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749話 食べて飲んで聞いて話して




 「こんばんは、お疲れ様です。浜田さん達3人共もう揃ってらっしゃいますね」

 「こんばんは、石田さん。ええ、探索者になってからは3人集まって話し合う機会も増えましたからね。今日もそんな感じでしたし」

 「3人しかいないが今はこれが俺達のPTだからな。必然的に集まる事は多いだろう」

 「同じアパートに部屋を借りているというのも関係しているだろうがな。軍に居た頃よりもつるむ時間が取れるようになったというわけだ」


 夕飯前の時刻。管理部で待ち合わせ通りにやって来るとそこに居た浜田さん達と挨拶を交わす。今は同じPTとして軍に入っていた頃よりも話す事は多いそうだ。

 昇進してからというもの、どちらかと言えばそれぞれ部下を持つ立場になったそうだし話す機会が失われたのも仕方ないのだとか。同期で同格と全く機会がないわけではなかったそうだが。


 「それでは石田さんも来たわけですし荷物をお願いするとしましょうか。物は個人倉庫に置いてありますので」

 「了解です」


 そう言うと4人して個人倉庫の建物へと移動をする。初めからこっちで集合でも良かった気がするけどな。

 建物へ到着すると早速浜田さん達が借りているという個人倉庫内へと案内される。纏めてあるのですぐに終わるだろうとの事だ。

 そして部屋へ到着すると浜田さん達の指示に従い荷物を駒から出したゴーレムに背負わせていく。確かに浜田さんが言うように物の数分で準備の方は終わってしまった。


 「では当日はよろしくお願いします。さて、荷物の方はこれで終わりましたし移動しましょうか」

 「ちょっと早いがさほど気にすることもあるまい。店へ行くとするか」

 「だな」


 これでここでの用事は済んだと今度は行き先を予約している店の方に移す。以前のあの店であればここから5分と掛からないだろう。

 手早く済ませたのもあって思いのほか簡単に建物を出る事が出来た。こういった荷物の移動なんかは軍時代に慣れてるらしいのでそのおかげなんだとか。

 最近はゴーレムへ荷物を取り付けたり取り出したりも訓練でやっているらしい。今までもなかったわけではないそうだが頻度を上げたそうだ。これも駒の影響だろうね。


 個人倉庫の建物からしばらく歩くと以前も来た事がある店へとやって来た。お好み焼きは外せないとして後はやっぱりもんじゃ焼きだろうか。目の前の鉄板で焼きそばを焼くというのもいいね。

 暖簾をくぐり店内へと入って行く。時間も時間だからか結構な賑わいだった。予約を取れたのはラッキーといった所か?


 「正直予約もほぼ満席状態らしくてな。管理部からも近いし人気なのが頷ける程の繁盛っぷりだ。実際その後予約の時間を移動させられるか聞いたらもう無理だった」

 店員さんに席へと案内してもらう後ろで広田さんがそう語った。予約を入れた時間もほんとギリギリだったっぽいね。


 「こちらがご予約のお席となっております。それと現在大変混み合っておりますので、食べ放題のお時間から10分を過ぎますとお声掛けさせていただいております。ご理解の程よろしくお願いいたします」

 「わかりました」

 「それと当店のご利用は初めてでいらっしゃいますか?」

 「いえ、何度か来ていますので」

 「畏まりました、それではごゆっくりどうぞ」

 そう言うと店員さんは伝票を置いて離れていった。


 「さて、それじゃあ注文を始めるとするか。とりあえず飲み物からだが……」

 「生中で」

 「同じく」

 「自分も最初はそいつで」

 「生4つと」

 すぐさま飲み物も決まり店員さんを呼ぶ広田さん。ソース系と味も濃いしビールのさっぱりさとは相性良いよな。

 お冷とおしぼりを持ってきてくれた店員さんに注文を告げる。後はメニューの方だ。


 「それにしても……これで手持ちは装備といくつかのポーチだけで済むわけか。いやはや、楽なものだ」

 「ダンジョンへ転送する時も荷物を気にしなくて済むからな。なんとなく背中が寂しい気はするが慣れるしかあるまい」

 広田さんと深田さんはおしぼりで手を拭きながらそんな事を口にする。こればかりは慣れてもらうしかないけどね。


 「結構すぐに慣れますよ。なにより動きにくくなるよりは全然マシですし」

 「普段が普段でしたからねぇ。背中に荷物が無いのはやはり違和感があっても仕方ないかと。まぁ、石田さんと潜る時以外は普段通りなので慣れすぎるというのも問題ですが……。それを考えるとやはり自分達でも駒の入手を期待せざる得ません」

 「出来ればそうなってくれる事を祈るしかないな」

 「全くだ。そうでなければ人数を募集しているPTに参加させてもらう事になるしな。軍の出だけに受け入れられるのは有難いが」

 「動きが統率されてたり普通の探索者よりも状況の判断を任せることが出来そうですもんね。そういった意味でも軍経験者は喜ばれますか」

 「期待通りに動ければいいのですけどね。まぁ、そこはやってみるしかありません。

 さ、ともかくそれは今置いといて注文を決めましょうか。ひとまず1玉ずつ何か頼みましょう」

 「そうだなぁ……」


 メニューを見ながら注文を決めていく。まぁ、後の事は追々様子を見ていくしかないのも事実だ。自分としては駒が見つかるよう祈るだけと考えを脇にやりメニューに目を通す。やはりまずはオーソドックスに豚玉か?

