廃創竜郷 ~証明&探索開始~
『ちょっと待った……マジ?』
「本当の事だよ、この部屋に見覚えある……」
そう語るオロチは驚愕と困惑を混ぜ合わせたような顔色をしていた。
「もし疑っているならアレが証明になると思うよ」
オロチが指差す方向には額縁から落ちたであろう写真があった。
オレは写真を拾い埃を掃う
『これは……』
その写真には様々な人が写っていてその中には今よりも身綺麗なオロチがいた。
「その写真は私が任務を受けたお祝いに仲間たちと撮った物」
『仲間?』
「私と同じ失敗作の子たちだよ」
失敗作……泰地の記憶にあったな。
『分かった、ここがお前が創られた施設だって事を信じる』
「よかった……」
『気にすんな、ていうかそれならこの施設の構造とか分かるのか?』
「少しなら覚えてるけど……ごめん、あまり当てにしないで」
オロチが気まずげな顔で肩を落とす
『気にすんな! もし覚えててもこの様子じゃあ記憶にある景色とかなり違うだろうし、結局地道に探索するのは変わらないんだからその間に思い出そうぜ』
「……そうだね」
ハハッ! 良い顔できんじゃん。
まあ欲を言えば顔をこっちに向けて欲しいけど……
『そんじゃあそろそろ探索を始めますか!』
「おぉ!!」
ノリ良いねぇ!
まあやることはすっげぇ地味だけどな!
「…………」
『なんか言ったか?』
「何でもない」
??? 何でもないなら良いんだが。
もしかして配慮不足だったか?
まあ気にしてなさそうだし探索開始!
『てか別れて探索した方が効率良いのでは?』
「ふんっ!!」
『痛って!』
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何故かオロチに横腹を突かれた。
理由も教えてもらえなかったし何だかスッキリしない。
まあそんなことは置いておいて。
オロチと別れてから俺は情報を集める為に〖資■■き場〗と一部が欠けているプレートが掛けられている部屋の中に入った。
『これは〖資料置き場〗か?』
資材置き場の可能性も考えてたけどこっちで良かった。
中に入ると列で並べられた棚にダンボールの近未来版みたいな箱が積まれている光景が広がっていた
『とすればこの箱に資料が入ってるはず』
オレは棚から近未来ダンボールをひとつ取り出して開けようとするが電子錠の様なものが掛かっていて開ける事ができない。
『フンッ!』
ガンッ!!
『硬った!!』
ならばと荒地は拳を振り下ろしたが腕が近未来ダンボールの強度に負けて砕け落ちた
硬すぎるだろこの近未来ダンボール、こっちの身体が砕けたんだが。
考えてみればオロチが任務を与えられたのって今よりだいぶ昔のはずなのに原型を崩してないんだからその強度は当たり前か。
『ならこれでどうだ!』
オレは背負っていた百足阿羅地を振り下ろす。
ゴガンッ!
『地面が凹んだ!』
ていうか百足阿羅地で壊せないって、
じっ地味にショック……
『こうなったら』
オレは近未来ダンボールに手を当てながら『寄生』で魂を入り込ませる。
こうすればどんなに硬くて壊せなくても、形を変えて中身を引きずり出せる。
……ついでに欠けた腕の分も補強できる。
『あっ……』
荒地が強度に反して薄目の近未来ダンボールを欠けた腕として纏わりつかせると中に入っていた紙は抑えていた圧力が無くなったからか周囲へと飛び散る。
『えーと……〖蠍と人の適合実験結果〗〖メイガスラ証明論〗〖REL計画適合体〗〖時間遡行実験〗?』
散らばった資料を見分ける為にタイトルを見ているが同じ箱から出てきたとは思えないほどその内容には統一性は無かった
『まだ出てきた……てか今更だがこれ全部日本語だよな、オロチも日本語喋ってるしさっきのプレートもそうだ。もしかしてこの施設って元々日本に在ったのか?』
……もしかしてこの世界って異世界ではないのか?
『いや……まだ同じ言語が発展しただけの可能性もあるよな。 おっし! とりあえずこの部屋の資料全部に目を通すぞ!!』
ひとつの可能性をあえて今は否定し、目を背け、新たな一歩に気合を入れた。
しかし、オレはこの気合を後悔することになる、
なぜならこの部屋にある資料は失敗記録しか残されていなかったのだから。
要するに、ただ内容を確認する流れ作業という名の苦行である。




