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オルタ・エボリューション  作者: 鬼河壱
第2章 吐露した万象
56/65

汝は何者である?

いつの間にか通算PV数が二万を超えてました。

この作品を読んでくださる皆さまに、感謝を。

「これで終わりだ、神の眷属」


我は仮面(神の眷属)が創り出した肉体が逃げ出さない様に、その喉骨を左手で掴みながら、右の拳で仮面を捉える。


「遺言はあるか?」


最期の言葉を聞こうと考えたのは、優しさからではない。

戯言なら嗤い、願い事なら罵倒してやるつもりだ。

我の最愛の妻を穢し、(あまつさ)え、その状態で我に挑みかかって来たこの**(クズども)(いぬ)に対して、我にはこの程度の事をする権利が有るはずだ!!


「一つの(カラダ)の中で、『寄生』した私をk/o r/oせば、泰地(コイツ)も死ぬぞ!」


「それなら問題ない。我にとって大切な者は我が妻のゼレスだけだ。我にとって泰地(そいつ)は契約していた相手でしかない」


つまり仮面(キサマ)殺す(壊す)のに何の憂いもない。

言外にそういう意味を持たせながら、我は周囲の空間圧力を上げ、仮面を潰しにかかる。


「薄情d/aな」


「どうとでも言うがいい。それに、泰地(そいつ)はそうなっても問題ないように、保険を用意したようだしな」


「なんd/aと!」


そう、《最期の守り人》が我に与えた出番は仮面(偽者)泰地(オリジナル)ごと殺すこと。

そして、《最期の守り人》は荒地とオロチ(ふたり)に見せたという「アレ」がある。

「あの生肉」の細かい使い方までは知らぬ。

詳細は必要ないと言われたからな、信じるのみぞ。


「故に、失せよ。この世から永遠に!!」


「Y/aめろ……」


仮面が叫ぶが、我がその願いを耳に通すことは無い。


「“我、《憤怒》をその()に宿すもの—―」


「!! ()m/eろ、y/aめr/o、y/a m/e r/o!!!」


我が言葉を紡ぎ始めるのと同時に、我の全身が発光し始め、特に右腕がギラギラと輝く。

それを見た仮面はこの先に起きることを《強欲》で知ったのだろう。その身を動かし、我の行動を止めようと足掻く。

だが、もうその行動に意味は無い。


「――その(怒り)に寄る辺は無く、あるのはただ一つの火種(想い)だけ—―」


「やめろ!!!」


我が体勢の為に掴んでいた仮面の喉骨を離した瞬間、仮面の最期(・・)の言葉は滞りなく、ハッキリと紡がれる。

だが、仮面に逃れる時間はもう存在しない!


「――故に、我はその他一切を焼き滅ぼす龍なり”

   【星羅よ、灰燼と帰せカタストロフ・アスター】!!!」


陽光を想起させる我の拳が仮面本体に衝突し、世界を焼く爆発が周囲を包む。


仮面は抵抗に仮面(自身)と拳の間に創造を行う事もできず、与えられた役割を遂行することもできず、砕け、崩れ、最後には塵も残らず完全に消滅した。







酷い光景である、拳が振るわれた先に在った星々は消え、空間には焼け焦げた痕が点在している。


「さて、これで面倒なのは消えた。さぁ、この後に何が起きるんだ? 《最期の守り人》よ」


黄金の鱗を未だ纏い続けながらも、己の焔によって右腕を焼いた龍人は、横に跳んで来た黒い服装をしている今回の協力者に問いかける。


「ふふっ……右腕が炭化してるんだ。君は後ろの三人を守ることに専念しておいた方が良いよ。」


協力者は説明する気が無いのか、説明する必要が無いのか。

答えは目の前に現れた“異常”によって明かされる。


とても一言二言で説明できるものではない黒(?)の塊(?)が、仮面(神の眷属)が焼失した空間から噴き出ていた。


「なるほど、アレが……」


「さぁ、下がった下がった。ここから先は、安全なんて全く保障できないからね」


そこまで言われたテラーは即座に己の妻の横まで引き下がる。

何が起きても愛妻だけは護り通すという事だろう。


噴き出る黒(?)はやがて人型に近づくが、直ぐに崩れ、そのサイズを膨らませながら再び人型に近づき崩れる。

やがて、星と言っても差し支えないほどに膨張した黒(?)は、一瞬でテラー妻の眼前に触手のような物を伸ばした。即座にテラーが黒(?)を掴み、協力者の方へと流すが黒(?)は再びテラー妻に向かって襲い掛かる。


協力者の瞳が、フードの中にある闇を超えて露見する。


「【開闢】:『常在(じょうざい)不倶磨(ふぐま)


その瞬間、黒は動きを止める。

いや、黒だけではない。テラーとその隣にいるテラー妻、オロチと荒地、更には宇宙(ソラ)を漂っていた武具、世界を焼いた熱。


いま、この世界は静止した


「はあ、やはりこれが最善策だったか」


彼はフードの中から荒地とオロチ、テラーに見せた物を取り出す。

彼が取り出したもの、それは腕であった。死蝋化されていない新鮮に見える生の右腕。

それを、彼は未だに少しだけ蠢く黒に投げ入れる。


その瞬間、動けないはずの黒が右腕の中に収束し始める。

黒そのものには質量が無いのだろうか、星と同等まで膨れ上がった黒の量に比べて圧倒的に小さい右腕に全てが収まる。


すると、右腕から星レベルと比べてしまうと少量の、先程よりも薄い色の黒が吹き出た。吹き出た黒は、やがて人型となり、変色して右腕に足りなかった物として補強する。


その姿は、すぐ近くで硬直しているテラー妻の顔の造形と瓜二つであり、違う点を上げるとすれば黒い髪色ぐらいのものである。


そして、協力者は足場のない空中でその人物に対して膝く。


「お久しぶりです、お父様(・・・)

ちなみにお母様も存在するよ。


Q.なんで質量が無いはずの黒(?)をテラーは掴めたの?

A.質量の無い物を掴んだことがあるから

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