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オルタ・エボリューション  作者: 鬼河壱
第2章 吐露した万象
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狩盤地 ~爆終帰起~

荒地は崖の上からのぞき込み状況を確認しながら自作の罠でカルバンジーの動きを完全に封じる準備を進める、

その手は慎重に、されど迅速に物と物を繋げて組み立てる


『っし! 準備完了!』

『準備できたなら早くしてくれ、これ以上カルバンジーの纏肉(マニク)が膨らんだら全身押し潰れる!』


作業が終わり集中を解いた瞬間、声を『念話』に垂れ流してしまう程に疲れた荒地だったが限界を知らせる泰地の叫びを聴き緩んだ気を入れ直す。


そして荒地は崖の上からカルバンジーに標準を合わせ、

その間に泰地は縛り付けたカルバンジーの身体を髪を利用して自身と距離を作り荒地と共有した視界の射線から外れる。


「ギィ、フォ?」


獲物が自身から距離を取ろうと動いたことを感じたカルバンジーは髪を吸収し纏肉を膨張しながらも距離を近づけようとするが、

それよりも早くカルバンジーの周囲に柱が突き刺さる。


「ギィィィ!」


カルバンジーも唯一の感覚器官である視界を遮る様に柱が現れたことで瞬間的に身体を後ろに引く


『でりゃああああああああああ!!!!!』


荒地はその隙を狙ったかのように(・・・・・・・・)崖の上から飛び降り、

バイトフックで繋げた柱で軌道を合わせながら

60m(最大)まで伸ばした百足阿羅地(ムカルアラチ)を爆破属性の武器を何十個と括り付けたままカルバンジーへと振り堕とす。







荒地が百足阿羅地(ムカルアラチ)をカルバンジーに当てた瞬間、その衝撃により百足阿羅地(ムカルアラチ)に括りつけられていた爆破属性の武器達が連鎖的に爆発し、その熱でカルバンジーに纏わり付いていた纏肉が融け俺は解放されたがそれと同時に起きた爆風で吹き飛ばされた。


「やっば、河の水が干上がってらぁ……」


『疑似五感』で周囲が水蒸気の霧に遮られていても確認できたのだが事前に予想していた以上の影響が出ていることに呆れてしまった。


『わああぁぁあぁぁあぁぁぁああ!!!!』



轟く爆音が()んでなお、噴火でも起きたのではと疑ってしまう黒煙が未だ晴れない中から叫び声を上げる荒地が俺の近くに落ちてきた。


『ドやさ!』

「地面に上半身が埋まったままの状態でよく大成功みたいな態度できるな。まあ実際成功はしてるけど……ってお前! 百足阿羅地(ムカルアラチ)はどうした?」


『(足で上を指す)』

「上? 何だあれ亀裂か?」


俺は『疑似五感』で空を見上げると、

そこには空間に亀裂ができておりそこに百足阿羅地は引っ掛かっていた。


(『再現』、『修正』、『創られた世界』、『亀裂』)


単語が俺の中で浮かび上がり一つの考察(回答)を思い付く。


「まさかあの亀裂ができている高度がこの世界の限界高度で、爆破の勢いで百足阿羅地(ムカルアラチ)が刺さった?」

『へ? なになに何が起きてんの?』


じたばたしてる荒地は一旦ほって置いておいて、今思い付いた考察に根拠を考えよう。


1:俺の知っている狩りゲーのキャラを『再現』している

これは少なくとも前世の俺が生きていた時代の知識を持っていることの証明だ。


2:カルバンジーの「できない」を「できる」に変えた設定の『修正』。

これはこの世界に管理人またはそれに近しい存在が居る事の証明であり、同時にこの世界が誰かの物つまり『創られた世界』であることの証明でもある。


3:いま百足阿羅地(ムカルアラチ)が引っ掛かっている『亀裂』。

これは『創られた世界』である事のもう一つの証明であり、

この『創られた世界』には高さに上限があって、今百足阿羅地(ムカルアラチ)が引っ掛かっているアレの先には外に繋がっている可能性(・・・)がある事を物語っている。


ならばと俺は荒地を地面から引っこ抜き急いで荒地に作戦を伝える


「お前に掴まるからあの亀裂に向かって跳べ!!」

『は?! てか服g』

「いいから跳べ! あの亀裂が『修正』される前に!!」

『!! (りょっ)!』


荒地は俺がさっきの爆発で服がボロボロになった事に驚いてたが俺からすれば『修正』される前にあの亀裂を通り抜けることの方が優先度が高いので『念話』を遮って急かした。


『チャージ完了! 跳ぶぞ!』


荒地が膝から空気を溜め足の裏で射出し俺たちは亀裂に向かって勢いよく跳んだ。



亀裂を確認してから発射までで50秒も掛からなかった事からも最速で事を進めた自信はあった、


しかしそれでも遅かった。


グジュ!


「なっ、しまっ!」


亀裂に衝突する直前、俺の足に纏肉(マニク)が絡み付き荒地から引き離される。


荒地は勢いを止められず亀裂を突き抜けた、

共有されていた荒地の視界は纏肉の海に呑み込まれる俺を最後に途切れてしまった。

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