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71話 夕飯食べながら街案内の感想でも 武器防具屋編


 

 

 「まぁ、俺ん家の事情は置いとこうぜ。

 それで風俗街の方はどうするべきだと思うよ? 人を集めるって目的としてはいいと思うんだがよ」

 「一番いいのは能力者の意識が変わるのを待つっていう手だと思うんですよね私は。

 後は無能力者の人達と一緒になった場合、どうしたら能力者の子供が生まれるようになるかの研究じゃないですかね? 槍一さんのご両親のような例もありますし、研究を続ければ無能力者の人でも能力者の子供を産める確率が上がるんじゃないでしょうか?」


 少なくとも自分達がどうこうできる件ではないと思う。

 能力者が完全に無能力者を見限る前に、その意識が変わってくれるのを期待するしかないだろうな。それと研究をしっかりやってくれとしか考えつかなかった。

 能力という突然変異的な力なら多分遺伝子に何かしらあるとは思うし、その研究は今も必死にやっているだろうから任せるしかない。


 「意識の変化と研究に期待…ね。まぁ、そんなところだろうな。俺等が出来る事って言や、能力者の子供が欲しい女性に種を与えることぐらいだからなぁ…」

 「風俗街に立って意識改変のスピーチするっていう手もありますよ?」

 「いや…流石にそれはなんというか…もっと人が多く集まってくれんならだな…。それも能力者の連中がだ。少なくとも俺1人で言ってもなぁ…。

 自分の住んでる街だし、気にはなるが街頭アピールまではちょっとな…」

 「そうですよね。自分で言っておいてなんですが、私だってそれをする勇気なんてありませんし、正直そこまでやるほど気にはしていませんからね。私は子供ができたとしてもどちらでもいい派ですから」

 この世界の今後は気になるが、そんな先の事まで気にする程聖人じゃない。気にするにしても自分の子供や孫ぐらいまでだろう。それ位なら自分の能力で遺産を残しておいてやれるしな。


 「どっちでもいい…か」

 「そうですよ。無能力者でも普通にやることはいっぱいあるんですから。

 ここの厨房で働いている人達だって無能力者だからとそう困ってるわけではないでしょうし。まぁ…能力があれば生きる選択肢が増えるのは確かですから、できれば…って程度ですか」

 「皆がそのぐらいの意識ならいいんだけどよ…」

 「いや…皆では困るでしょう。能力者増やすっていうのはこれからの世界にとっても必要な事であるのは確かですし」

 皆が皆自分と同じ感覚だとしたら、それはそれで問題だと否定しておく。能力者はこの世界では必要不可欠なレベルにまで来ているのだから。


 「電気関係とか水問題とか魔石が必要不可欠なんですから、それを補充できる能力者が今以上減ってしまったら大問題ですよ?」

 「それもそうか…難しいもんだなぁ」

 「でしょうね。まぁ、なるようにしかなりませんって」

 「そうだな、なるようにしかならんか…。

 よし! なら俺もやれることやるかね。とりあえず明日風俗街に行って、子供ほしい女性とやってくるぜ!」

 「そいつもどうかと思いますが…まぁ、相手側が希望してるんですから良いこと? ですかね」


 難しいことを考えるのはやめたと、槍一さんは酒をかっくらう。

 明日行くのにそんな飲んで大丈夫なのかと気にはなったが、奢っている酒でもあるので止めるわけにもいかず、ただ黙って見ているしかなかった。

 二日酔いになったら取りやめなんだろうな…と思いながら。




 「よし、ツマミの補充もOKと。じゃあ続き聞いてくかね。将一も好きに食ってくれよ」

 まるで居酒屋メニューのような料理が追加されたテーブルの上。飲みに来る人もいるからだろうが、こんなメニューまで用意しているとは驚きだ…。


 「ではちょこちょこつまませてもらいますね。それと武器防具屋の感想ですか…。正直武器なんて初めて持ったもので、新鮮以外の何物でもありませんでしたねぇ…」

 「一般人はまず入ることはねぇだろうからな。購入にはタグが要るしよ。まぁ、興味があるからって見に来る奴はそれなりにいるが」

 「私も外の街でちょっと探してみたんですけど、タイミングが悪かったのかあまり見当たりませんで…。どうせならダンジョン街の方が揃っているだろうと、向こうで我慢してこっちで初めて入りましたからねぇ」

