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770話 次に向けて動き出さないとだな




 「それにしても良いですよねぇ石田さん。捕りたての奴丸々何匹も食べたんですよね? 羨ましいなぁ……私達も食べたかった……」

 「何回か地底湖の近くも通って来たしな。捕まえる機会はあったわけだ」

 「言ってくれればちょっと寄り道ぐらいしたんだがなぁ」

 「けどあの時はまだ言っていいかどうかなんて知りませんでしたからね。自分もまた食べたかったけど我慢してたんですよ。まぁ、また今度潜った時の楽しみにすればいいかと」

 

 報告会を始めてそれなりに経った頃。お互い必要そうな事もだいたい伝え終わると普通に夜食を楽しんでいた。

 食も進みしっかりとお酒のおかわりも届いている。約束通り2本目は自分からの奢りという事で更に飲むスピードも上がっていた。とは言えそろそろお開きも近そうだ。


 「これからは冷凍した奴を持ち帰って来る探索者も居るでしょうし地上で食べる機会もあると思いますよ。探索者が自分達で食べるかもしれませんけど」

 「依頼を受けて持ち帰って来る探索者も居るでしょうけどそれを私達が食べる機会なんてありますかね? 伊勢海老とかロブスターみたいな奴なんでしょ? 流石に手が出せませんよ……」

 「少なくとも最初は高級料理店が物珍しさで買い上げるだろうな。俺達がそんなところで食事をするかと言えば……」

 「まぁ、まずそんな店には行かないな。正直需要に供給が追い付かんだろうよ」

 「おそらく自分達で獲ってくる方が食べられる確率は高そうだな。……混まない内にまた探索に行くか?」


 地上で食べるよりも自分達で直接確保する方が確実だろうと頷く浜田さん達。やっぱり話が広まったばかりだと需要に対し供給が不足するのは避けられんだろうなぁ。

 マジックアイテム探しもそうだが、今度ダンジョンに潜る際は必ず地底湖にも寄ってくるかと真剣な表情で話し合っていた。数はそう居ないかもしれないので混み合う前に早めに潜り確保してしまおうと。その前に地底湖のモンスターをどうにかする必要があるが新しくモンスターが湧いていない今の内がチャンスなのも確かだ。

 世間的には2つのダンジョンで新しく異変が起きたとそちらの方が注目度は高いだろうし狙い目は今の内だろう。自分としてもそっちの方をどうするかまず気になってるしな。


 「探索者になってからは初探索後だし少し休憩するのも有りかと思ったがあんまりゆっくりもしてられなさそうだな。装備の確認が終わり次第また動き出すか」

 「その間に異変が起きたダンジョン2カ所の情報も改めて調べておく必要もあるからな。攻略開始日時はしっかり把握しておかないとだ」

 「軍に居た頃よりかは時間があるとはいえなかなかに忙しいな……」

 3人揃って小さく溜息を吐くとコップに残っていた酒を一気に呷った。こればかりはいろいろとタイミングが重なったし仕方のない事かもしれないけどな。


 「さてと……そうなるとこれからすぐ動き出す必要があるか。石田さんの方はもう食事も終わってますね」

 「ええ、自分の方は問題無しです」

 「じゃあそろそろ解散とするか」

 「だな」

 その浜田さんの声に合わせ全員が椅子から立ち上がった。まだ瓶にお酒も残っていたが後は持ち帰って家で飲めばいいだろう。3人からの感謝の言葉を受け取りつつ腰を伸ばした。


 「資料室でちょっと調べ物でもと思ってたがそれは各自でやるか。この後は個人倉庫でファイアーゴーレムを受け取ってそれで解散で良いか?」

 「そうだな」


 深田さんの言葉に頷く浜田さん。4人して個人倉庫へと向かう。

 後はそれ等の素材を分け合えば今回の探索も一区切りだ。正確には明日浜田さんから掛かってくる電話がそうだが顔を合わせるのはとりあえず今日までだ。明日からはそれぞれ今後に向けいろいろと準備もしないといけないし忙しくなるだろう。ばらしたゴーレムの再生ぐらいは今日中に終わらせとくかな。

