{死}火山の試練 其の二
俺は今…懐かしいと感じる部屋に居る
そして前世で中学一年生だった頃の姿で居るという事は今見ているこれは状況的に走馬灯というヤツかな?
そんなことを冷静に考えながらも俺はテレビゲームをしている二人を眺めている
「なぁ葵…ゲームとかで追撃ってあるだろう、あれってさ実際に殺し合いをする時ってかなり大切だと思わないか?」
「なぁ/■■/、俺から欲しかった言葉が返ってこなかったからって実の弟にそんな物騒な質問するか?」
彼らの事はよく知っている
顔が自身の姉に似すぎて初めて会う人には美人な女性と勘違いされる方が親友の武野泰地、そして漫画の男主人公みたいな顔をしているのが双子の…兄弟の/■■/だ。
少し補足の為に説明すると親友である武野泰地は小学校時代からの縁でいわゆる幼馴染に識別される関係だ。そして俺からすればある面で師匠でもあるが……今はどうでもいいか。
「だってお前はさも当たり前の事みたいに言ってきたから一般的な意見を葵に聞くんだよ!」
「だってそうだろう?殺し合いなら相手に遠慮する必要が無いんだから追撃っていうのは大事なもんだろ?だから積極的にするべきものに区分されるもんだろ!」
「だからお前は何でそう殺す事に関して細かく想像できるんだよ!」
「思い付くもんはしょうがねえだろうが!」
あーだこーだ口論している二人を見ながらも俺は現状について考える
(走馬灯を見れているってことはまだ死んではいない……とはいえ起き方なんて分からない以上はこの夢を見続けるしかないな)
「ていうか葵、姉さん達はまだ来ないのか?」
(ねぇさん?誰…だっけ?)
「/■■/、呼ばれたから来たわよ」
俺が振り返り、思い出せない人物の顔が視界に入る瞬間
赤黒い液体が視界を覆い隠し、思い出せない人物の顔を遮ったせいで俺はその顔を見る事ができなかった。
―――――――――――――――
(あぁ…やっぱり今見ていたのは夢だったのか……)
葵は意識を取り戻して直ぐそんなことを考えていた
ブシュゥ……
(熱い……何だ?)
葵は直ぐに周囲を確認する
(?俺は何を噛んでいるんだ……)
そして葵は自身の顎が何かの首筋に力強く噛みついていることに気が付いた、葵は直ぐに顎の力を抜こうとしたが身体がまるで言う事を聞かない。
(いや待った……そうだ!だんだん思い出してきた……俺は亀を殺そうとしてたんだ)
葵はさっきまで何をしていたのか、そして今噛みついているこれが何なのかを思い出しあやふやだった意識を整える、
だがそれと同時に葵は体に違和感があることに気づく
(視界が狭い気がする……いやそれだけじゃない!左(半身)の感覚が無い!)
ブジュッ!
(いや……そうだ!このクソ亀の甲羅の上には火山があった、それならこの音はマグマに溶かされてる俺の身体の音!)
だが結論を導き出せたところで顎の力は弱められない、既に身体は首筋を噛み切ることに集中してしまっている。
『追撃ってあるだろう、あれってさ実際に殺し合いをする時ってかなり大切だと思わないか?』
(そうだ追撃!ありがとう!走馬灯の中の……中の…誰だっけ?)
葵は自身の記憶に違和感を覚えるが
(記憶の事よりも今を何とかしなきゃ)
流石に殺し合いをしている最中に考える事ではないと判断し保留にした。
「gyagogogogogogogo!」
城山大亀が叫ぶと葵の身体に噴石が降り注ぐ。
(考えろ、この状況から追撃する方法を!)
打撃攻撃:全身がボロボロなので不可
スキル攻撃:『戦技』『闘技』は勿論の事、『飛行』による逃走も自身の身体で封じてしまっている。
ならばどうすればいいのか、葵は既に答えを出している
(スキルだけなら弱い……なら!)
葵は体内に力を込め口内からブレスを放ち
爆ぜる
◇
痛ってぇ今俺の身体どうなってんだ?
とりあえず『再生』を使って失明している両目を治しておこう、
良かった首を吹き飛ばせれてる!
動かないよな……
いま動かれたら流石に死ねる。
ボフゥン!
!!?!???!
ビックリしたぁー
あの火山まだ動くのかよ……
ゴフッ、ゴフッ
あれ?なんか様子がおかしくな――
バゴーン!!!!
――はい!生きてました!もう無理流石に死ぬ!何で頭を無くして動けんだよ……
なんか傷口から流れ出ている血がマグマになってんじゃん、恐……
てかこっちに近寄って来てんじゃん、何で俺の場所が分かんだよ!
ボガッ!、ドコッ!、ベチャ!
音が…効果音がキモイ!
グショァァ
よし!クソ亀の身体が溶け出した!
そのまま死んでくれ、じゃなきゃ俺が死ぬから!
そしてクソ亀の体勢が崩れようとした瞬間、
「Karorororo」
周囲が凍り始めた。
城山大亀の設定
元々は竜種と同じくREL計画の素体の一つで自身の身体に環境を作り出すという生態を持つ。




