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739話 確認は大事




 「はい、これで手続きは終了となります。ご依頼の方お疲れ様でした」

 「どうも」


 そうして用を終わらせると受付から離れる。ついでに新しい依頼でも見ていこうかな?

 管理部の2階にある依頼受付で手続きを済ませるとついでと思いパソコンの方へ近寄っていく。今回と同様の依頼は他にもあるだろうか……。


 「やっぱり駒を使った運搬の依頼ってそれなりに来てるっぽいな。ダンジョン街の内とかなら引き受けるのは有りかね」


 範囲をダンジョン街に限定すると続きを検索する。他の街まで行くのはさっきやり終えたし今度は近くの仕事を受けてみるとしよう。

 範囲を絞り検索をするとダンジョン内だというのに結構依頼が出て来た。


 「資材の運搬に樹木の植え直しと木の運搬、それとダンジョンの素材を移動させる依頼ね。最後のは管理部からの依頼だな……あ、やっぱりゴーレムそのものを運んでくれってのもあるか」


 読んでいくと個人からの依頼だったり企業や管理部からといった大きい所からも依頼が入っていた。

 お試しでやってみたいという所が結構多い。トラックでそのまま運ぶ事も勿論可能ではあるがせっかくなので頼んでみようといった感じだ。

 ゴーレムは自前で用意するので駒だけ持ってきてくれればいいと依頼内容に書いてある。自分の所のゴーレムを使うので費用も安く済ませられるわけだ。こちらがやるのは用意されているゴーレムを仕舞い運搬先で出せばいいとそれだけだ。報酬的にはそこまで高額とは言えないが楽な仕事なので相応といった所か。

 

 「これなら運搬中の事故も気にしなくていいしな。依頼元にとってやってみる価値はあるかもって感じか。納品が遅れたとかも起こりにくくなるだろうし」


 飲食店へ届ける食材の運搬なんかも依頼にはあった。すぐに仕込みを始めなければとなると早くに運ばれるのは間違いなく良い事だろう。飛行が出来る駒持ちであれば渋滞なんかも気にしなくていいしな。

 特に最近は車の通行量も増え道路に渋滞が増えている。ただでさえ大きいトラックなので信号で引っかかる事も増しただろう。人が増えた影響は道路の渋滞と物流にも物理的に影響を与えている。


 「普通のゴーレムを数体使えばコンビニ系の店は商品の運搬は出来るしな。トラックで運んできてもらうよりかは格段に早いか」


 運搬内容は本当に様々だ。ゴーレム1体で済む依頼から1セットフル活用して頼む依頼もある。どれを受けてみるかちょっと悩むな……。

 そうして予想外に多かった依頼を眺め続ける。自分がダンジョン街の外へ行ってる間にこんなにも依頼が増えたと駒の需要は早くも出て来たようだ。


 (ダンジョン攻略で人が移動すればそこ等辺もまた少し変わるかもだけどな。そうなったら今度はそっちのダンジョン街に物資を運ぶ依頼が増えるだけか?)


 結局人の活発な所の物流が増えると運搬の仕事はこれから更に忙しくなりそうだ。出来れば何事も程々が1番なんだろうけどねぇ……。


 管理部の2階で依頼内容を眺め始めはや数時間。休み休み眺めていたのもあるがずいぶんとここに長居する羽目になってしまった。


 「もうお昼近くとかちょっと集中して見すぎたな。結局決めた依頼は1個だけだし……」


 壁に飾ってある時計を見るとお昼まで後10分を切っていた。ついつい熱中して依頼を探してしまった。ちょっと見て終わらせる気だったんだけどな。

 数時間ぶりに依頼受付の前へやって来ると選んだ依頼の手続きをしてもらう。ひとまずは簡単な依頼を選んでおくことにした。


 そうして手続きを終わらせると階段を降りてこれからどうしようかと頭を悩ませる。本当だったらまた倉庫へ行きゴーレムを作ったりそんな時間に当てるつもりだったのだが。


 「お昼も近いし先に昼食にするかね。食堂でいいか」


 なんだかここの食堂へ来るのも久しぶりな気がしてきた。1ヶ月無料券とか貰ってるけど使い所が難しいね。

 そして食堂へとやって来た……が……当たり前だが人が多い。探索者からすればダンジョンとも近いし利用するのは当然だ。ところで海外から来た人達ってここの味をどう感じてるんだろうか?


