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第20話 人間牧場

「人間牧場は良い響きだと思いませんか大餓サマ! そこで喚き王国を作って一生安泰です!」


 いつもの喚きの一声だ。


「お前は人間にかかる費用を考えなさすぎだ。薪を燃やすのに木の芽を植えるのか。それよりもそこらから拾えばいいだけだ。狩りこそが鬼の本懐だろう」

 それに美味が追従する。

「あーしも大餓に賛成。牧場で飼われている人間なんて絶対に美味しくならない。鬼を討てるような本物の人間でないと、ね?」


 美味の視線が俺を捉える。その視線の向こうにはカナヅチが居るのだろうな。


「ですが、一から育てた人間をその口にするのは、こう、感銘を受けるとは思いませんか? 渇きに満ちた時月を経て最高に仕上げた人間でのどを潤す。素晴らしいと思いませんか?」

「それこそとんびに油揚げだ。食われる前に食え。その年月が徒労に終わる様こそ滑稽だ。なにより人間が首を垂れて食べてくださいなどと死を懇願するのか?」

「そこは絶対的支配者である私に食べられるのですから本望でしょう!」

「お前は人間に夢を見過ぎだ。知恵をつけた獣が鬼に従うものか」


 喚きは考え込む。


「では試してみましょう!」


ーーー


「喚き様ァ! オラを食べて下させええええ!」

「喚き様! あたしらの方が美味しいよ!」

「嘆きおねぇちゃん! 僕も食べて!」


 そこは小さな村だった。

 俺が喚きの影に潜り異能を使っている。

 如何にも喚きが力を使っているかのように見せかけながらだ。


 そして降参した村人に喚きが何かの異能を施した。

 見るに精神系だろう。力に怯えた人間には効果覿面だ。

 喚きの美貌もそれを後押ししている。

 俺が同じ事をしたら村人は死に物狂いで逃げ出すだろうな。


「ヒィィィーーー!!!」


 喚きの喚きが響く。

 屈強な男たちに囲まれて下卑た笑いにも耐えていた奴がドン引きしているな。


「き、気持ち悪いです大餓サマ! 私こんなの食べたくありません!!!」


 老若男女に囲まれた喚きの喚きだ。

 流石の俺も食べたくないぞ。


「ギャアアアア!!!」


 喚きの代わりに俺が喚く。

 俺の巨体が影から出てきたことで喚きの精神支配は吹き飛んだようだ。

 次々に逃げ出す人間達。


「これは、意外でした。調理を間違えれば口にしたくない人間が出来上がるのですね。人間牧場は失敗のようです」


 俺も頷く。支配された人間はもはや人間(食事)ではない。

 アレを口にした所で味は変わらないだろう。

 だがそれが人間でないとすれば話は変わる。

 美味の言う人間の味とはこういう事か?


 鬼を討つほどの人間か。

 奴の体なら躊躇いなく口にできるだろう。

 人間(美味)への探求は奥が深いな。

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