超越者
今年は三周年に間に合わせようと急いで書いたので本編は短いです。(間に合わなかったけどね!)
設定の垂れ流しは例年通りあとがきに書くので許して!
白衣の黒髪女による狩りゲーの世界を滅ぼし、
既に終えた世界が混ざり合う混沌を耐え、
世界の果てを破り、
己の限界を超え、
停滞し、路を妨げる星々を斬り進み、
《権能》の顕現を感じ取って辿り着いた場所は、控えめに言って荒れていた、
宇宙空間という虚無に近い空間、それが埋まってしまいそうな量の武具の数々、
槍が集合して出来上がった星の様な球体、
血に濡れた非在の鎖の繭、
そこに絡みつく血を流す大蛇共、
空間そのものにつけられた焼け痕、
自転も公転もせずに停滞している世界で、崩れて形を成せなくなった星々、
そして、それらの隙間を縫うように移動する《権能》の反応。
「お久しぶりですね、伯父様」
「あぁ、戴天か。コレはいったい……どういう状況だ?」
「簡潔に言うと、お父様が感情をぶつけています」
感情をぶつける!!
「だ、誰にだ!!」
「えちょ! か、感情と言っても怒りです。伯父様の考えている類の物ではありません」
「……そうか」
よかった……
そうだよな、冷静に惨状を考えれば感情は怒りの感情の事だよな。
ダメだな、あの《狩りゲーの世界》で一瞬だけでも顔を確認したせいで頭がピンクに寄ってしまってる。
「それで、何に怒りを沸かせてるんだ?」
「《創造概念》……いや、《創造神》? いいや、今やただの《創造者》でしかない「女」です」
「あぁ、アイツか……」
今までも散々俺を邪魔してきた、泰地殺しの主犯
—―殺したい
「……気持ちは察しますが、奴の《権能》がある以上は我慢してください。貴方も《神殺し》できる数少ない存在なのですから、その影響を考えて……」
「そこまで短絡的に動かねぇわ。舐めんなガキンチョ」
「が、ガキンチョ!! 自分これでも2,000歳超えてるんですけど!」
「いっちょ前に年なんか気にしやがって。親離れできて無い奴ってのは総じてガキンチョなんだよ」
「んな! お、親離れならしてます~」
「そうは言ってるが、お前。親子の縁を辿ってここまで来たんだろう?」
「それは親離れとは関係ないでしょうが!」
やっぱりコイツをいじるのは楽しいな。
だが……
「いつまでもアッチを放置しておくわけにもいかないか……」
たった今爆発した星を遠目に観ながら、起きている状況の規模の割にのんきな言葉を出す。
「そうですねぇ。自分の『常在不俱磨』は機能していますが、お父様の《権能》が上回ってて。せっかく周囲に影響が出ないようにしているのにほとんど意味が無いですよ」
「それでも必要最低限の被害しか出してないあたり、それなりに冷静なのかもな」
「星が爆発していますけどね」
戴天の言葉を聞き流す。
星が爆発するぐらいなら対面している存在同士を考えれば小規模だ。
あの二人が本当の意味での「争い」をしていた場合、世界が保てない。
今まで世界が保たれているのは泰地の《権能》を機能させられない様に《創造者》が襲っていたからだ。
そして今の場合、《創造者》側が何の抵抗も見せない事から《創造者》は泰地の怒りを享受していると分かる。
「そう考えると星が爆発する程度の規模なら小さく思えるだろう?」
◇
黒い鎧を纏った騎士、《傲蝕騎士》は何処かを見ながらそんなことを呟いた
テラーや偽物仮面が使っていた「詠唱」行為について
実は詠唱するとちゃんと「強化」が入るので意味のある行為。
ただし詠唱を唱える存在単体では基本的には成立しない「支援」というのが本質。
(ただし上位者連中はそんな基本をぶち壊す事こそ基本なので気にしないでください。この作品の世界観の関係上、世界観を考察する上では上位者連中はほとんど例外の集まりです)
偽物仮面は《創造神》、テラーはシステム+泰地(?)からそれぞれ後押しを貰っていました。
基本的にはシステムからの支援単体しかもらえない、というか「支援を受ける」のと、「支援を送る」のではかなりハードルの差があり、「支援を送る」側になるには割と厳しい条件を超えている必要がある。(今回支援した奴らは例外枠)
「支援を受ける」側も、そもそもとして「支援」そのものは本来大罪系統スキルの一つが持つ効果の一側面であり、所持者がシステム運営側にいて、それをシステムに活用した影響で誰でも支援してもらえる立場になっているだけ。
こんだけ散々「支援」と言っているが、作者としては「脚色」という表現の方が合っていると思う。
つまり「支援を送る」側というのは……
今回きちんとした呼び名が出て来た白衣女もとい《創造者》について
彼女自身の視点で見ていると滅茶苦茶頑張ったが報われなかった存在。
階級のような物が在れば仲間内で最も偉大な存在の一つ。
他の『神と呼称される仲間』が人間に染まっていく中、2,000年も耐え抜いた存在。
作中メインキャラのほとんどからヘイトを向けられているが、別に「悪」という訳ではなく。存在としての影響力の悪い面がメインキャラ達に振る注いでしまった存在。
というか、「目標」の為には何でもしてやると言う感じで本当に何でもしてしまった結果、その過程で必要だったピースが主人公の泰地であり、その派生のメインキャラ達だった。
言ってしまうと去年と今年で全然投稿してないので、下手なネタバレにならない設定があんま無いです。(設定の説明の中に割と重要な事を仕込んだのは置いておいて)
書く時間が……ノートパソコン欲しい。




