目覚め
『ゴポッ』
水泡が割れる音が聞こえる
(……生きてる?)
何故…自分は生きているのだろう?
[呼吸を確認しました]
(⁉︎⁉︎)
人の声が聞こえ目を開けて声の聞こえた方向に目を動かす。
その声はスピーカーから出ていた。
[個体の起床を確認しました、栄養剤の投与をはじめます]
その声を聞いて周りを確認してみると、自分がカプセルの中で水中に入っていることに気がついた
その奥に映る風景は、よくアニメなんかで見た近未来施設の白い壁だった。
置かれている状況に理解できずに俺が混乱していると。
「どうやら生まれたばかりで混乱しているみたいじゃな」
いかにも博士ですみたいな老人が俺に近づいてきた
いやそんなことよりも
(小さくね?)
なんなんだこの人、人……だよな?
世界で一番低身長な人でも50cmはあるはずだけど今目の前……いや下にいるこの人(?)は2、30cmぐらいしかないように見える。
そんなことで疑問に思っているとその博士みたいな老人の後ろから若い女性がやってきた。
「博士、気が早すぎますまだ管をつけたままなんですから会話なんて出来ませんよ」
「なんじゃ別に会話のために話し掛けたわけではない、ただ状況を確認していただけじゃ」
そんな会話をしながらその二人は扉から外へと歩いて行く。
でもそんな事よりもあの女性の身長も扉のサイズも大体同じだった事にさらに疑問が大きくなる
(もしかしてあの人たちが小さいわけではなく俺がでかいのか?)
自分の中で結論付け、今度は自分の現状を更に知るために恐らく呼吸器が付けられているであろう口元に手を動かして触る、そのとき管らしきものに触った。
そのとき俺は手元に違和感を覚えた、
(何だこれ?)
違和感の確認のために手を目の前に出す、そこには鋭い爪と薄く透明な鱗があった。
(いや、手だけじゃない)
その透明な鱗は俺の全身にあった。
そのことに驚いていると視界の端に翼脚の形状をしている物が見えた。
(まさか…)
実際に触ってみると触られた事を自覚した。
(これも俺の身体の一部なのか……)
そこまで考えて俺は自分がもう人間ではない事を理解した。
(つまり俺は、転生したのか?)
自分の状況を考えて一番可能性があることを思い出す。
(この見た目って竜とかドラゴンだよな、でもなんで鱗が透けているんだ?)
自分が何に転生したのか考えていると、
[個体の知性行動を確認しました]
再びスピーカーから人の声が聞こえた。
(この声、さっき出て来た若い女性とは違う人の声だったんだな)
「うひょー、もう考えることができるのか、おい! こいつを【庭】に連れて行く準備をしろ」
さっきの老人が扉から飛び出してきていきなり俺の移動を手に持っている通信機らしきものに向けて命令し始めた。
そのままさっきの若い女性がはしゃぎまくる老人を連れて行くとその後ろから作業員らしき人たちが俺の入っているカプセルを見たこともない重機を使って移動し始めた。
そうして移動した先にはトンネルがありスピーカーからここからは俺自身で移動するように言われ、同時に水抜きされたカプセルの中で呼吸用の管が蒸気を吐き出しながら外された。
カプセルから出てトンネルの先にある光を目指して歩く、そこには緑一色の綺麗な平原が広がっていた。