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オフィーリアとレア③

翌日、オフィーリアの体調を心配して無理する事ないと言われたがレアにどうしても会いたくて、手持ちの一番上等なドレスでパーティへ向かった。


エヴァンはとうとうエスコートすらせず、浮気相手としっぽりしているらしかった。


昨日あの後家族にはエヴァンの不貞の話をし、婚約を解消したいと申し出た。


父も兄も噂は聞いていたそうで、何もしてやれなくてすまなかったと謝罪し、家の事は何とかするから気にしなくていい。自分の幸せを願いなさいと言ってくれた。


父と兄は噂が広がらない内にこれからエヴァンの父と話をつけに行くと言っていたが、もう広がっているんだよね…。


これからの生活は前途多難だけど、レアにだけはせめてお礼をいいたいと考えていた。


「昨日の出来事が不思議な夢じゃなければ、だけど」


オフィーリアは会場に着くとキョロキョロとレアを探すがまだ来ていないようだ。


昨日は会話に夢中になってすっかり忘れていたけれど、家名を聞いておけば良かったな。


それにしても今日はやけに女性陣が色めきたっている。


「ねえ、今日もレアティーズ様いらっしゃるそうよ」


「昨日のレアティーズ様、とても美しかったわ」


どうやら長年引きこもっていた眉目秀麗な第二王子がとうとう姿を現し、それだけでなく婚約者候補を探しにきていると言う噂らしい。


「きゃぁー♡ねえエヴァン、私が選ばれたらどうしよぉ」


図々しくもオフィーリアの側で仮にもまだ婚約者であるエヴァンといちゃつくその面の皮の厚さに絶句した。


エヴァンと肉体関係を持っている時点で万に一つもあり得ないのだが、その前向きすぎる思考に呆れると同時に羨ましくなった。


「ばーか、俺が居るのに浮気かよ」


彼女のおでこをピンと叩きながら、にやにやとエヴァンが笑っている。


浮気…?どの口が。こちらが言い返す事も馬鹿馬鹿しくて黙っていれば調子に乗って。


「けどそうだなぁ。オフィももうちょっと愛想が良ければ選ばれる可能性あるかもしれないぜ?」


「やーんひっど!でも好きぃ」


あまりの品のないやり取りに周りがざわつくが、二人は気づいていないようだ。

オフィーリアに対しては同情と興味の視線が刺さる。


婚約破棄について家族に相談して本当に良かった。こんなのこれからも相手にするなんてとても耐えられない。


「オフィが選ばれたら王子サマにいくらでもやるぜ?ま、選ばれる訳ないけどな」


「へぇ…それ本当?」


聞き覚えのある声に振り返る。


「レア!!」


振り返ると美しいブロンドの男性がこちらを覗きこんだ。こうして並ぶとレアは背が高かったのね。風呂場で座った状態しか知らなかったから新鮮だった。


レアはスッと何も言わずオフィーリアとエヴァンの間に入ってきた。


「オフィ、昨日は心配したよ。あの後無事に帰れたんだね。体調は大丈夫?」


「ええ、急にいなくなってしまってごめんなさい。お召し物…とても素敵だわ。裸の貴方しか知らなかったからとても新鮮で…」


そう言ってしまったと口を抑えたが遅かった。周りからは裸?体調?等、妙な憶測が飛び交う。


「あははっ、オフィってばヤラシー。…って訳だからオフィーリアの事貰っていくね」


いきなり言われエヴァンも困惑している。


エヴァンの事だ。爵位を盾に怒り散らすに違いない。

オフィーリアを思ってではなく、自身が馬鹿にされた事が気に食わないのだ。


しかしエヴァンの反応は想像と異なるものだった。


「レアティーズ様、私の判断ではなんとも…父に聞いてみないと…」


ん?レアティーズ様?それって第二王子の?振り返ってレアを見上げるといじわるそうな笑みを浮かべニヤニヤしている。


まるでイタズラが成功した子供のようだった。


「君とオフィの父君には話を通しているよ。君には拒否権はないはずだ。君が婚約者に対してした仕打ちはここに居る全員が証明だからね。おっと、()婚約者だったな」


レアはピラっと両者のサインがある用紙を掲げた。いきなり王子が尋ねてきてこんなものを見せてきたら両親も驚いただろう。


ふと、エヴァンを見下ろすレアの冷たい視線にゾクッとした。


私はまだ彼の事を何も知らない。昨日話した数十分以外何も…。


俺の誘いは断ったくせに王子とは…とあらぬ推測をしながらエヴァンは悔しそうにその場を後にした。


「と言う事だから僕はオフィと結婚します。嫁探しはおしまい!父上、兄上、良いよね?」


け、結婚!?気づけば国王と王太子が頭を抱えながらこちらを見ていた。


「全く…お前というやつは…」


「オフィーリア嬢、どうか愚弟をよろしくお願いします。そしてどうか!逃げないでください」


思わぬ歓迎モードに困惑するオフィーリアをよそに、良かったねと眩しいくらいの笑顔で見つめられた。


好奇と羨望と嫉妬の眼差しを掻い潜り、二人してバルコニーへ出た。



「驚いたわ。実は私ね、お父様にエヴァンと婚約を解消したいと言ったの。それだけ貴方に伝えるつもりだったのに、まさか結婚する事になるなんて…」


「ああ、だからお父上も納得してくれたのか。時間がなくてオフィには相談せずに決めちゃってごめんね、嫌…だった?」


さっきとは別人のような、不安そうな顔に思わず吹き出してしまった。きっとこの人なら私を大切にしてくれるはず。


「王族になる事は確かに不安だけれど、嫌な訳ないわ。レアとは楽しく話せる夫婦生活ができそうだもの」


するとレアが改めてこちらに向き直した。


「オフィ、順番が逆になっちゃったけど僕と結婚してください」


「はい、喜んでお受けいたします」



***



二人は末長く、幸せに仲睦まじく暮らしたそうだ。


ロマンティックなシンデレラストーリーとして民衆に人気を得た二人の話は本や舞台が大ヒットしたそうで、後世になおも語り継がれているという。



fin

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