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君とともに4

 ふっと目が覚めると、窓からは燦々と陽光が降り注いでいた。

 い、今何時!?

 がばっとはね起きて、いつもの部屋ではないことに気づいて気が抜けた。

 ここは、王宮じゃない・・・。

 あんな場所でもすっかりと慣れてしまっているんだなぁと変な感慨を抱いて床に足を付ける。

 ああ、服が昨日のまんま・・・。

 ナータさんがいろいろ買ってきておいてあるんだよね。

 床に乱雑に置かれた袋をひっくり返して中身を確かめる。

 下着に、パジャマもある。服も色々と入っていた。

 その中から適当に選んで手に持つ。

 お風呂に入りたい。その時に着替えよう。

 レクセルは起きてるのかな・・・?

 寝る前にかけてしまった鍵を開け、ゆっくりと扉を開く。リビングには誰もいなかった。

 机の上にメモがあるのを見つけた。 

 が・・・。読めない。

 話すのはなんとかなったけど、さすがに文字はまだ・・・。

 まぁ、読めないものは仕方ない。メモがあるってことはレクセルはきっと出掛けてるんだよね。

 お風呂は勝手に借りちゃおう。どこかな?

 玄関から左手、手前奥がサニタリールームになっていた。

 うわー、ここも広い・・・。まぁ、王宮ほどじゃないけど・・・。あそこは別格だよね。

 服を脱いでバスルームへの扉を開けると温かい空気を感じた。浴槽には湯が張られ、湯気を立てていた。

 よかった。やっぱりシャワーだけだと嫌だよね。わざわざこうしておいてくれたんだろうか、それとも常時こんななのかな?まぁ、どっちでもいいか。

 ゆっくりゆっくり湯船に浸かって疲れを癒す。一人でお風呂に入るの久し振りだ。王宮は侍女さんたちと一緒だもんね。いいって言っても全然聞いてくれなかったし。でも湯上りのオイルマッサージがなくなっちゃうのはちょっと淋しいかな。あれだけは気持ちよかったなー。

 お湯をたっぷりと堪能してからミオは浴槽を出た。



 たぶん最悪のタイミングでこの扉を開けてしまったんだと思う。

 仕事は無理を言って今日は休みにしてもらった。ミオを一人置いておくなんてできない。だけど彼女は疲れているのか起きてくる気配が全くない。

 持て余した時間を有効に利用するため、マンションの設備のジムを利用することを思いついた。1時間ほどマシーンで体を鍛え汗をかいた。が、ジムに付属するシャワールームは使わずに自分の部屋のでと思って、ついというかうっかりというか、とにかく何も考えず玄関から真っ直ぐバスルームに向かった。

「ごめん・・・」

 それだけ言うのが精一杯で、ぱたんと扉を閉めた。瞼の裏には湯に温まってほんのすこし上気してうす桃色の半裸のミオの姿が焼き付いていた。

 これは何ていう試練なんだろう・・・。

 婚前交渉はしないと、昨日自分自身に誓ったはずだった。それに彼女はまだ16、いや、17になったんだっけ。とにかくまだ早い。だめだ。

 そう思いつつも下肢に集まる血の奔流を押さえることはできそうにない。全く中坊かよ・・・。

 しばらくすると遠慮がちにサニタリールームの扉が開いた。

「ごめん!わざとじゃないんだ!いつもの癖というか、いるとは思わなくて・・・」

 土下座して出迎えた。

「あの、私のほうこそごめんなさい。起きるの遅くて・・・、勝手にお風呂も使っちゃって・・・」

「そんなのいいんだよ。俺が気を付けてればよかったんだ」

「あ、あの、こっちに用があったんだよね。ごめんなさい。どうぞ、使って」

「あ、ああ、うん・・・」

 勃起した下半身に気をつけて移動する。気付かれないように。昨日はそれで驚かせてせっかくの彼女からの抱擁を台無しにしてしまった・・・。早く冷たいシャワーを浴びたい・・・。


「昨日の今日で申し訳ないんだが」

 ミオにブランチをふるまいながら話をした。ブランチと言っても自分は料理は全く駄目なので、レトルトものを温めたものだが。それでもミオは嫌な顔一つしないでおいしそうに食べてくれる。いい子だよなぁ。優しいしかわいいし・・・。

「・・・それで?」

 つい見とれてしまっていた・・・。

「あ、ごめん!で、その、なんだ。この家に二人きりというのはやはり良くないと思うんだ」

「う、うん・・・」

「だから俺の両親のいる惑星へ移ってもらいたいと思う」

「レクセルの、ご両親のところへ?」

「そう。いいだろうか?そこなら俺の父さんと母さんがいるし、寂しくないと思う。学校に通ったっていいと思うんだ」

「学校!?」

「どうだろう?まだ文字が読めないと言ってたね。帝国語を教える学校ならたくさんあるし、それよりまずこの国に慣れて欲しい」

「う、うん」

「急いだり、無理はしなくていい。君のためになることなら何だってしてやるつもりだ。何かしたいことはないか?」

 ミオは少し逡巡して、レクセルを見つめると言った。

「レクセルと一緒にいたい・・・」

 真摯な眼差しに胸が熱くなる。

 レクセルはたまらずミオを抱きしめた。

「そんなかわいいこと言うと本気で襲うぞ、こら」

「そ、それはちょっと・・・」

 レクセルはミオの顎を掴むと上を向かせてキスをする。

「え・・・?んん・・・ふ・・・」

 ミオの甘い声に軽い痺れが脳に走ると、さらなる欲望が這い出てくる。

「んっ・・・!?」

 ミオの咥内に舌を侵入させた。驚いたミオが腕をつっぱって逃れようとする。だがそんな抵抗はないに等しい。彼女の後頭部をしっかりと押さえて深く深くキスを続ける。

「ふぁ・・・はぁ・・・」

 深く長い口付けを終えてミオを放す。初めての経験にぐったりとして椅子に背を預けて空気を吸いこんでいる。その様子にもう一度したくなったがさすがにやめた。

「まぁ、こういうわけで俺のそばにいるのは君のためにならない。2時の便でここを発つ」

 ミオはこくりとうなづいた。 

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