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従兄弟2

「えへへ、おっ邪魔っします」

 惑星オーでの日常が恙無つつがなく始まり、ある日思いついてレクセルの部屋に入ってみることを思いついた。

 エリクスに聞いたら問題ないとのこと。そっとドアノブを回して中に入る。

「わぁ・・・」

 部屋の中は本だらけだった。窓があるところ以外には本棚が据えられ、そこにはぎっしりと難しそうな本が詰まっていた。

 だから昼間だというのになんだか薄暗い。

 他には広いベッドとデスクぐらい。

「レクセル様のお小さい頃の映像などご覧になりますか?」

 部屋を見て回っているとエリクスが大きめのカードペーパーを手に持って入ってきた。カードペーパーは薄っぺらいパソコンのモニターみたいなものだけど、様々な情報をその画面に映し出せて本やノートや新聞の代わりにもなる。高級なものになると反重力装置を付けてふよふよと空中に浮かせて使える。エリクスの持ってるのは少し古いタイプのものらしい。

「レクセルのちっちゃい頃!?見る見る!」

「ではこちらにお座りになってください」

 デスクの椅子に座り、その前にエリクスはカードペーパーを立てかけて置く。デスクからふっと光が現れカードペーパーが固定された。

「かっわいいーーー!」

 次々と現れる画像には小さなレクセルがたくさん映っていた。

 庭で遊んでいる光景、家族との旅行、学校の行事。

「こちらは士官学校時代の映像ですね。ミオお譲さまと同じ年代の頃です」

 白に銀色をあしらったブレザータイプの制服姿のレクセルの、まだ幼い顔立ちをした初々しい一枚だ。

「はー、かっこいい・・・」

 いや、今でも十分なんだけどさ、なんていうか少年特有の大人になりきれてない危ういかっこよさというかなんというか。いわゆる美少年?

 あー、なんかこんな美少年目の前にしたら恋に落ちそうな感じ。さぞかし女の子にモテただろうな・・・。

 でもこの頃のレクセルにも会ってみたかったな。17歳のレクセルか・・・。

「気に入られましたか?よければ印刷なりしてお手元に置かれますか?」

「い、いいの!?」

「はい」

「じゃ、じゃあお願い。あ、でもレクセルには内緒にしてね」

「はい」

 エリクスはくすりと笑って、後で小さなカードにしてプレゼントしてくれた。


「レクセルまだ帰ってこないの~」

 分かってる。とっても忙しいこともここまで来るのにとても時間もかかることも。

 でもこの惑星オーに連れてきてもらってからもう1か月が経った。

 あの日王宮での再会してからは実質2日くらいしか一緒にいられなかった。戦艦の別れからは3か月、2日会ってすぐに1か月の別れ・・・。どうしてこうも離れ離れになってしまうのか・・・。

 まぁ、自分に生活能力がないから仕方ないけど。あんな都会に一人じゃやっぱり不安・・・。だから毎日一生懸命勉強してるけどそう簡単に覚えることもできないわけで。

 結局学校に行く案は没になった。有名すぎて身の危険があるからだって。だからいつもこの屋敷でエリクスが先生代わりに教えてくれていた。

 それでレクセルに会えない不満とか、部屋で勉強ばかりの日々に少しストレスがたまってたから、あんな間違いしちゃったんだよ、うん。



 

 

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