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オルタ・エボリューション  作者: 鬼河壱
第2章 吐露した万象
49/65

狭話 協力者

なんだかんだこの作品を書き始めて二周年。

今年は忙しい上にスランプが重なりほとんど書く事ができなくて悲しいです。

あ、今年もあとがきに設定を垂れ流しておきます。

いつも、『音』に襲われていた。


うるさかった、痛かった、嫌だった


『音』が止むことは無く、いつも『俺』を蝕まんでいた。


邪魔だった、皆と違った、要らなかった


耳を塞いでも、『音』を切ることはできない。

むしろ『音』は体の中を木霊して『俺』を襲った。

でも、何かに熱中している時は違った、友人と話している時なんかは『音』を気にしないでいられた。


だが、「留守番」「待機」「入浴」といった落ち着く一人の時間と言うものはどうしても存在する。

『俺』にとって一人の時間は『音』を無視することができない地獄でしかなかった。



転生してからは『音』は聞こえなくなった。体が根本的に変わったからだろう。


だからさ……


「もう良いじゃん、『私』が『泰地()』である必要なんてもうないんだからさ」


『『必要』かどうかなんてもう関係ない、オマエがその『席』を降りることはもう(・・)できない。断言してやる。例え今ここでお前消えたとしても、あの『偽物』や『■■()』が『泰地(オマエ)』に成り代わることは絶対に無い』


目の前に居る存在は言葉を遮られても尚、俺の否定を否定する。

じゃあ、どうしろって言うんだよ……


『『仲間を呼べばいいだろう』、俺は最初にそう言ったはずだが?』

「あぁ、だけど伝える手段なんて……」


その時、俺は初めて目の前に居る存在の目を視た。

その目は俺に頼むように、願うように、あるいは主張するように力強く『泰■()』を見ていた。


「そうか、そうだね……」


仲間を呼ぶ(・・)のにいちいちスキルなんて要らなかったんだ。


あぁ……なんですぐに気が付いてあげれなかったんだろう。


「『打開できる力』は外に出るまで温存しておきたい。だから頼む『◼️◼️』、手伝ってくれ」

『喜んで。できることは少ないが、可能な限りは尽くそう』


俺は伸ばされた『◼️地()』の手を取った。


『あぁ、そうだ《オリジナル》。言っておかないといけない事がある』







〖医務室〗の中にあるベットのひとつが不自然に(うごめ)


「うみゅ……」


荒地に覆いかぶさられて(何故か)気絶し、今そのことを思い出して(もだ)えている『竜種初期型:モデル増殖』改めオロチである


「私ぃ~のバカァ~。絶対にバレた、絶対にバレた、絶対にバレたぁぁぁ!!」


ソレが「ナニ」かはここでは語らない、ソレは彼女が自力で語るべき事である


「うぅ~、どうか、どうかバレていませんように~」

『どうかしたか?』

「うみゃぁ~!!!」


バチィン!!!


現実とは非情である





オロチが急に気絶して、どうすればいいのか迷ったオレは地図(パンフレット)に書いてあった〖医務室〗にオロチを運んでベッドに寝かせた。

一応俺とは違って肉体を持つオロチの為に保存食が残ってないかを調べに行ったがほとんど収穫もなく戻ってきてしまった。


そしたらオロチが起きてて、声をかけただけなのにいきなり勢いよくビンタされた。

解せぬ。


「ご、ごめんなさい」

『いや、謝らなくても……ていうか、オレのことよりもお前の掌の方が心配なんだが』


オレの身体は基本的に鉱物でできている。

いくらオロチといえど素手で叩いたら傷いだろう。

理不尽は根源的に嫌いだが、今回の場合は反射的にやってしまった側面が大きいだろうし、そこまで怒りは無い。


「だ、大丈夫! ほら、ワタシノテ、キレイ」


何故急にカタコト?


『まぁ、それならよかった』


…………………………


「…………………………」


…………………………


「…………………………」


『ちょっ、話題変えよう。流石にこんな空気で二人っきりは耐えられん』

「そ、そうね」


とりあえず見つけてきたものからでも話の輪を広げなくては。


『そういえば腹は減ってないか?』

「大丈夫、私お腹が空かないの」

『それじゃあどうやって養分とか取ってるんだ?』

「それは―――」


その時、オロチの座っているベットの向かい側が歪み、歪みの中から全身を黒い服装で纏った何かが現れた。


「おっと……邪魔してしまったか?」


現れた人物は真っ暗なフードに隠れた頭を傾ける。


「あぁ! いきなり現れたから怪しく思われるだろうが、安心してほしい。自分は君たちの協力者だ」


警戒して迎撃の体勢を取ったオレたちに登場者は「敵意が無い」と証明するかのように両手を挙げる。

だが、オレもオロチも警戒を解くことはしない。スキルやらなんやらが在る世界だ、見えないところから攻撃してくることだって在り得る。


「信用されていないか。ならコレで信用してもらえないだろうか?」

『……!!』

「なにそれ」


登場者が(ふところ)から取り出したそれを『鑑定(視て)』オレは今まで疑問に思っていたことが繋がった。


それと同時に目の前の人物を信用、あるいは信頼できる存在だと考えた。


『分かった、信用しよう』

「そう言ってもらうと助かるよ」


「ちょ、ちょちょちょっと持った!! なんでそんな急に信用できるのよ。あんな物を持ってるなんてむしろ怪しさ満点じゃない!」


そう言えばオロチは『鑑定』を持っていないんだった。

オレはオロチに事情を説明する。


「なるほど……荒地の言ったことが本当なら信用してあげる」

「随分と上から目線だなこの娘っ子は」

『あはは……まぁ、それがコイツの魅力だし』


「(オイ、こいつ恥ずかしげもなくこんなこと言うのか?)」

「(うん)」


なんか急にオロチと協力者が二人でこそこそ話を始めた。

君たちこんな一瞬でそんなに仲良くなれるのね……


『そういえば協力者って言っていたが、何を協力してくれるんだ?』

「あぁ! それはな」


協力者は今まで忘れていたようで、少しだけ高い声を出すと持っていた物を懐に仕舞う。

そして、懐から腕を戻すと、その手には何やら黄金の籠手が装着されていた。


オロチが「それは……」と言うと同時に、協力者が指を「パチンッ!!」と鳴らした。


すると周囲の風景が歪み、

目の前に武具が乱舞する宇宙空間が広がっていた。

《傲蝕騎士》について

彼の呼び名の中にある《傲蝕》は彼自身が持つ力の名前と、かつて最多称号所持者として与えられた《豪飾》という称号を合わせて《世界(ワールド)》が文字ったもの。

彼について後一つだけ今言えることは、「狩りゲーの世界」に侵入したときの彼は侵入するために本来の力の九割九分を使っており、本来の実力を発揮できていません。

本来の実力を発揮できたなら「狩りゲーの世界」を塗り返して泰地を救えました。

まぁ、そうさせない為の采配を、白衣を着た黒髪女性が頑張ったんですけどね


【開闢】について

この作品に最近(2023年7月上旬)22話に追加された物

設定自体は初期から在り、オロチの『鬱水鈍天世界』は未完成なので【開闢】に至っていない設定だったが、作者が今後の展開を考え未完成でも【開闢】が付けることになった。

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