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第22話 鬼を討つ英雄

「やってくれたな大餓。ここまで早いとは思わなかったぜ」

 カナヅチか。

「まさかお前が牧場主か?」

「そんなわけがあるかよ。騒ぎで駆け付けたら城が燃えてるんだぜ。どんなに間抜けでもここで寝ているやつはいないだろう」

「その間抜けな案内人は俺の腹の中で永遠の眠りについているが」

「アイツが・・・、そういう事かよ。わざわざ招待状を持ち出してご招待してくれやがったのか」

「招待状も全て食った。俺への接待なら人間をもっと多く用意して欲しいものだ」

「おいおいあの数だろ。逃げ出したんじゃないのか」

「この焚火を見ても疑うのか? あの数で俺を止められるか」

「・・・お前を殺せる気がしねえが、ここで引くわけにもいかかねぇ様だな」

「そういう事だ。この人間を無駄に養分にする蜂の巣はここで潰す。燻しただけでは終わらせない。皆殺しだ。お前達は人間(自然)を破壊しすぎた」


ーーー


 俺とカナヅチは打ち合う。

 まだ手札が見えん。破邪の剣一本という事は無いだろう。

 確殺の一撃が必ず来る。異能で煙を撒くのは危険すぎるな。

 

「どうした大餓。お得意の手品は使わないのか?」

「種が割れているからな。お前もその刀を出したのは悪手だったな」

「どうだろうな。それでお前を殺せるとも思えねぇ。どうやらここが俺の死に場所らしい」

「そうだな。何か言い残す事はあるか? 辞世の句なら受け付けるぞ」

「なら遠慮なく。

  ままならぬ 人の世にこそ閃光(輝き)

   俺の輝きが 影を炙る灼熱と成れ」

「意味を問うのは無粋か?」

「そのままだぜ。最後にもう一ついいか?」

「聞こう」

「ここの牧場主。お屋形様を殺してくれ」

「言われるまでもない。確認が必要か?」

「ああ。そうだな。それでも言葉にしておきたかった」

 カナヅチは息をつく。

「これで正真正銘全ての未練が断ち切れた。大餓。これが最後だ。これに全てを賭ける。これが駄目なら俺の負けだ」


ーーー


「大餓サマ! 私にも一口ください!」

「駄目だ。俺達には人間の良し悪しなどわからん」

「大餓。本当にあーしが全部食べていいの?」

「ああ。俺達には人間の味の違いがわからん。お前にカナヅチを食べてもらいたい」

「わかった。最高の角を仕上げてみせるよ」

「ではわたくしこと喚きが捌いて差し上げましょう!」

 こいつめ。つまみ食いをする気か。

「大餓。指だけでも食べてあげて」

 美味の言葉にカナヅチを口にする。やはりただの人間の味だ。


 カナヅチを食べた美味の角が金槌の形に仕上がる。

「駄目。刃が出来ない」

「いや、これでいい」

 俺は金槌状の美味の角を手に取る。

「味はどうだった?」

「うん。凄く美味しかった。鬼を討つ英雄の魂。きっとこの味は忘れない」

 そうか。そうだな。

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