従兄弟7
バレた。
ミオは通信画面の前で硬直していた。
画面の中には不機嫌そうに黙りこくったレクセルの顔。さっきから顔が上げれない。
やはりゼオルの突然の帰還とミオの不審な態度にエリクスも白状せざるを得なかったようだ。
何で、嘘がつけないかな・・・。
すぐに顔に出る自分の素直さに落胆した。
「ミオ、こちらを向きなさい」
「は、はい・・・」
そろっと顔を上げる。眉間にしわのの入った険しい顔つきのレクセル。
こ、怖い・・・。
レクセルは腕を組んでため息交じりに言う。
「どうしてこんなことになったんだ?」
「どうしてって言われても・・・。こんなことになるなんて思わなかったし、ゼオルがあんなことするとは思わなかったし・・・」
「つまり、予測できなかった、と?」
「そう・・・かな?」
「ミオ」
「はいっ」
「俺は怒ってるんだ。ちゃんと答えて欲しい」
「・・・だって、レクセルに似てるし、声がね、すっごく似てたの」
「いくら顔と声が似ているからと、そうやすやすとゼオルなんかにつけこまれるなんて、無防備が過ぎる」
「う・・・」
「まだ若いし、経験も少ないから仕方ないかもしれないが、もっとしっかりして欲しい」
「は、はい・・・」
「あまり分かってないかもしれないな。言っておくが君は俺のものだ。他の男に渡すつもりは毛頭ない。だから君の事を大切に思ってるし、守っていきたいと思ってる。だけど君からの誠意が感じられないなら、こっちも考え直さなきゃならないかもしれない」
「・・・!」
ようやく、事の重大さが分かった。
・・・甘くて馬鹿だった。寂しいからと、レクセルに似た人だからと、それに浮かれてもいたのかもしれない。でもそんなことで本当に大切なものを失くしてしまうところだった。
「ご、めんなさい・・・」
そのことが分かると涙とともに謝罪の言葉が出てきた。
「ミ、ミオ・・・?」
「もうしない、二度としない。レクセルに嫌われたらもう生きていけない・・・。私、レクセルがいなかったら・・・う、わああっ」
「ちょ、まっ、泣くなっ!ミオ!・・・ああ、もうっ。分かってくれたならいいんだ・・・、だから泣くなって・・・。エ、エリクスっ、いないかっ!?」
隣の部屋で控えていたのだろう。エリクスがすぐに飛んできた。
「おや、女性を泣かせるとは、レクセル様も随分と罪つくりになったものですねぇ」
「冗談を言うな。泣いてるのは苦手なんだ、なんとかしてくれ・・・」
「はいはい」
「た、頼んだ」
通信はぷつりと切れた。
「レクセル様にも苦手なものがあったとは。これは意外な発見ですね。さ、お譲さま。レクセル様はもう怒ってないですよ。大丈夫ですから、泣かなくていいんですよ」
「で、でも・・・、ぅく、きっと嫌われた・・・」
エリクスはよしよしとばかりに頭をなでてくれた。
「レクセル様がミオお譲さまを嫌われることなんかありませんよ。ゼオル様のことは犬にでも噛まれたと思って忘れることです。少しお怒りになりましたけど、ミオ様が反省したなら、許してくれていますよ」
「・・・本当?」
「ええ」
レリフェルの柔らかな美しい頬笑みは心を軽くする。
ようやく涙が止まり、落ち着いた。
「もう一度お話になりますか?」
「ううん。こんな汚い顔見せたくないし、手紙でも書くことにする」
「それはよろしいですね。ちょうどいい練習になりますし。お手伝いしましょう」
「うん」
そして覚えたての文字を拙い幼稚園児のような文章で届けたら、後日熱烈なラブレターとなって返ってきた。
読めないのでエリクスに代わりに読んでもらったら、エリクスの葉が浮いてしまったほどだ。