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668話 ダンジョン3層(ソロ) ゴーレム同士の応酬




 「とりあえずここから行きますか。順番的にボスが最初って言うのもなんか変な感じがするけどな」

 

 ボス部屋の前で準備を整えながらそう呟く。しかしここ最近よく見る風景だ。つい先ほども2層だけどボスを倒してきたばっかりなんだよな……。


 あれからしばらくして、自身のいる現在地を特定するとまず真っ先にここへやって来た。まさか転送先がボス部屋とそこまで離れてなかったとは……。以前3層へ来た時以上にボス部屋寄りとなにかと運が良い気がする。まぁ、今回はボスより先へは行かないんだけどさ。

 目的地としていた中ではここが一番近いと最初に寄る事に決めた。最近はよくよくボスと縁があるように感じる。自分の目的とも一致しているので特にこれと言って文句はないが。


 「他の反応との離れ具合からして1戦をするには十分って感じだな。まぁ、3層のボスとは実を言うと初めて戦うからあくまで予想だけど。

 様子を見ながら戦うにしてもこれだけ離れてるんなら時間を気にして戦う必要はないだろ。能力を使うんであれば戦闘時間も短縮できるだろうしな」


 とりあえず最初は飛行ゴーレムの力のみと様子を見る事にしていた。能力はひとまず置いておく事にする。

 2層のボスと戦った時同様、地上のゴーレムから散発的な支援を受けつつまずは戦ってみる事に。同種のゴーレム複数を相手に飛んでいるとはいえ果たしてどこまでやれるだろうか?


 準備を整え終わるとボス部屋を開け中へと入る。最初の行動は特に変更なしだ。モンスターが動きの遅いゴーレムと塊蟻な分戦闘もより中央付近で行う事が出来るだろう。それだけ広く戦えるのは飛行持ちにはありがたいね。

 飛行ゴーレムに乗りボスへ向かって一直線に低空を飛ぶ。こちらの存在に気づいたようだがやはり動きが遅い。なるべく近くまで接近させてもらうとしよう。

 素早く接近するとアイアンゴーレムとの射線を遮るように防壁を作製する。バットみたいに空から攻撃される心配もないので慌てる事無く作業を終えられそうだ。


 「メイス持ちはこちらの援護! アイアンゴーレムを散発的に狙えっ! 後の奴は塊蟻を牽制しておけ!」


 各ゴーレムを出すとそう指示を口にする。まずはいつも通りに動いてもらうとしようか。

 そして牽制するゴーレム達とタイミングを合わせ飛行ゴーレムを空へと飛ばす。さ、戦闘開始だ!


 「って、早速こっちに撃ってきやがったか!」


 空に上がった自分を脅威と思ったのか、それとも1体だけ離れたのを好機とでも思ったか。ゴーレム達からの牽制が終わると同時に、空にいるこちらへアイアンバレットを向けるアイアンゴーレム達。流石に10体からのあの弾幕は本気で動かないとまずいなっ!

 自分が飛ぶ先に前もって防壁を出すよう指示するとアイアンバレットから逃げるようにして空中を進む。しばらく対空する防壁に身を隠しつつ上下左右不規則に動き回る。こちらからも牽制をすると数体は身を守ったのか攻撃も止まった。とはいえ相手は10体だからなぁ。

 それに相手は飛行ゴーレムと同じく正確な射撃を行える。不規則に飛ばなければすぐにでも弾幕で頭を押さえられ足を止めさせられてしまう。連射出来る武器の怖い所は移動先にもすぐ照準を合わせられる所だ。


 「しかもそれが複数だからきっついな! これに飛行系のモンスターも居たら更に回避と防御が忙しいっての!」


 時には必死に避け防壁で身を守る。射撃が正確なゴーレム複数に狙われると単体ではかなり厳しい。地上からの牽制をもう少し激しくさせた方が良いかもしれないなこりゃ。

 ある意味囮としては十分役を果たしているだろう。後はこうして惹き付けている間に他の飛行班が攻撃に加わったり地上班が接近して仕掛けてくれるのを待つだけだ。

 地上のゴーレムが近寄りもせず牽制だけに留めている所為でそっちを無視し引き続きこちらのみを狙っているのだろう。牽制もそうだが、対応をしているゴーレム達にはだんだんと距離を詰めさせ狙ってはいるぞ? アピールでもさせようか。流石にずっとこれではまともに攻撃をする機会がないしな。


 ゴーレム達に近づくと新しく指示を出す。アイアンゴーレムとだんだん距離を縮めてもらおう。

 鉄板に取っ手を付けたような即席の盾を片手にゴーレム達がアイアンゴーレムへ近づく。流石に距離を縮めてきたらそちらを気にしないわけにはいかないだろうな。


 「これならこっちの攻撃のチャンスもあるな。弾幕を張れる相手に単体はやっぱ無理があったか……」

 とはいえ、それを可能とするのが飛行ゴーレムという盾を飛ばしている意味でもあった。生身であればそれもなかなかに難しいが、分厚いゴーレムが間に居ると攻撃を受けながらの攻撃も可能だろう。相手の射撃を受け体勢を維持しなければと、飛行にも余計な力を使う事にはなるけどな。


