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オルタ・エボリューション  作者: 鬼河壱
第2章 吐露した万象
58/65

無意味は無駄ではない

お待たせしました

私と荒地を狩ゲーの世界に閉じ込め、遊ばれた

私に仮面(ニセモノ)という楔を打ち、削りられた


◼️地に観せられた過去では私を何十回も殺した存在


そんな女を何故この場に招待したのか、


「「いい加減、殺され続けた因縁の清算をしようと思って()」」


「ハッ! 良いぜ、今度こそちゃんと殺してあげる」


白衣の女が片腕を上に向ける。

女が指を鳴らす、すると数えきれないほど無数のエネルギーの塊……光や力場の集合体が周囲に創り出される。


戴天の『常在不俱磨』は止めている間も活動する為に『止めている対象のベクトル』を止めていても『ベクトルという概念』そのものは止めていないし、情報を補強(・・)する為の光や声を響かせる空気の『性質』も止めていない。

よって止めていない物で構成されたあの集合体は確かに『この場における』有効な攻撃手段だ。

ただし……


「今の()に対しては有効じゃねぇな!」


片手を振るい、エネルギーの塊を散らす。

権能を使うまでもない。


「なら、こんなのはどう?」


女性がそう言って指を鳴らした瞬間、俺の両腕付近が同時に爆発する。

肌に焼き付く感覚と付与された性質から察するに、核爆発に感染式クラスターの性質も複合してるな……

俺がズラした(・・・・)から良いが、これを体内に直接創造するとか殺意が高いな。


「クソ! やっぱり目覚めてやがる(・・・・・・・)! 筋肉を直接爆発してやろうと思ったのにぃ」


支離滅裂な言動とテンションで()に向かって攻撃してくる女性に……なんだか哀れみを抱いてしまう


「さっきからどうした! 清算するとか言っておきながらなんの反撃もして来ないじゃない!」


「はぁ」


そうだな、いい加減飽きてきた。


そうして()は、白衣の女性に対して重い一撃を言い(・・)放つ


「「()を殺しても、お前らの願いは叶わない」


「………………は?」


ほんの少しの言葉、たった一つの真実に、女性は創り出し始めていたエネルギーの塊を霧散させてしまう。

目を見開き、口をパクパクと動かしているが言葉が出ずにいる白衣女性。


哀れだ……


言葉を受け入れられず、「そんなはずは無い!」「信じられない!」「逃げるための方便だ!」と叫びたくなっているような顔をしているが、目の前に立つ()が静かに軽蔑の眼差しを向けているのを見て、嘘ではないのだと察したようだ。


「そうか……そうだったんだな。何度も魂を砕いて、殺しても……我々に変化が無かったわけだ」


「そうだ」


「じゃあ! ……我々の2000年もの時間は無駄だったのか?」


白衣女性がその身体の力を抜いて、()に問いかけて来る。


「ふっ……」


「何が可笑しい!!」


「いや? 時間の事を気にするなんて随分と人間の様な事を言うんだなと思ってな?」


「な!? そんな、違う! 今のは……」


「言い訳なんて必要ないだろう? 貴様らが人に近づいているというだけなのだから。ああ! 貴様らからすればそれを避ける為に()を2000年近く殺し続けたんだったな!」


煽る、煽る。

今まで受けて来た理不尽に対する怒りで「殺し」に走りそうになる身体に、それでは傷が残らないと言い聞かせ、修復手段のない心に傷をつけに煽る。


「違あぁあう!!!!!」


白衣女性は発狂しながら()に殴り掛かって来た。

《権能》ではなく、自らの身体で襲い掛かってくる辺り、無意識の部分はかなり人に堕ちてるな。


振るわれた白衣女性の右腕を首を右にズラして避け、通り過ぎる腕を右手で掴み、そのまま潰す。


「があぁぁあ!!!」


あぁ……

どうせ使い捨ての身体に攻撃しても意味が無いと分かっても……


「やっぱり、我慢できない」


ただ殺してきた相手という「情報」が、「感情」へと推移する。

怒りで、悲しみで、屈辱で、後悔で……

目の前の己仇(おのがたき)に対して殺意が噴火する。


「!?」


左手を伸ばし、白衣女の脇腹を握って抉る。

そして苦悶で歪み始めた顔、そこに腕を潰した右の拳をスライドするように打ち込む。


そして、白衣女の《権能》を使って(・・・)左手に薙刀を創り出す。


「な!?」


創り出した薙刀を白衣女の胸に刺し、刺した刃を白衣女の体内で抜けない様に複雑に変化させる。


そして薙刀を振り回す。

加減など一切しない本気の大回転に、白衣女の身体が胸の抜け出せない部分を置いて飛んでいきそうになる。


……ので、遠心力を乗せたまま近くの星に投げる。

ヘイトが()に向いているとはいえ、逃げられる可能性が存在するので飛んでいく白衣女以上の速度で星に向かい、横に並んだ瞬間に治りかけていた頭を掴む。


月程度のサイズの星。

生物が生まれる余地の無さそうな、嵐に包まれているのであろう星。

舞い上がる、まだ名付けされていない未知の物質を掻い潜り、掴んでいる白衣女を平らな大地へと衝突させる。


衝突の影響でクレーターなんかはできない。『常在不俱磨』によってこの星は正常に停止している。

結果的に衝撃のほぼすべてを享受した白衣女の身体は上半身を失っている。


逃げられてはいない。

()と同じように、《権能》を分離できても「本質」部分は何かを経由してでしか移せない。

急に《権能》だけをどこかに瞬間移動なんて芸当はできない。


「さっさと治せ」


一向に上半身を戻さないので勢いをつけて踏みつけ、白衣女の《権能》を使って欠損部分を創造し再生する。


「……もうやめて」


「何言ってるの?」


お前は今までこっちの都合を考えずに殺してきたんだ。


「「お前の都合で勝手に終わらせないから(ねえぞ)」」

Q.前回言ってた『萌芽』は創造で補填できないの?

A.無理

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