 「外には確かにあんまないか。でも修理や発注の受付は結構いろんなところにあるって聞いてるけどな? 見なかったのか?」

 「見る場所が悪かったんでしょうねぇ…」

 コンビニ、市の施設、ゲーセン、ホテル、車屋、携帯ショップ、保険所。行ったところがことごとく武器防具屋の受付けとは関係がない所ばっかりだった。


 「ナイフとかもあんな本格的なの初めて手にしましたし、感動モノでしたよ。

 今まで持ったことがある刃物って言えば…料理用の包丁とか、木を切る鋸やチェンソー、薪を作るための鉈…そんなもんですからねぇ」

 「一般人として生きてたならそんなもんだろ。

 で、ナイフはあれ使うつもりか?」

 「そうですね、買った時も言いましたけど、使ってみないと良いも悪いもわかりませんからねぇ。結構手にしっくりきましたし、使えないってことはないと思います。

 それに初めて買った武器ですから。使えなくとも記念として取っておくのもいいかと思いまして」

 「はー…あんまり聞かねぇがそれでいいって言うなら何も言わねぇけどな」


 わざわざ記念に取っておくなんて人はあんまりいないのかもしれない。本来なら使いつぶすのだろうけど、魔法で代用できる身としてはそこまで酷使する必要もない。

 それに普通に使えるならそれはそれでいいしな。


 「まぁナイフについてはそれでいいか。で…他の武器についてはどうよ? なんかナイフの次に使いたいってのはあったか?」

 「そうですねぇ…基本は能力でなんとかするのが自分のスタイルですから武器はこれと言って…」


 正直使用するというより、コレクションしたい気持ちの方が強い。元居た世界ではまず売ってないものだったし、手に入る可能性はほとんどなかった。

 それに攻撃手段としては武器ならナイフがあるし、メインは魔法だ。土魔法で似たようなものを作れるし使うだけならそれでいい。

 召喚魔法で店で売ってた物と同じ物が出せるなら、いつか武器ルームとか作って見たい。それを見て楽しむのもいだろう。

 それと召喚魔法で出した武器を実際に使ってる所を見られて、どこで買ったんだ? と聞かれると対応に困る。


 「そう言えば一つ聞きたいことがあったんでした」

 「なんだ?」

 槍一さんから他の武器は? と聞かれたので、聞こう聞こうと思っていたことを思い出した。


 「武器屋の地図に銃のマークがついたところがあるんですよ。今日見たところって銃のマークついてないんですけど…槍一さんとしてはお勧めできないって感じですか?」

 銃と聞いて、槍一さんは「あー…」と、今思い出したかのような声を上げた。素で忘れていたのだろうか?


 「済まねぇ。すっかり選択肢から排除してたぜ。俺自身使わねぇってもあってか完全に意識の外だったわ」

 「まぁ、度忘れは誰にでもありますから。それに気になる個人店回りのついでにでも寄れば済むことですし」

 「悪ぃな…。じゃあちょっと教えておくわ。

 銃は基本的に軍が管理してんだわ。他の武器と違っていろいろ問題のある武器だからな」

 「問題ですか?」

 「ああ。他の飛び道具は矢だったりボルトだったり結構作りやすいだろ? だけど銃の弾に使われてる火薬とかお手軽に補充ってのが出来ねぇんだわ。

 探索者の人数に合わせて作んのにどれだけ大量の弾がいると思うよ? 毎日何十万発? 何百万発? 各地の銃を使う探索者に分けたら何千万発って量が必要になるだろ。流石に賄いきれねぇんだわ」


