狩盤地 ~設定変更~
爆破音を立てながら俺は大剣の刃先を背負っていた太刀で叩き、二つの爆発を作りながらながら今度は自分で波を作って移動する速度を上げる。
「ギィフォォオオォォオオ!!!」
カルバンジーは移動速度が上がった俺に対し追いつけないと判断したのか河から跳び上がり崖壁を手足を最大限に使って走り始めた。
「やっぱお前イカレてるよ」
俺はヤツの移動によって落ちてくる岩を避けながら事前に荒地から渡されていた荒地製バイトフックをヤツの腕に纏わり付いた纏肉に噛みつかせ、大剣に乗ったまま近づき大剣を空中で蹴とばしカルバンジーの近くで爆発させる。
「ギィフォォオオォォオオ!!」
「おいおい、さっきから同じ叫び声しか聞こえないぞ」
煽りながら俺は噛着クワガタを回収し、太刀をカルバンジーの口の中に刺す。
「ギョゴフォ……」
そして腰のミニバックに入れておいた爆破属性の矢じりを口の中に放り込み、太刀の刃をカルバンジーの歯に擦りつけながら勢い良く引き抜き太刀を起爆させる。
「コァホォ……」
すると口の中で起こった大爆発により体内に入った矢じりが誘爆し、黒煙を吐きながらカルバンジーは重力に従い河へと落ちていく。
その間に俺はとりあえずカルバンジーから離れながら河に潜り、落とした大剣を抱えながら水から顔を出してカルバンジーの様子を確認する。
奴はよほど変な体勢で落ちたのか水中で陸上でひっくり返った亀の様に大暴れしていた。
そしてそれは波が荒れるほど暴れているので俺は奴に近づくことができていない。
だが……
「そろそろ荒地の準備ができるはず」
そんなことを口に出しながら俺はカルバンジーから距離を離さない様に崖壁にバイトフックを付け河の流れと荒れ狂う波に抵抗しながらカルバンジーの様子を観察する。
やはりというべきか奴はいまだに起き上がれていない。
っでここからは考察だ、
アイツが泳がずにいまだに暴れているのは恐らく泳ぎ方の様なものが設定されていないからだろう、あの狩りゲーではこの河は浅瀬しかステージとして使われていなかったしシステム的にも水中戦の実装はまだだった、
明らかに泳いだ方が速いのに河の中を異様に走り続けてたからカルバンジーの設定にあった「効率的に狩りにくる」というものに矛盾していたことからもこの考察はおおよそあっていると考える。
考えてみればそもそもカルバンジーというキャラクターが目の前に居るって事とオロチが使ってた《鬱水鈍天世界》という環境を変化させられるスキルが在る時点で気が付けたことだ。
つまりこの世界は誰かが創った世界でその中の法則や生物は設定されたものでしかない。
「さあ来い! 荒」
ジジッ……ジ……
俺が荒地に合図を送ろうとした瞬間、世界がほんの少しだけズレた
「なん……だ?」
今……確かに何かがズレた。
物の位置がって意味じゃなく……なんだろう既視感はあるんだ、表現も言葉として出てきそうなんだ……なんだけど……思い出せない。
「ギィフォォオオォォオオ!!!」
「なっ!!」
さっきまで泳げず暴れているだけだったカルバンジーが突如としてこちらに掴みかかって来た。
先程までの準備万端な状況と違い気を抜いてしまっていた俺は足場のない水中でいきなりの急襲に反応する事ができず―――
「ふぎゅっ!!」
―――俺の身長と同等の大きさであるカルバンジーの手のひらに人形の様に握られ、俺は身動きが取れなくなってしまった。




