必要な一手
忙しいのがようやく落ち着いて書こうと思ったらブランクで感覚を忘れてました。
今後もしばらくの間は投稿ペースが遅いかもしれませんが、頑張って書いていきます。
『オイ!! これはいったいどういうことだよ!!!』
「落ち着け、落ち着け」
『落ち着いてられるか! 目の前に『宇宙』が広がってるんだぞ!! オレは大丈夫でもオロチは生身なんだぞ! 呼吸のための酸素が無ければ死んじまうんだぞ!』
荒地は『念話』を荒げる
その勢いのまま荒地は協力者の胸倉を掴もうとするも、協力者には軽々と避けられる
「だから落ち着けって」
「荒地、いい加減落ち着いて」
協力者の静止も聞かず、更に荒れそうな荒地をオロチが静止させる
「私の生命活動に酸素が必要云々は置いておいて、私は大丈夫よ」
『……本当か?』
「本当よ。そもそも、此処は本来の『宇宙空間』じゃない。誰かが【開闢】した《世界》の中なんでしょうね。そうじゃなければ私たちが地面のないこの場に足を付けられていることや、空気の存在しない『宇宙空間』で私やこいつの肉声、それにあっちでゴチャゴチャ舞ってる剣やら、槍やら、籠手やらの衝突音が聞こえないはずだもの」
『それじゃあ! ……』
そこで彼はオロチに対して更なる問い掛けをしようとして、止めた
一見、自然体の様に見える少女の脚が震えているのが見えてしまった
目の前の少女も、説明している自身ですら理解しきれない状況に怯えて体が震えているのだ
「落ち着いたか? なら、ここからの事についてお願いがある」
そして、そんな彼らを横目に協力者は淡々と説明し始める
「まず最初に言って置くけど、自分が君たちを手伝えるのはここまで。こっから先は君たちに動いてもらうことになる」
『「はあ!?」』
ここまで連れてきた人物とは思えない発言にオロチが『宇宙』を踏みしめて詰め寄る
「どういうことよ!」
「色々と理由は有るが、簡潔に言うと自分では過剰火力なんだ」
『過剰?』
「そっ! こう見えて自分は《管制理構》に、例外を除くすべての存在に負けないという証の称号である《最強》を与えられている存在だからね。単純に力を扱うだけで強すぎるんだ」
信頼ができない存在からの信じられない発言
それを聞いた二人は互いに視線を合わせる
(「『これ以上コイツに協力しない理由を問い詰めるのは無駄』」)
何故か、『念話』を使わずとも二人は意思疎通を果たした
そしてオロチは視線を協力者に戻し、もう一つの疑問を協力者に問い始める
「それじゃあ、せめて私たちをここに連れて来た理由ぐらいは話してくれるんでしょうね」
「もちろんさ。というか君たちをここに連れて来たのは依頼されたからだし、君らには伝えておかなくてはいけない事も有るしな」
イラつきを感じるオロチの声色を気にせず協力者は待ってましたと言わんばかりの能天気な返事を返す
「君たちにはあっちで戦っている君たちの仲間であるテラーを手伝ってあげて欲しい。対峙しているのが彼の奥さんの身体だから彼も過剰な火力であの身体を傷つけないように加減しなければいけない状況なんだ、だから君たちには……」
『ちょ、ちょ、ちょっと待て、テラー? どっちが?』
「というかテラーの奥さんって今は泰地が扱っているはずよね」
二人の慌て様は至極当然である、というか状況が混沌としすぎているだけだ
そこで協力者は自分が伝えられている限り《・・・・・・・・・》の状況を伝える
『つまり、オレがあの狩りゲーの世界から脱出した後に世界に取り残された泰地が襲撃者の策略にはまって身体を乗っ取られて』
「その後体内に私たちを逃がしたテラーと戦闘開始。っで、アレ?」
「簡略するとそう言う事。それ以上細かい事情は自分も知らん」
荒地たちは今の状況をある程度理解した、理解して遠くで黄金に輝く自分たちよりも圧倒的な力を持つテラーが居るのに、自分たちを戦力としてこの場に連れてこられたこと理由も納得した。
『分かった、具体的にオレたちは何をしてテラーを手助けすれば良い』
だからこそ、自分たちがするべき必要な一手
その詳細を望む
「(ようやく聞いてくれた……)、んッん! 君たちにはあの武具の嵐を突破し、偽物が付着している鬼面をぶっ壊してほしい」