 「人が多いって事はそれだけ問題ないって感じなのかね? 流石に全員初めて来たって事は無いだろうし」


 国によって味付けは違うだろうしそれを味わうのも海外に行く楽しみの一つではあるが合わない人はほんと合わないだろう。舌的にも地理的にも海外から来た人達はこの辺り結構苦労をしていそうだ。

 そんな事を考えながら食券を買う列へと並ぶ。すると……。


 「こんにちは、石田さん」

 「ん? あ、紀田さんじゃないですか、こんにちは」

 どこかでこちらを見ていたのか列に並んだところで声を掛けられた。倉田さん達と一緒に食堂で昼食かな?


 「紀田さんも今からお昼ですか? 倉田さん達とご一緒で?」

 「一緒は一緒だけどリーダー達じゃないわね。

 石田さんも今からお昼なら一緒の席に来なさいな。料理は頼んであるから好きなのを取って食べればいいわ」

 「いいんですか? それならお言葉に甘えまして……」


 今から食券を買って注文した物を待つとなるとそれなりにかかりそうだ。席の方も空いているというのであればお邪魔させてもらうとしよう。

 そして紀田さんに案内され席へとやって来た。するとそこに居たのは……。


 「松田さんでしたか、皆さんお久しぶりです」

 「お久し。うちのリーダーとホームセンターで会っていろいろ話をしたんだって? なんか特大ゴーレムって言うのも作ったそうじゃない」

 そう言って松田さんは手を上げて挨拶を返してきた。皆もそれそれ挨拶を交わしてくる。


 「飛行ゴーレムのテストに行かれてたんでしたよね。どうでしたか?」


 席へとお邪魔しつつそう問いかける。紀田さん達も行ってたよな。

 席に居たのは倉田さん達のPTと武田さんPTの女性陣だった。女性だけ集まって食事会か?


 「その話をしようと思って紀田さんに呼んできてもらったのよ。……とりあえず1杯飲む?」

 「あ、今日は車出来てますのでノンアルコールで」

 「それじゃあこっちにお茶があるからそれ飲んでいいぞ」

 そう言って田子さんからウーロン茶と言ってお茶を渡される。頂きます。


 「それにしても今日は女性だけで食事会ですか? 倉田さんや武田さん達はどうしたんです?」

 「今日は休養日なので各自自由です。私と米田(こめだ)さんと紀田さんの3人で出かけていたら松田さん達とお会いしたもので」

 朝田さんが皿に料理を取り分けながらそう答える。既に目の前には取り分けた皿が並んでいる辺り相変わらずと顔に出さないよう頷いた。


 「私達石田さんの推薦で飛行ゴーレムのテストをしてきたじゃない? その辺りの話でもしようかってことでこうして集まったわけ。石田さんも好きな料理を取っていいわよ」

 「ありがとうございます」

 伊豆田さんからこうして集まっている理由を教えてもらう。確か要望が通って2PTとも洞窟エリアに行ってきたんだっけか。


 「話の前になんか口に入れなよ。ほら、このタレが絡まったから揚げとか出来立てで美味しいよ。いくつか取ろうか?」

 「ありがとうございます田山さん。それじゃあとりあえず2つ程」

 「ほいほい」

 目の前にある大皿からタレ付きのから揚げを取り分ける田山さん。そしてこちらへ渡す際に置いといたら朝田さんに全部食べられかねないとそう言って苦笑いを浮かべた。

 

 「他にもまだ料理はありますし大丈夫ですよ。紀田さん、そっちのワインを貰えますか?」

 「ああ、入れるからグラス持ってて」

 「ありがとうございます」


 朝田さんにフォローをいれつつワインのおかわりをする米田さん。既にほろ酔い状態らしく若干顔が赤い。料理が来るまでの間に飲み過ぎたのだろうか。


 そんな感じに各々気楽な食事会と料理とお酒を楽しんでいた。

 自分としてはこの中に男1人とちょっと気まずい気がしてきた。最初に誰が居るかをしっかりと確認しておくべきだったな……。

 紀田さん達もまずは料理を堪能すべくあれこれと評価を言い合いながらテーブルの上にある料理へと手を付けて行く。


 自分としても飛行ゴーレムの感想は聞きたいので話が始まるまで静かに食べながら待つ事にする。

 実はこの席に着いてからなーんか周りの視線を感じるのよねぇ……。飛行ゴーレムの事を紹介したのが自分だから紀田さん達に声を掛けられるのもわかるけどタイミングは今じゃない方が良かったよなぁ……。




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