 「それとなるべくなら余計な傷は付けたくないしな。アイアンバレット程度で壊れる事は無いだろうけど、無数の弾なんて受けたら前面はかなり傷だらけになるだろうし。

 損傷はあまり気にするなとは言われたけどはいそうですかって簡単には頷けんよな!」


 地上のゴーレム達に気を取られ弾幕が薄くなった空中を飛び続ける。数は減ったがそれでも複数で狙われている事には変わらない。

 先程までと同様、方向を不規則に動かしつつ防御を交えながら空からも攻撃を行う。上位のアイアンバレットを動き回りながら撃ち込む。相手も体が石から金属と防御力も上がっているのでそう簡単に壊れるような事は無い。通常のアイアンバレットではお互い金属の塊同士とあんまり痛手にはならないしな。

 防壁でアイアンバレットを防ぐのと同時にそれを放り出し攻撃も行う。面での攻撃とあってあまり体にダメージは与えられないが攻撃の邪魔と退ける必要があった。アイアンゴーレムの攻撃を遅滞させる目的も含め鉄板を何度となく叩きつける。それによって足下に邪魔な鉄板が溜まると移動の妨害をする事も出来るしな。


 元々あまり動きが早くも無いゴーレムからするとその場に止まっていた所でそう不都合は無いが、少しは動けると全く動けないではかなり話が違ってくる。

 大砲の玉のような物も足下に転がっているとあって、鉄板も斜めに横たわっていたりと気軽に足を乗せるわけにもいかない。姿勢制御が優秀なゴーレムと言えど流石に足下があれでは酷く邪魔に感じているだろうな。


 「膝ぐらいまでは来てるしゴーレムの歩行だと足も上がらないから動くのはさぞや困難だろうな! 地面に居るってなるともろに地形の影響を受けるから移動が大変だわ。

 空中に居るとその辺は無関係だから後ろに回り込むのも非常に楽ってね。ほら追加だっ!」


 上位のアイアンバレットや鉄板を更に食らえと、アイアンゴーレムに向かって次々にぶつけていく。既に太もも辺りまで積み重なり乗り越えて外側に出るのは難しい状態となっていた。

 ゴーレムとあって力づくで動けはするがそれでもなかなかに厳しそうだ。もうほとんどその場を動かずに体の向きを回転させる事でこちらの移動に対応している。


 周りを囲んでいるこちらのゴーレム達もその障害物越しに牽制を続けていた。武器で攻撃出来るのはティタンブレードを持っているリキッドぐらいなものだろう。こういう状況も見越して簡単な鉄の棒ぐらいは持たせておくかね? 落としてそれ拾わせようか……。

 とはいえ戦闘はもう佳境に入っているのでその必要はないかもしれない。仕留める準備は整ったからな。


 「正確には仕留める為の最終準備が整ったって感じだけどな! そらっ! 足元がお留守だぞっ!」


 その瞬間、アイアンゴーレム達の足元にある鉄板を押しのけ何本もの杭が真上に向かって伸びて来た。動かない相手にはこの攻撃が非常に良く効くからな。

 アイアンゴーレムを取り囲むように伸びる杭が身動きの取れないゴーレム達を更にその場へとくぎ付けにしていく。

 体の周りに生えた杭に向きを変える事すらさせてもらえなくなったアイアンゴーレム達。自身の腕程の太さがある複数の杭を折るのは非常に難しいと言っていいだろう。アイアンゴーレム達は完全に杭の檻に身動きを止められた形となった。


 「後はいつも通り核と魔石を切り離せばそれで終了っと。アイアンバレットを撃たれないようにだけ注意しないとな。お前等! 塊蟻をこっちに近づけさせるなよっ!」


 塊蟻を押さえ込ませている3mのゴーレムにそう指示を出すと慎重にアイアンゴーレムへ近づき止めを刺していく。身動きが出来ないとなればウォーターカッターでの切断も容易だ。

 空中に居た時は弾幕の雨で大変だったが地上まで下りてくれば誤射も嫌って撃つに撃てなくなる。仲間が解体されていくのをそこで最期までジッと待っていてもらおうか。

 

 アイアンゴーレムとの戦闘も大変は大変だったが、地上にも囮役を置けば飛行ゴーレムとて戦えない事は無い。移動に防御にと忙しいが現在の装備でも十分対処は出来るだろう。ボウガンだけは完全にくさってしまうからそこはちょっとだけ考えものだが。

 マジックアイテムを他にも持っているのであればボウガンの代わりにそれを持たせるのでもいいだろう。

 盾として使用するはずのゴーレムだけどそこへ更に盾を持たせるのもいいかもしれない。自分が作ったあの盾であれば飛行ゴーレムともかなり相性がいいと思う。それか重量を感じさせない系だとティタンブレードを持たせるのでもいいかもしれないな……あれならば飛行ゴーレムでも重さを気にすることなく振れる実体剣の1つだろう。

 試しに今度はそれを持たせて戦わせてみるかと解体をしつつその姿を想像する。リキッドとは違うが飛行ゴーレムも素早く動けるタイプのゴーレムだ。結構良いんじゃないか?





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