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734話 最後の一仕事




 「う~ん……最後まで良い天気とはいかなかったな。途中で降って来ないと良いんだが……」


 空を眺めつつどんよりとした天気に眉を顰める。頭上に太陽は見えず空一面暗い雲が覆っていた。

 ダンジョン街から出発するその日の朝。空の曇り模様と同じく、気分の方も少しだけ暗くなっていた。やはり天気が良くないと空を飛んでもあんまり気持ちよくないしな。

 携帯で今日の降水確率を調べると昼頃から雨となっている。今にも振り出さないだけまだマシという所だろうか?


 「空気も湿っぽいしなぁ。こりゃ早い所出発した方が良さそうだ」

 出発の準備自体は昨日してあるので問題はない。途中だった倉庫と寝室の調整もしっかりと終わっている。ストッカー等の荷物も空間魔法に移動済みとゴーレムの背中にあった荷物も空だ。


 「にしても、なんか久々にトレーニングをやった所為か体が張ってる気がするな。ちょっと張り切ってやり過ぎたかね……?」


 昨夜早速トレーニングルームを使用したわけだが初日から頑張りすぎたかもしれない。どうにも新品の物ってなると試したくてつい頑張り過ぎちゃうんだよな……。

 倉庫の中に体を伸ばしながら引っ込むと体全体に回復魔法をかけ痛みを除去する。これで普段通りだ。


 「筋肉痛が一瞬で治るのはほんと便利だよな。正直これを繰り返せば体だって早く鍛えられる気もするけども……だからって身体が痛むほどのトレーニングはあんまりやりたくないな……」


 適度な運動感覚で長く続けられる方が無難だろう。特に体を痛めつける趣味もないのでこの辺りは程々で丁度良いという感じだ。

 痛みも無くなったと再び倉庫前へ戻って来る。これで本当に出発準備はOKだ。


 「手持ちは鞄1つだしな、ナビも準備良し……っと」


 鞄からナビを取り出し画面を確認する。目的地のセットも昨日登録済みとこちらもOKだ。 

 向こうのダンジョン街へと戻る前に途中で近くを通り過ぎるもう1つのダンジョン街が目的地だ。こちらのダンジョンにもゴーレムを仕込んでこないとな……。


 「こっちはそう長居する気はないけどな。しかもダンジョンがアレだし……。目的を考えるとお誂え向きではあるんだけども」


 ダンジョンが変異しているとなればゴーレムの設置も特に疑われずに済む。5層でストーンゴーレムが湧いたとしても今おかしいからなぁ……で通るだろう。人に見られない事が何より1番だが。

 それに変化がどういった状況なのかも見てくることが出来る。一応まだ表立って騒がれてはいないのよな。


 倉庫の戸締りをしナビに案内開始をさせると宙へ浮かび上がる。このダンジョン街にまた今度来るのはいつになるだろうな?


 「海の物が食べたくなったらちょっと遠出感覚で来るのも良いよな。昨日の夕飯も美味しかったし」


 トレーニングルームに転移してきたり来るだけであれば頻繁に来ることになるだろう。電気を付けなければ倉庫へ来たとは誰にもわからないはずだ。ルームランナーの電源なんかは発電機から直で取れば問題あるまい。

 次第に地上から離れつつナビが示す方へ向かい空を進む。空模様も怪しいしちょっと急ぎで目的地のダンジョン街へ行くとしようか。

 だんだんと小さくなる倉庫を後に街から出ていく。しかし空へ近づくに従いなんだか余計湿っぽく感じてきたなぁ……。





 「よし、近づいてきたな。後もうちょっとだ」


 出発からしばらく経ち目的のダンジョン街まで後もう少しという所までやって来た。

 周囲が暗い所為か空から見る景色もどことなく沈んで見えた。やはり空を飛ぶなら天気の良い日に限るね。


 「天気も何とか持ってくれたな。耐水で雨はどうとでもなるけど雨の中飛ぶってのはどうにもやだね。そんなフライトも経験をしといた方が良いんだろうけどさ」


 気分は乗らないが経験しておくに損はないだろう。移動の途中で急な雨に降られると言う事も十分あり得る。まだまだ先になるだろうけど雷雨エリアもあるらしいしそんな中での飛行もいつかは役に立つはずだ。(たぶん……)


 ともかく今は雨が降る前に屋根のある所へ行きたいと飛行のスピードを上げる。管理部を目的地にセットしているので場所も問題ない。


 「てか、ダンジョンから伸びる光があるからここまで来たら案内も要らんけどな。空が暗い分いつもよりはっきり見えるし」


 ダンジョンから伸びる光を目印にその根元へ向かい近づいて行く。ダンジョン近辺を目的地としているのであればアレは良い目印だ。

 光へ近づくに従いダンジョン街の様子も眼下に見えてきた。ここも見た感じ他のダンジョン街と同じく違いはさほど見つからなかった。まぁ、どこのダンジョン街も似たり寄ったりって感じなのかね?