 なるべく他と被らないよう料理を選んで行く。まぁ、それぞれ好きな物を食べて分ける形でもいいんだけどな。

 そして料理も決まると再び店員さんに注文を告げる。ともかく明日の事はあるけど今日は飲んで食べて英気を養うとしますか!





 「では……かんぱーいっ!」

 『かんぱーいっ!』


 お互いカキン! とジョッキをぶつけ合い一気に飲み始める。やはり最初の1杯に飲むビールのこの喉越しは最高だ!

 目の前でジュウジュウと焼けるお好み焼きの音を聞きつつおつまみの枝豆に手を付ける。塩加減も良い感じ!


 「お3人共軍へのお勤めお疲れ様でした。それと探索者おめでとうございます?」

 『ありがとう/ございます』

 こちらの言葉にそれぞれ笑みを浮かべつつ頷く3人。照れ隠しなのか再びビールを口にする。


 「いやー、それにしても探索者になったと聞いた時は驚きましたよ。結局階級っていくつまで行ったんでしたっけ?」

 「なんだかんだで准尉まで行きましたね。このぐらいまで上がったのであれば私としては上々ですよ」

 「本来その階級まで行くとなればもっと時間がかかると思っていたからな。嬉しい誤算という奴だ」

 「早くに探索者へ異動出来たし文句はないがな。まぁ、止める際にちょっとドタバタはあったが……」

 「ちょっとな」


 苦笑いを浮かべながらそう口にする浜田さん。部屋の荷物を片付ける際にちょっとと口ごもっている。まずい事ではないらしいので壁に穴を開けたとかそんな感じではないのだろう。

 それぞれ除隊後の住居が一緒のアパートだったりと引っ越しもすんなり終わったらしい。その際に何かあったそうだが苦笑いを浮かべているだけだった。


 「まぁ、その事は置いといて明日の話でもしましょうか。集合する時間はどうしましょう?」

 「今は人も相変わらず多いからな……なるべく早めに列へ並ぶ方がいいだろう」

 「朝早くだとそれはそれで辛いが目を覚ます時間は幸い? な事にたっぷりととれるしな」

 「そうなると本当朝方とかの方がいいですかねぇ? 今日は帰ったらなるべく早く寝ましょうか」

 「それがいいでしょうね」

 明日広場に集まる時間を決める。これがあるので攻略の話は早い所発表してほしかったりする。帰ったら手早くやる事を済ませさっさと寝るとしようか。


 「それでまぁ、潜るまではそれで良いとして今回の探索の方針ですね。

 正直何処でも変わらないでしょうし、一応モンスターの成果も考え4層でマジックアイテムを探しながらという事でいかがでしょう?」

 「それでいいと思います。モンスターは出会えさえすればゴーレムが背負う荷物も増えていう事なしですかね」

 「マジックアイテムを目的に探すのであれば1層とか2層の方がいいような気もするが流石にそっちは更に人も多いだろうしな。なるべく離れた4層の方がまだマシか……」

 「しかし他もそう考え3層4層へ行く探索者が増えてるそうだがな。とはいえ裏の裏の裏をとか考えても正直わからんな」

 「なので裏を読むことなく最初から1番人が到達して無さそうな4層へ行くとしよう。こればかりはもう賭けだ」

 「仕方ないですよね」

 4層攻略から日もそれなりに経ったし正直どの階層も似たり寄ったりになってしまっただろう。3層が1番無難かもと言う期待とて帰って来た探索者から話を聞きそちらへと行った人は多いそうな。今はどこが空いてそうかとか予測も立てられなくなっていた。


 「考えるだけ無意味という奴だな。管理部が今の状態を数字に出そうとしていたそうだが結局やめたそうだ。統計を取るのもそれはそれで大変だろうしな」

 「一応潜る際の参考にはなりそうですけどね。それだけどこも一緒になって来たとかわかり始めたからとかですか?」

 「詳しくは聞けなかったので何とも。そんな感じかもしれませんが」

 「わからない事を憶測で話していても仕方ないと思うぞ。それよりも俺達の隊列とか動き方の話をした方がいいのではないか?」

 「手に入れたマジックアイテムもあるしな」

 「確かにそっちの方が重要だな。それじゃあ次の話に移るか」

 「浜田さん達と探索した時からマジックアイテムも増えましたしね。確かにそれは必要ですね」

 「駒にゴーレムが大量というのは今更言う必要も無いわけだけどな。あの腕輪の事もあるし使える手は確実に増えているか。羨ましい限りだ」


 そう言って焼けたお好み焼きをひっくり返しながら別の話へとシフトしていく。

 使える属性が増えたのは地上を飛んでいる所からもわかるだろうしこちらの話に期待と3人は顔を向けて来た。

 確かに戦闘方法もあの時とは変わっていると腕輪を含め手に入れたマジックアイテムの事を話し始める。まぁ、遠距離攻撃は相変わらずだけどさ。

 それと浜田さん達もマジックアイテムを手に入れたらしいのでそちらの事も聞かないとだ。結構食べたり話したり忙しい食会になりそうだね。





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