 確かに…探索者が毎日のように補充で弾を求めてきたら足りないだろうな。

 大量生産するにしても矢やボルトと違って工程が複雑だ。火薬だって銃だけに使用するわけにもいかないもんな…。


 「だから銃だけは基本軍が使用する武器なんだよ。

 まぁ、それでも探索者が使えないってわけじゃねぇ。まず銃を使うには申請がいるんだ。ちゃんと使えるのかっていう実射試験もあるし、銃の簡単な整備はできるのか組み立てとバラシもさせられる。

 要は銃を持つまでにちょっと面倒な手順があるんだわ。それもあるから頭の中で勝手に省いてたんだろうな」

 「なるほど…探索者に銃を使わせてもいいが、制限を設けておいて弾の消費を抑えるってことですか。それでも使いたい人だけに限らせようと…」


 銃はお手軽な武器だ。使い方を知っていれば子供でも簡単に撃てる。使うだけなら他の武器と違ってそこまで訓練する必要がないしな。 

 お手軽だからこそ多くの人が一斉に使えるのが利点でもあるが、問題点として弾がなければただの鈍器でしかないという事だ。多くが使用すれば、当然弾の生産量は追い付かいない。

 世界中で増えた探索者に銃を持たせられないわけだ。


 「あまりにも膨大な弾を作るのに工場は連日フル稼働になるでしょうし、そうなれば機械にも負担がかかりますからね。そりゃ制限でも設けなきゃ弾の生産は追い付きませんよね」

 「そう言うこったな。

 確かにお手軽で一定の戦力として数えられる探索者にはなるが、補給が追い付かなきゃ銃はただの鈍器だからな。サブで持つ分にはいいかもしれんが、メインで持ってて弾が切れでもしたらたちまち役立たずだ」

 「ただの鈍器ではどうしようもないですからねぇ…。

 銃は気になりますがこれも興味というだけですから店に行っても見るだけになりそうですねそうなると。まぁ、私は土魔法で似たようなこと出来ますし、なんにしろ使う事はないでしょうね」

 土魔法を訓練した時に銃と同じような真似は出来ていたし、弾がないと使い物にならないんだから自分が使うことはなさそうだ。


 「銃を使わせるとすると…能力を持たず、武器の訓練が十分にできてない探索者にですか? 弾が切れた時用にサブ武器は必要ですが」

 「そうだな、将一が能力もってないってなら銃は勧めたかもな。その条件以外は当てはまってるわけだしよ」

 「確かに能力さえなければ条件にぴったりですね。

 一応それなりに知識はあるんで、銃の使用許可だけでも取っておきますかね?」

 「なんだ? 銃に触ったことあんのか? テスト受かると思うなら許可だけ取っておくのはありだぜ。そう長く拘束されるもんでもないからな」 


 サバゲーや本での知識、偽物の銃だけど触ってる知識でどこまで行けるかわからんが、一度試してみるのもありかなぁ…と、話を聞いてひそかに考えた。

 許可さえあれば実銃を撃ってみることができるというのもあるし、ダンジョンで使わなくともコレクションとしてあるだけで満足できるしな。

 今度1人で個人店回るときにでもテストを受けてみるかと、一応記憶しておく。正直どちらでもいいと言えばどちらでもいい案件だ。



 「で…武器についての感想はその銃だけか? まぁ、何の武器使えばいいかわからんって奴にこれ以上聞いてもしっかりとした答えは出んか」

 「ええ。まずはとにかく使ってみてからですかねぇ。それから他の武器も使ってみたいと思うのかもしれませんけど、とにかくダンジョンに潜って見ない事には何とも…」

 興味だけならいろんな武器にあるが、それを使えるわけではないしなぁ…。まずは魔法すらダンジョンで使ってないんだし武器をどうしようなんて気にするのはまだまだ先だろうな。


 「じゃあ鎧や盾の防具についても同じか?」

 「そうですね。一応見てはきましたけど、ただただその数の多さに圧倒されたって言うことぐらいですね。どの鎧がよさそうだとか、どの盾を使いたいとかも今はあんまりですね。

