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オルタ・エボリューション  作者: 鬼河壱
第1章 呑郷の森羅
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武野の疑問

「私の事を知ったってあなたに有益な情報は無いと思うのだけど……」


『情報の価値なんて人それぞれだろ、それに俺はまだお前のことを信用できてない』


「まだ信用してもらえないの…頭なでなでしてくれたのに?」


うぐっ……それを言われりと耳が痛い、

確かにこいつに対しての警戒心(・・・)は無くなってきてるけどそれと信用(これ)とでは話が違うんだよなぁ。


「まぁ私の事をもっと知りたいと思ったのはまだ私と戦う可能性があると思っているからだよね?」


………………


「まぁ信用してもらうには丁度いいかもね」


OK……とりあえず喋れ喋れ


「まず名前(識別名)はさっき言ったし私の種族について話すね」


おっ……あれ? 竜じゃないのか?


「私の種族は正確には合成獣(キメラ)に分類されて蛇と人と蜥蜴(トカゲ)蝙蝠(コウモリ)と*の力の一部を組み合わせてできてるの」


また開示制限か……ちょっと多くない?


『あれ? じゃあ竜の要素は何処から来たんだ?』


ノイズがわざわざこんなわかりやすい部分にされるとは思えないし……


「竜なんて実在するわけないじゃない」


『いや……お前さっき竜みたいになってたじゃん』


つーかそうなるとテラーの存在も引っ掛かるんだが……


「それは自己紹介の時にも言った様に私が「竜」という種族を作る実験の初期型だったからなの、つまり見た目を「竜」という幻想生物に近づけることが目的で……簡単に言うと実在しない生物を創ろうって実験なの」


『なぜそこで簡単にしたし…』


いや、実際簡単になったから助かるけど……

って事は、テラーは「どっち」なんだろうな


「その中でも私は増殖…つまり竜という実験媒体の増産が目的で作られたの…まぁ結局私は失敗作で生み出せるのも蛇になってしまって創造主に本来の役割(増産の仕事)から外されてしまったんだけどね」


『そして新たに与えられた任務(役割)を遂行中にナニカに襲われてここにいるってことか?」


「そうだよ」


はぁ……種族関連は結局こいつを知ることには貢献してくれなさそうだな。

てか俺『鑑定』で調べればよかったな。


『鑑定』

《種族:合成獣(キメラ)》(五種類)


いや、少ないな

もうちょい情報ないのか?

いや……そもそもこの『鑑定』のスキルの「定義」が俺の考えている物と違うのか?


「もしかして『鑑定』を使った?」


これバレるの!  


いや……それだとおかしいな。もしわかる物なら、俺がテラーに『鑑定』されたときに俺自身が気が付いていない事に矛盾する。


『なんでわかった?』


「そりゃあ見られていたらわかるよ!」


『それじゃあ説明になっていない、俺は最初からお前のことを警戒して見ている。そんなことじゃあ『鑑定』を使われたなんてわからないはずだ。それに、俺は前に『鑑定』を使われたことがあるが何かに見られている感覚もなかった。お前はいったいなんだ? ……俺をどう(・・)したい?』


「あれれ……せっかく少しずつ信用してもらおうとしていたのにまた仕切り直しですか?」


『あぁどうやらそうなったみたいだな」


「まああなたをどうしたいかというと……実は私にも正確な答えを出せないの」


『それは開示制限のせいか?』


「ううん違う……私の与えられた役割にとって今のあなたの状態はイレギュラーで、あなたと外に出た後はあなたを連れて私が創られた場所に行けば良いのか、それとも自由にしてもらった方が良いのかがわからないの」


おん?


