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オルタ・エボリューション  作者: 鬼河壱
第2章 吐露した万象
30/65

テラーとの契約

この回で三十話!そしてこの作品を書き始めて一周年です!

という事で後書きでほんの少し設定を公開しています。

俺の姉について少しだけ話そう。


姉の名前は武野琳廻(りんね)、前生では俺が死ぬ当時は既に大学を卒業しており家を出ていて、扇谷()と同棲していた。

ちなみに姉達は百合である。おかげで近況の話題になるとその7割は扇谷姉との惚気話だ。


まあそんな俺たち姉弟の仲は別に険悪というわけではなく、むしろ良好と言っていいだろう。

姉には勉強を教えてもらい、代わりに俺が料理やメイクを教える関係にあった。

学業の成績は良いのにそれ以外になるとダメになる点にはいつも呆れてしまっていたが、後に親友となる葵達と引き合わせてくれた人なので尊敬の念は強く持っている。

それと何故か顔つきどころか(胸や骨格はある程度除く)身体つきまで姉弟で似ているせいでお互いの知り合いにちょくちょく間違えられる事があったな。



そんな俺達姉弟とそっくりな顔立ちの者が目の前に横になって存在している、それは俺の感情を動かすのに十分な衝撃だ。


「何故? いや違う……誰?」

「? いきなりどうしたんだ」

「すまない、感情が漏れた」


ダメだ押さえろ、

聴きたいことは多く有るけどそれは今じゃない、

それに落ち着いて視ればこいつは姉貴じゃない、違う人物なんだ。


俺の事を少し心配するテラーに問題はないと伝えテラーの話を聞く。


「こいつは我の妻の人間体でな……今から大体百と数年程前に人間の手によって殺された」

「なんで……そんな人を俺へのプレゼントに?」

「人である貴様では我々竜種の死生観はわからぬかもしれんがな」


テラーは首を掻いて、どうせ伝わらないとでも思っているような顔で言葉を連ねる。


「動いていて欲しいんだよ、どうせなら…な」


テラーの顔が少し暗くなっている気がする。


「それは生きていて欲しいって事?」

「オロチ、多分だけどそれは違うと思う」


あぁ、オロチは正確には竜種じゃないんだったな、だからテラーの話に共感できてないのか。


「じゃあどういうこと」

「多分だけど竜種が死ぬこと自体が異例なんじゃないか?そんな種族の仲間がいきなり死亡した場合の心情を想像してみろ」


そのままオロチは思考の海に入ったが中々考えつかないようだ。


こいつもしかして直感以外は苦手なのか?


「まあ、とりあえず俺が想像するテラーの死生観……というか感情は『また動いているあの姿()()たい』とかだろう、どうだテラー?」

「驚いた……言い方は別として意味の方は正解と言っていいだろう」


意味(・・)は……ね、言葉を文字の意味で理解できるスキルでも在るのか?……オロチは持って無いみたいだけど。


「あぁ……やはり貴様で良かった、貴様なら『寄生』でこいつを動かせる……」


テラーは俺に(すが)る様な目を向ける


なんかテラーのキャラ壊れてないか?


「だから泰地……貴様に我の妻が使っていたこの身体を再び動かし、動いてくれないか」


正直に言えば身体を受け取ることに忌避感は無い、

ただ俺の信条に一つだけ引っ掛かる。


無償(タダ)で善意を受け取るつもりは無い、だからせめて俺なりのお返しをさせてくれ」

「そんな物は必要無い、この身体はあくまで記念だ……人間の習慣に誕生日というのがあるだろう、それみたいなものだお礼やお返しは必要無いんだ」


確かに記念品やプレゼントに普通ならお返しを望まれない、そう考えてしまうだろう。

だが……


「テラー……一つだけつまらない事を教えてやる、『誕生日に貰うプレゼント』。それは親が将来的に自分に返ってくるメリットの為に子供に好印象を与える物だ、決して無償で与えている訳じゃ無い」


俺の雰囲気に気圧されたのか、テラーが少しずつ後ろに引いていく


少し強く言い過ぎたか? だが自分の信念を変えるつもりは無いしそもそも変える必要性が無い、何故なら今考えたこのお返しはテラーにとって最高の者に成るだろうからだ。


「俺は崇められる神様じゃないんでな、テラーの為になるお返しを考えて行動させてもらう。なーに悪いようにはしない。それに、あくまで推論でしかないし成功できるかも分からない……ここまで曖昧なお返しでもわざわざ拒むのか?」


テラーの瞳が少し揺らぎ、俺を見る


「いや……すまん…少し焦っていたみたいだな、聞かせてくれ貴様のお返しを」


テラーは威勢を取り戻したようで、聞く体勢になり今度はしっかりと俺の顔を捉えている、


「俺のお返しは単純だ、この身体の持ち主……テラーお前の妻を蘇生するということだ」

「は!?」

「は!?」

『は!?』


うるさ!!三人連続で驚くんじゃねぇ!


理不尽!


さて、魂で荒地をシバいてスッキリしたところで説明しなくちゃな。


「理論はできている、というか案外シンプルで『寄生』で俺の魂とその身体に残った魂の欠片を同一の存在にする。魂が日々成長することは今まで自分を観察し続けたから実証済みだ、後は身体の人格を俺が模倣して荒地の様に分離すれば実質蘇生(・・)したことになるんじゃないか?」


テラーは少し悩み答えを出す。


「お願いさせてもらおう」

「ハハッ!俺も身体は貰えるんだギブアンドテイクで契約といこうじゃないか」

「そうだな……ありがとう」


口上だけの契約だが俺は既に貰える物は貰っているので俺が裏切らなければ良い、それに裏切ったデメリットの方が大きい以上俺は約束を遂行する。


そんな契約を成立させ俺はテラー妻の身体に『寄生』する。


岩の身体は荒地に渡した(押し付けた)、荒地は自身の身体を手に入れたことに喜んでいたので今後はキッチリその身体で働いてもらうことは内緒にしておこう。

あと俺の戦闘スタイルに合わないので百足阿羅地(ムカルアラチ)は荒地が使うことになった。


「なんか悪魔との契約をするシーンを見ていた気分」


そんなこと言うなよオロチ。

この世界のスキルについて

スキルとはあくまでシステムから補助を受けている力であり、細かいことを言えば『狂声』というスキルが無くとも『狂声』と同じことをすることは理論的には可能。

ただし一部の唯一無二なスキルは例外。


武野泰地及び共有者荒地のスキル一覧

『寄生』

『確認』

『鑑定』

『再生』×34

『空間重化』×32

『反転』×4

『魔法』

『密度変化』

『衝撃緩和』

『疑似五感』

『形態変化』

『狂声』×32

『念話』

『増殖』

『変質』

『異志翻訳』

『水竜』

『*重*格』

『使用不可』

『使用不可』

『使用不可』


サラッと言っておくとテラーは葵の身体である竜の父親です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 竜でも抱えてる感情はあまり人間と変わらないのなんかエモいな、と。 [一言] 一周年おめでとう! さらっと大事そうな設定出すやんけ...ってのは置いといて、これからも応援してるぜ!
感想一覧
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