婚約破棄???
長年いがみ合ってきた2つの国が和解を模索していた。その和解の象徴として両国国王の次男と次女の婚姻が決められた。まごうことなき政略結婚である。その婚約発表式典のときであった。
「マチルダ、君との婚約は破棄させてもらう」
一方の国王の次男が宣言する
「僕は愛の真実に目覚めたのだ。たとえ国のためであろうとも他人の決めた相手と結婚するわけにはいかない。僕の美学に反することだ」
周囲の者が止めようとするが、当事者であるもう一方の王国の次女、マチルダが応じてしまう。
「わかりました、殿下。貴方の美学の背いてまでこの結婚話を進めようとは思いません。婚約はなかったことといたしましょう」
次男が話を続ける
「というわけで、マチルダ、僕と結婚してほしい。政略結婚の相手としてではなく、一人の女性として君を愛している」
周囲が「こいつなに言っているんだ?」という顔になる。バカなのか?莫迦なのか?大馬鹿者なのか!?
それに対するマチルダの答えは
「とても有り難い申し出ですが、受け入れるわけには参りません。殿下に美学があるように、わたしにも夢があるのです」
「そうか、残念だ」
マチルダは続ける
「それは、女であろうとも自分の方から愛する相手に求婚することです。とう言うわけで殿下、私と結婚してください。貴方を愛しております」
場が更に白ける。こいつもバカなのか?莫迦なのか?大馬鹿者なのか!?
「わかった。君の申し入れを受けようじゃないか。愛するものから求婚されるというのも良いものだな」
バカだ。間違いなく莫迦だ。この二人は正真正銘の大馬鹿者だ。
この場にいた全員の統一見解である。
周囲の白い目に気づくこともなく見つめ合い乳繰り合いだす二人
完全に二人だけの世界に行ってしまった。
婚約破棄をテーマにどこまでバカバカしい話を作れるかに挑んでみました。