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第24話 人食い

「で、お前がここの親玉か」

「そうだ。何の用があってきた。鬼の英雄よ」


 俺が地下に降りると地下の祭祀所に白い衣の人型が待っていた。


「お前を殺しに来た。理由は言うまでもないな」

「勿論だ。この世に仇成す英雄よ。私を殺しこの世を食らい尽くすと誓え」


「何か齟齬がある様だが。俺はお前が無駄に人間を消費するから止めに来ただけだ。貴重な資源である人間をこうも簡単に雑に散らすのは食事に対して真摯でない」

「何を言っている。鬼こそが人を食らい、世に仇なし、私の本懐を遂げてくれる存在だ。それならば喜んでこの身を差し出そう」

「いらぬ。俺にとって、人間(食事)を粗末に扱う存在に価値はない。貴様の本懐とやらは俺の理念と反する。だから殺す。ただお前が邪魔なだけだ」


「・・・鬼の矜持も忘れたか。食事などと人に飼われた家畜と同然。

 私の足元に跪け飼われた鬼よ。その力を持ってして世に仇成さぬその身を恥じるが良い」


「人間だけが鬼を討つ。人間だけを鬼が食う。それこそが人と鬼の矜持だ。

 貴様ら神の居場所ははなからない。カビの生えた古臭い銅像よ。時代と共に錆びて行け」


「私という神をカビの生えた銅像と抜かしたか。

 この世に仇なせぬこの身に執着などないわ! 滅びてなくなろうと構わぬ! 

 だが貴様は鬼だ。鬼に堕ちた存在が人に仇成す以外に存在する意味があるのか!」


「それは人を食った時に消えた。人を食い、食事に感謝した時、俺は全ての人間を許した。全ての人間は俺の為に存在する。全ての人間は俺のモノだ。それをどうするかは俺が決める。それは神々と言えどこの選択は覆せない」


「・・・ここまで愚かか。鬼の英雄よ。鬼に堕ちたお前は死んだ。ここに居るのはただの食い意地の張った野良犬だ。犬が言葉を話すな。四つん這いで地に這い続けるが良い!」


 人型が剣を抜く。破邪の剣ではない。両刃の直刀。

 古い時代の物だ。

 本物の骨董品か。


 鬼を飼い、人を騙し、鬼へ変え、世に仇成す存在とする。

 それはもう人食いと変わらぬ。

 人を食わぬ人食いの神か。


 カナヅチよ。これは人を食ってないとは言えんぞ。


「人食いが神を名乗るな。

  ままならぬ 人の世にこそ閃光(輝き)

   俺達の輝きが ()を焼く灼熱と成る」


「辞世の句とは観念したか。愚かな犬よ」


「友を送る歌だ。その手向けはお前の首だ」


「どこまでも落ちぶれた鬼よ。貴様が鬼を名乗るのだけは天地が反転しても許容できん! 飼うのはやめだ! この世の理から消え去るが良い!」

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