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第2話 生い立ち

 俺は血の匂いに誘われて戦場へときた。

 多くの人間が殺し合っている。

 何ともったいない。死ぬなら俺の腹に入れ。

 俺は甲冑を着た武士たちに切り込む。

 

 何と他愛無い。俺は金棒を振りながら嘆息した。まるで雑草狩りだ。

 俺は金棒を振りながら槍をいなし刀を折る。


 だがしかしこの俺に宿る武芸の冴えはなんだ?


 俺は武士だった?


 そんなはずはない。武士であったら鬼になど堕ちるものか。

 力あるものが鬼になど堕ちるものか。

 俺に刀があったら鬼になど堕ちるものか。


 俺のあまりの強さに人間が及び腰になってきたな。


 俺は体を槍の前に晒す。俺の体に槍が刺さる。何本も何本も。

 そして腕を貫かれ、金棒を落とした俺に武士たちが群がってくる。

 わかる。わかるぞ。その気持ち。

 俺も同じ気持ちだからな。


 俺は角に力を籠めると雷雲を呼び出す。

 そしてそれを俺に落とし、俺に槍を突き入れた人間達が煙を吹いて倒れる。

 だがまだだ。まだ勝機はあるぞ。俺は虫の息だ。

 さあもっとこちらに来い。手柄はここにあるぞ。


 人間達が俺に止めを刺すのを眺めながら俺は腕を落とした。

 歓声が上がる。そうだろう。そうだろう。

 俺は腕の落ちた部分から新しい腕を生やすと落ちた腕を拾って薙ぎ払う。

 悲鳴が上がる。そうだろう。そうだろう。


 だが俺は弱弱しく咆哮を上げる。

 これは俺の断末魔だぞ。

 あと一息だ。頑張れ。


 最後の一人が弱り果てた俺に対峙する。

 そうだ。俺を打ち取ればこの戦場の英雄だぞ。早く首を取りに来い。

 無謀にも突撃してきた雑兵の首を齧るとその場に動くものは無くなった。


 なんという御馳走だ。俺の渇きが増していく。

 俺は丁寧に鎧を剥ぐとその味わいを楽しむ。

 この雑兵以外は血に伏せ汚れてしまった。

 皿から落ちた料理では食指が動かぬ。


 俺は鎧を剥ぎ土に汚れてない体を持ち上げ口に運ぶ。

 泥だらけの首と手足は捨て置くか。


 俺は雑兵の鎧をつなぎ合わせると俺の鎧を作り出した。

 切られるのは問題ないが飛び道具が厄介だ。拾いに行かねばならない。


 俺はつなぎ合わせた鎧を体に掛ける。

 少しは格好がついてきたか。

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