『今更だが聞かせてくれ、お前はどうなりたい?』


「だから! それは正確な答えがだせn…『あー違うそうじゃない』……へ?」


『俺が今聞いているのは俺をどうするのかじゃなく、お前が自分(・・)をどうしたいのかを聞いているんだ。お前の事情を聞いてて思ったんだが、お前自身のことに対しての情報が少ない。俺は言ったはずだぞ……お前のことについてもう少し教えてくれって、今のままだとまた結論がノイズで聞き取れない俺のことについて説明する流れになっちまうからな、少し流れを変えたいんだよ』


「それはあなたには関係ないことじゃない? それで私があなたに信用される気がしないし、それに……」


『話を聞いてた? 俺は聞きたいっていったんだ、むしろさっさと喋らないことによって信用できなくなってきてるぞ? それはお前にとって大丈夫なのか?』


「…………」


『俺が今話を脱線させていることは自覚しているが、それでも俺は今気になったことを聞けるうちに聞いておきたいんだよ』


わかってる、こいつのことに関しては今俺に全く関係無いことに、


気が付いている、こいつは今自分のことを客観的な存在として見ていることに、


だからこそ不思議に思っている、さっき戦っていたこいつには自分の目的の為に動いている「身勝手さ」を感じたのに、

今、目の前で会話している奴にはそれを感じない。


『答えが出ないなら別の質問を投げさせてもらうがお前はいったい何のために任務をしていた?』


「それは命令されたからで……」


『だからなんで命令されたらしなくちゃいけないんだ?』


「…………」


『また固まったな、もしくは俺の考え方が伝わってないのか? だとしたら言い方を少し変えて質問するぞ、お前に何の利益が在ってその任務を遂行する』


「利益? そんなの考えなくてもいいでしょ……」


『いいや利益を考えることは必要だ、どんな人物だって自分に対して何かの利益が在るから行動に移したりする』


「誰かの為に自分の利益を考えずに行動する人もいるでしょう」


『いいや俺の持論ではそんな奴は何も考えていない奴しかいないと思っている』


そうだな……


『例えばだが、劇団員を目指す学生がいてそいつが演劇の才能を持っているクラスメイトを見つけたとする、劇団員を目指す女は才能を持つ男に対して「君には才能があるから一緒に演劇をしてみないか?」っと聞いたとする、その時女には男の才能を無駄にしたくないっという思いだけ(・・)で動いたと思うか?』


「えーと、一緒にやれば才能のある人の動きが見れるからそのために……とか?」


『それもあるだろう、だがより将来的なものを考えてみよう。その男が将来、演劇の舞台に立っていれば、劇団員の中にいる女からすれば色々と有利だろう? 例えば結婚という人の憧れにも、他の(団員)より近づくだろう。その他にも仕事としても昔からの関係で変に気を遣う必要もない。まぁ、直ぐに思いつくのはこのぐらいだが、こう考えるとほんの些細なことでさえ人は利益を求めて行動していると思わないか?』


まぁ今考えた作り話だけど……


「じゃあ私は何も考えずに任務を受けて従っていたとでもいうの?」


『そうだ、そもそも会話し始めてから俺はお前に対して、恐れを感じなくなっているからおかしいと思ったんだよ。あくまで予想だが、お前は「戦闘中」と「今」とで考え方……もしくは人格(?)的なのがが違うんじゃねえか?』


いやまぁ、そうじゃなければおかしいんだよな


こいつは、さっき俺と戦って余裕を残して勝った奴なんだぞ? 

そんな相手に俺が人生相談の先生役みたいな話し方をしているのはおかしいん(・・・・・)だよ。普通の人間は負けたら相手に対して弱気になるはずなのに、今の俺は全くその気が全くない。

それどころか強気だ。


どのタイミングでこいつに対しての弱気が無くなったか考えると……

こいつが「話しをしよう」って話しかけてきたタイミングだな。

あの時にはこいつに対しての恐怖心が薄まっていた気がする。


『お前は最初にあの大蛇の仇で俺を襲ってきた。なのに今、その仇の話は一切出てこない。まるで私情を捨てているみたいに任務の話ばかりしている。いったいお前は何がしたいんだ?』


「私は……私は!




…………何がしたいんだろう?」


『いや知らんがな……』


正直メンタルに余裕が欲しかったから始めたこの会話に覚えておこうと思えるほど興味は無かったんだが……

まぁ俺が作った流れだしな。

こいつなりの「答え」が見つかるまではこいつの話を聞いておくか。

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