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オルタ・エボリューション  作者: 鬼河壱
第2章 吐露した万象
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神盤智 ~理の力~

《作者はこの時期に投稿頻度が下がることを自覚した》

血肉の海はグジュグジュと音を立てながら泰地を内へ内へと呑み込んでいく。


「フフフッこれでオリジナルを孤立できた、後は……」


白衣を着た黒髪の女性は纏肉(マニク)で埋め尽くされた世界で足掻く泰地を見て微笑し、手元のタブレットを見る。

そこには識別名とタブがあり、それを開くと多種多様のグラフが描かれていて下には数字化された達成率等も記載されている、

白衣を着た黒髪の女性は登録済みの欄から識別名で『泰地:オリジン』と検索し、その情報(内容)を確認する。


「システム管理者権限、裏コード起動。ふむ、《強欲》は解放まであと6%……まぁ起きてからの時間を考えれば速いか。それとも今の状況が欲望を促進させてるのか?」


独り言を漏らしながらも白衣を着た黒髪の女性は泰地の進捗状況の確認を続けていると血肉の海の内側から異音が聞こえることに気が付く。


「おっ、と! ハハハハハッ! やっぱりお前はイカレてるよ、普通思い付いてもそんな事(・・・・)しないだろ」


女性の視線の先では腕に魚の鱗を纏った泰地が腕を回転させながら纏肉の海をかき分けて泳いでいる。


「普通は腕を回転させれば骨が絡み合ってまともな回転として機能できないはず、てことは鱗に『変質』させた肌を『魔法』で回転させてるのか? 確かにそれなら腕を『再生』させるよりも力の消費量を減らせる。とはいえ肌を傷つける痛みはあるだろうに。それを()に出さないとは、いやはや憧れ(・・)とは恐ろしい」


そう語りながらもタブレットしまい、女性は手元に近未来風の鬼面を創り出す。


「似合うかしら?」


画面に映る泰地の顔に鬼面を照らし合わせながら女性は笑う、

それは足掻く泰地を観ているからか、それともこの先の未来を見据えてか。





「痛ってぇ!!」


思い付きでやったが痛みがひどいな……

全身の肌皮を部分で分けてるから地味に操作がムズイ、集中を乱したら『魔法』の操作ミスで自滅するなこれ。


とはいえそれぐらいなら『再生』できる、問題は『空間重化』が上手く起動できない事だ。

『空間重化』が使えれば周りの纏肉を押し潰せたのに。


だが何故だ? 他のスキルは使えるのに『空間重化』だけが使えない道理が無いはず……

いや視点を変えろ、理由は在るはずだ。

考えの括り方を変えろ。


『そういえば荒地は大丈夫かな?』


(ってダメだ集中を乱すな!)


『そういえばあんな魔法陣でどうやってこんな世界に送り込まれたんだ?』


(止めろ、それは後で考えればいいだろ)


『そもそも何で纏肉は海だと錯覚するほどの量があるんだ? あの狩りゲーにはこんなもの無かっただろ』


(止めろ……)


『知らないことばっか、分からない事ばっか』


(やめ……)


メキャメチャグジュッ


考察している時に考えてしまった雑念を振り払おうとした俺は集中が乱れ自身の腕をあらぬ方向に折り曲げてしまった。


「あっ…………」


そもそも根底から間違っていたんだ、あの女性が遊びの為に俺たちをこの世界に(いざな)ったというのはあの女性の発言から考察したもの。

決して誰かから教えてもらった正確な答え(・・・・・)じゃない。

……ただの考察(・・)でしかないんだ。


昔からそうだ、

誰も答えを教えてくれないから自分なりの答えを考えて、動いて、後悔する……


『そうだ……今だって知らない事だらけ、いつもと同じ(・・・・・・)で誰も教えちゃくれない』


あぁ……ダメだ理性が沈んでいく。


『足りない』


あぁ……足りない。


『知りたい』


知りたい……


『未だ知りえぬ未知を』


未知…………そうだ……知りたいんだ。

友の安否を、あの地の状況を、姉の行く末を……

俺の知らないすべて(・・・)を知りたい!!!


《規定の状態へと昇華しました、これによりスキル項目に《強欲》を追加します》


《【萌芽】を還gえnしmあsい%$#&*%。称号欄に《萌芽%&#》を追加しました》


俺の中で何かがカワリ、それを伝えるように無機質な(アナウンス)は言葉を告げる。


「ハハッ」


そしてその瞬間(トキ)を狙っていたかのように女性の驚喜が聞こえ……

俺の顔に仮面が被せられた。

そこに答えは無いかもしれない

だがソレには全ての断片が在る

お前はソレに縋るのか

それともソレを利用してみせるのか

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