 「広場も発見……っと。んであっちが管理部だな」


 広場の隣に立っている大きな倉庫付きの建物へ目を向ける。このダンジョン街もこの辺りは一緒だ。

 ナビの音声案内が終了したと同時に電源を落とし鞄へと仕舞う。

 ひとまず装備の準備等もあるからと管理部へ寄り場所を借りる事にする。後は情報の確認だ。


 「公には聞けないしな。遠回しになにか起きてないかって聞いてみるか」


 管理部の建物前に下りるとそのまま中へと入っていった。ロビーの内装もあんまり変化はない。まぁ、そこまで変えるような物でもないしな。

 受付に並ぶ列もここへ来る前のダンジョン街と似たような物だ。やはりこのダンジョン街からも移動してる探索者は多いと思われる。それに少なくともこの様子という事はダンジョンの変化は公になってないと見ていいだろうな。


 「すみません、ちょっと1層の事でお尋ねしたい事があるんですけども……」

 列が進み自分の番となると受付に居るスタッフさんへそう問いかける。


 「1層の事ですね、ご迷惑をお掛けしております……。ただいま調査中ですので詳細はもうしばらくお待ちいただけると助かります」

 「調査中ですか……」

 特に1層のどんな事かも言っていないのにそう返答するスタッフさん。1層の事を聞かれたらそう答えるようにとでも指示が出てるのかね?


 「何かお知らせする事がございましたら管理部のHPの方に記載させていただきますのでそちらの確認をお願いいたします」

 「具体的にいつとかってわかりませんか。それとこんな質問をする人って多いんです?」

 「日時の方は具合的にはちょっと……。質問の方はそれほど多くはありませんね。探索に向かう探索者の方がやはり現在少なくなっておりますので」


 やはり探索者自体が少なくなっているらしい。まぁ、それはこのロビーを見てもわかるな。朝方なのに結構空いてるし。どちらかと言うと昼に近いが……。

 受付の人に聞いてもおそらくもうしばらくお待ちくださいと同じ事しか言われないと思い質問を終える。受付を離れる前に更衣室を借りたいと聞くと場所を教えてもらったのでそちらへ向かう事にする。

 1度倉庫裏に来て、ゴーレムを出しても良いかと許可を取ると装備一式を担いだゴーレムを出す。やはりこちらのダンジョン街でもまだ珍しいようで、大型ゴーレムでもないのに倉庫裏に居た人達からの視線を受けた。

 その内このダンジョンからも駒が発見されるだろうからこの視線も日常茶飯事の物になるだろうけどな。

 装備一式を受け取ると再び更衣室へ向かい探索の準備を整える。最初から服は探索用の物を着ていればよかったかとちょっとだけ出発前の自分に後悔する。余計な一手間だったな。


 「よし、こんなもんかね」


 装備一式を着け終り武器の魔石付与ボウガンもしっかりと確認する。魔石も問題なく付いてるな。

 武器も防具もOKと更衣室を後にする。再び倉庫裏でゴーレムに鞄等不要な物を渡し準備完了だ。いざ広場へ!


 「ん?」

 広場へ向かおうと倉庫裏から出た瞬間、頬に冷たいものを感じた。なんだか嫌な予感が……。


 「うわぁ、ついに来ちゃったか。もうちょっとだけ待って欲しかったなぁ……」


 目の前の地面にぽつぽつと水の跡が出来ていく。天気予報よりちょっと早いな。

 広場へ向かおうとした瞬間雨に降られるとなんだか幸先が悪く感じてしまった。空を飛んでる最中でないだけマシではあるが。

 

 「……仕方ない、購買で傘でも買ってくるか。それか耐水で持たせるかね? 列の長さも大してあるわけじゃないだろうしな」


 あちらのダンジョン街と同じであれば列の長さもそう大したものではないだろう。傘を買いに向かうのも装備を整えた後では少し面倒だ。

 とはいえ探索の前に能力を使うというのもそれはそれで目立ってしまう。雨具無しで広場の列に並んでいるのって見た目的にどうなんだろうなぁ。

 その姿を想像すると何とも不思議なものに思えたので結局は傘を買う事する。財布から500円玉を取り出しそれを手に購買へと向かう。

 どうにも出だしが締まらないものだね……。




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