 使うとしたら店で決めた腕に付けれる盾をまずは使ってみますってぐらいでしょうか?」

 本当…感想としては店に置いてあるその種類に圧倒されたってぐらいだからなぁ…。カッコイイとか、防御力がありそうだとかの感想もあるにはあるが…あの量について語ると日付変わりそうだ。

  


 「ならモンスター素材の武器防具はどうよ? あっちの方が興味深々だったろ」


 通常の武器防具はダンジョンで評価してからでないと感想も何もないか…と、話をモンスター素材の武器防具へと変えてきた。

 こちらにしても武器や防具の使用感は使ってみてからなのは同じだが、やはり一風変わったものが多く、目が引き付けられたのは否めない。

  

 「こっちは私にすると未知数過ぎて感想に困りますね…。

 武器防具の元になったモンスターを知っているわけではないので素材の良さもわかりませんし、魔石を組み合わせたところでモンスターの使う力もわかりません。

 普通の武器防具はこう言っては何ですが、だいたいこんなもんなんだなぁ…っていう憶測はつくんです。ですがモンスター素材の武器防具だと今の私では何もわかりません。

 エアーマンティスの剣をまた例にしますけど、本来のそいつはどんな姿でどんな魔法を使うのかがわかりませんから、武器だけ見て説明聞いててすごいなぁ…っていうその程度の感想ですよ」


 これがモンスターについて知識があるのならばまた違ってくるのだろうが…今はまだ何も知らない状態なのだ。すげぇっ! といった感想しか思う事がない。

 槍一さんにどんなモンスターなんだ? どんな攻撃をしてきてどんな魔法を使うのか? といった感想も聞けることは聞けるが、それは資料室で自分で調べてからだ。

 まずは自分で調べて、ある程度知識をつけてから実際に見て戦った人と意見を交わしたほうが理解ができるというものだ。


 「今の私は事前知識が0ですからね。おそらく質問とかすると、本当際限なく聞くことになってしまうそうです。

 ですから今言える事はただ1つ、「すごいッ!」という感想しかないですよ」

 「何ともシンプルな感想じゃねぇーか! 確かに事前知識が何もないやつに聞いてもそんなもんか。

 まず将一に必要なのが、自分で見聞きした情報の取得だってこと忘れちまってたぜ。今日はそのための街散策だったんだよな。

 ダンジョン街見たことないやつに初めてダンジョン街のこと聞いたとしても凄い! って感想が大半だろうな。どこそこに何があるのかっていう質問は当然あるだろうが、将一は自分でまずは見聞きしてからってことだしな。この感想もお前が知識を身に付けたときに改めて聞くとすっか!」

 「おそらくその方がいろんな意見が言えると思います。少なくとも今の私ではまともな感想を言えないですし」

 「なら今回の感想についてはダンジョンに潜ってしばらくしてからまた聞くとするわ。しっかり知識を頭に入れて置けよ?」

 「ええ、その頃には私もマジックウェポンを何か使ってるかもしれませんし、よりしっかりした感想が言えますよ」

 

 じゃあその時を待つか…と言って、今日の感想会は終わった。

 感想という名の質問しか出てこないだろうなぁと、将一としても助かった。このままでは感想会が質問コーナーになってしまうところだった。

 

 (風俗街みたいに元居た世界と比べられる知識がないからなぁ…。武器やら防具やらモンスターの事は今は何もわからんし、感想と言われても言えることがないのよな。魔法の参考にしますってのは言っちゃダメだろうし…。

 モンスター素材の武器か防具を1個ぐらい持ってダンジョン行けば使い心地もわかるし、今度回った時にでも買っておこうかねぇ…)

 

 目の前では槍一さんが感想会も終わりと、酒を飲みツマミを食べ続けている。これも全部奢りだという事で満面の笑みだ。

 街案内の感想と言われると、いろいろ知れたという事で槍一さんに感謝が最後に来るのだが……これは帰り際でいいかと、自分もつまみに手を伸ばした。この居酒屋メニューもやっぱ美味しいなぁ…。

 


 

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