすと、


 コォォォーーーン…


 首元から生えた神雷(カナヅチ)の刃が当たり、響く音を奏でる。


 約束は果たしたぞ。


ーーー


「不味い」

 もちゃくちゃもちゃくちゃ。

「こんなに苦労してこんな不味い肉を食わされるなんて! 神なんて滅んでしまえばいいのに!」

 同じくもちゃくちゃと喰っている喚きが喚く。

 その気持ちはわかる。

 あの後、往生際の悪い人型が暴れ出したが美味の破邪の剣でトドメをさせた。

 早速役に立ったようだが、まさかの破邪の剣が神に効くのか。


「美味しいよ?」

 功労者の美味はもちゃくちゃ言いながらも食っている。

 こいつは本当に悪食だな。

 俺でさえ咀嚼に時間がかかっているのによくも噛み砕けるものだ。


「ギャアアアア!!! もう噛み切れない! ギャアアアア!!!」


 喚きが喚く。いやその気持ちはわかる。せめて味があれば変わるのだがな。

 見かねた美味が喚きの口を塞ぐ。そして口移しで噛み砕き咀嚼して喚きに返す。

 頬を赤らめた喚きだったがその肉を飲み込むと一変した。


「ギャアアアア!!! 重い! 重いです! もたれます!」


 わかる。わかるぞ。苦労して飲み込んだ後に待ってるのは胃のもたれだ。

 俺も丁度一口目を咀嚼し終え飲み込んだ。

 俺でさえ重いのだ。喚きの負担は相当だろう。


「これを食えるのは美味だけか。問題ないのか?」

「あーしなら平気だよ。いらないなら全部食べたい」

 なるほど。

「ならば今から神の叩きだ! 決して八つ当たりではないぞ! 美味が食べやすくするためだ!」

「喚きも微力ながらお手伝いします! この駄目肉を食べやすく細切れにしてやるのです!」

 こんな不味い代物とは二度と関わりたくないものだ。


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