 個人倉庫へ着くと浜田さん達が借りている室内で作業を終わらせる。素材と一緒に浜田さん達の荷物も渡し終えたしこれでやることは終了っと。


 「それじゃあ自分はこれで失礼しますね。今回の探索お疲れ様でした」

 「今回はいろいろとありがとうございました。特に運搬に関しては大助かりです。明日電話かメールを入れますので待っててください」

 「また今度予定が合えば一緒に潜るとしよう」

 「その時には俺達も駒を1セットは手に入れておきたいもんだがな」

 出て来た個人倉庫前で浜田さん達に別れの挨拶を告げる。それぞれに返事を返すと飛行を使い空へと上がった。酒で火照った体に夜風が気持ちいい。


 「んんーっ! 疲れたぁ~! 流石に今日は筋トレしなくてもいいかぁ。その分しっかりと体動かしてきたしな」

 空を飛びながら大きく体を伸ばし探索の後の疲れを癒す。1人になった事で気持ちも緩んだようだ。


 「とりあえず帰ったらゴーレム直して風呂入って装備の手入れをして……情報を確認するのはその後だなぁ」


 これからやるべきことをリストアップしつつ気になっている2つのダンジョンの事を考える。とりあえず地図も貰えるみたいだし攻略への参加はひとまずする方向で考える。浜田さんの話だと参加さえすれば管理部から地図が貰えるという事だ。全部の階層攻略に参加しなくてもいいのは有難いね。

 その辺りの詳しい情報は明日管理部へ行って再び聞けばいいだろう。情報の確認とは言うもののパソコンでHPを見て回るぐらいしかやることが無い。後は現地にいる人達の書き込みを見る程度だ。そっちは憶測など情報がいろいろと錯綜してそうだけどな。


 「それとダンジョンの事も気にはなるけど他にも持ち帰って来た魔石車の事もあるしな。八田さんにも連絡して時間作ってもらわないと。そっちの大きな荷物を片付け終わったら管理部へ行くかな……」


 明日は明日で忙しそうだなとそう予定を考えつつひとまずは倉庫へと向かう。浜田さん達ではないが、こちらもこちらでやることが重なってしまい帰ってきたばかりとはいえゆっくりとする時間はなさそうだった。

 何はともあれ、明日からまたすぐに動き出さないとだな。





 「はい……はい、わかりました。朝早くからありがとうございます。浜田さん達も忙しいでしょうに、すみません。

 はい、ではそういう感じでよろしくお願いします。お2人にもよろしくとお伝えください。それではこれで失礼します」


 そう言って通話を終える。これで管理部に卸した素材の方も一段落っと。


 次の日の朝。無事に目覚まし通りに起き身支度や朝食を済ませていると昨日言っていた通り浜田さんから電話がかかって来た。

 そこまで早くも遅くもないのだがちょっと前に起きたばかりの自分としてはもう動きだしている浜田さんに頭が下がる思いだ。報告ありがとうございます。


 「振り込みの手続きもやってくれるそうだし後は向こうにお任せと。これで完全に今回の探索は区切りがついたな。それじゃあ後はそれぞれ次に向けて動き出すとしますか」


 パソコンを起動させ昨日少し調べていたダンジョンの情報を映し出す。

 やはりと言うか、情報としては昨日浜田さんに聞いたような事ぐらいしか載っていなかった。知らせを聞きダンジョンへ向かったPTもまだ帰ってきていないのだろう。最初に調べに向かった管理部が一番情報を持っているのは当たり前か。

 HPでわかる限りを見てみたがどれも以前どこかで見たような情報ばかりだった。どうやらあちらのダンジョンでの異変もこことそう変わりはないらしいね。


 「モンスターの湧き異常に通路の変更、それと宝箱もいくつか見つかってると。調査班が撮って来た画像も載せられてるしこれを見ちゃったら自分達も見つけたい欲求に駆られるだろうなぁ。

 見たことのないマジックアイテムやっぱりもあるな。むしろそっちの方が多いんだけども。この中の内ゴーレムが配置した宝箱から見つかった奴も混じってるんだろうな。調査班は結構美味しい思いしてるっぽいね」


 見つかっているマジックアイテムの量的に自分が関与した宝箱もあると思われる。地図を更新するついでにマジックアイテムも見つけて来たとHPには書かれていた。

 これもある意味他の探索者を呼び込む為にでかでかと記載しているんだろうか? 確かに未発見の宝箱はまだ残っているだろうしこちらのダンジョンで宝箱を競うい合うよりかは見つかるかもしれない。皆これ等を見て移動していったという事かね?


 「なんにせよ他のPTが動く前に行動をした方が自分達にとってもチャンスだからな。旨みが有るなら移動だってするか」


 とりあえずわかった情報はこんなものかとパソコンの電源を落とし出かける準備を行う。ここで今調べられるのはこんな所だろう。

 縁側の雨戸も閉めると転移を使い場所を倉庫へと移す。そして自分も動き始めるかと電話を掛けた。


 「あ、もしもし八田さんですか? 朝早くから失礼します。実はちょっとご相談があるのですけども……これからお時間の方って大丈夫でしょうか?」




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― 新着の感想 ―
[一言] 久しぶりに読み返したら、だらだら読むのに丁度良い感じで数日で最新まで追いついてしまった 連載再開待ってます
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