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618話 皆駒が欲しいようで




 「それじゃあ皆さん、自分はここで失礼します」

 「お疲れ様、石田さん。何かあれば連絡を入れるから」

 「それとまたPTを組みたいってなったら今度はこっちに連絡してくれよ。俺達もそれまでには駒を見つけとくぜ」


 そう言って店の前で司さん達に別れの挨拶を交わす。なにもなければ今度会うのは報酬受け渡しの時かな? いや、報酬は現金になったから今回は無しか……。


 あれから夕食をどうするかと食堂へ向かった自分達だったがやはりというか……食堂内はかなりの混み具合と待つのは必至だった。この人数の席を確保するのはかなり難しいと思われた。

 そしてそれだけ混んでいるという事は自分達のオーダーが届くにしても相応の時間がかかる。皆は食堂を諦め外へ行こうと決まるまでそう時間はかからなかった。

 そして管理部からほど近い店で夕食を取る事になったのだがつい先日打ち上げ会でタコ焼きパーティをしたばかりだ。今回は結構あっさりとした普通の夕食となった。一応4層攻略お疲れって事だったんだけどね。

 

 「良かったら5層でもPT組みましょうねぇー」

 「いやいや、愛さん! 源田が言ったように今度は私達のPTに入ってもらいますので。んー……今度は討伐班で申請しておくかぁ?」

 「姉さん、また司さん達と一緒にPTを組んで石田さんを呼べばそれでいいんじゃないのぉ?」

 「だけど討伐班で申請をするんだったら一緒にはならないわよ? 私達基本運搬班で固定だからね」


 こちらに手を振りつつまた攻略を一緒にしようと声を掛けてくる愛さんと桃子さん。ゴーレムでの運搬を経験した以上それを多く持っている自分を確保しておきたいという事だろうな。

 幸さんと美空さんが次はどこの班で潜るかと話し合っていた。桃子さんの言う通り討伐班で申請をするのであれば司さん達とのPTとは班が別になってしまう。

 自分も一応一通りは経験したけど次はどうしようか?


 「自分もどこの班をしたいか決めておきますね。その時は声を掛けさせていただくかもしれませんけども……」

 「なに、今回のように私達のPTへ参加するという事であれば問題ありませんよ。石田さん1人の枠ぐらいは作れますしね。ゴーレム30体分また期待させていただきます」

 「まだどこにするかは決まってないが俺達のとこに来てくれたとしても大歓迎だぜ。石田さん1人を入れる事でゴーレム30体が付いてくるのはどの班でも大助かりだわ。

 討伐班の経験もあるって事だし、石田さん当人の力も当てにさせてもらうからよ」


 そう言って星矢さんと津田さんからもまた一緒にどうだと勧誘を受ける。討伐班の場合は戦闘用のゴーレムが居るだろうし30体分それまでに揃えないとだな。

 愛さんと美空さんが作ったゴーレムのように別の所からゴーレムだけ用意してもらうという手もあると、時間的に間に合わなそうであればそう言った手段も考えておく。今は特大ゴーレム作りもしてるしな。

 

 皆とそんな話を終えると手を振りつつ店の前から立ち去る。

 明日、愛さんと美空さんにゴーレムを返す為2人とは個人倉庫で合う事になっている。結局なんだかんだでまた明日司さん達と顔を合わす事になるんじゃなかろうか?

 

 「貸し倉庫の方がOKなら直接そっちへ持っていくって出来たんだけどな。司さん達が駒を見つけたら自分達で持っていくか」

 それか貸し倉庫の準備が出来た段階でこちらに声が掛かるかもしれない。そんなに遠くでもないし知り合い価格でお昼を奢ってもらうとかそれぐらいで引き受けようかね。


 「まぁ、知り合いの駒持ちが他にもいるかもしれないしそっちに声をかけるかもだけどな。それに6体程なら別にトラックなんかででも……」

 「あれ? 石田さんじゃないですか。こんばんは」

 「んん?」

 道を歩いているとそんな声が聞こえて来た。自分の事かと思い声のした方へ視線を向ける。


 「あ、門田さん。こんばんは、お1人ですか?」

 「管理部から帰ってきたところでしてね。魔石のエネルギー補充の依頼報告があったので」

 「なるほど」

 今はその依頼報告の帰りらしい。けど4層の攻略はどうしてたんだ?


 「自分は4層の攻略から帰ってきたところでして。門田さん達は4層の攻略って行ってなかったんです? 地上で依頼を熟してたみたいですけども?」

 「行かなかったわけじゃないんですけどね。んー……石田さんもう夕飯って食べられました? って……その顔だとお酒も飲んでますね」

 「ええ、つい先ほど攻略に行ってきた人達と」

 「そうですかぁ……もう満腹です?」

 「そこまで言うほどではないですかね。結構あっさりとした夕食だったので」

 食べた事は食べたがなんだか物足りなくも感じる。もう少し注文頼んでおけばよかったかな?


 「それじゃあ近くに串焼きの屋台があるんですけどそっちでちょっと飲みませんか? 僕夕飯これからなので」

 「そうですね、お付き合いします」


 串焼きであれば腹を満たすのにも丁度いいだろう。ついでにお酒も頂こうか。ダンジョンだとこの組み合わせは味わえないしな。

 話も決まったと、門田さんの案内でその串焼き屋の屋台があるという所へ向かう。後の事はそちらで食べながら聞かせてもらうとしようか。


 そうして少し歩くと1つの屋台が止まっている所に到着する。


 「おじさん、お久ぶりです」

 「おう、いらっしゃい!」

 「石田さん、とりあえず生でいいですか?」

 「はい」

 そう言うと門田さんは生2つを注文する。屋台のおじさんも慣れた物かジョッキ2つに生ビールを入れるとすぐさまこちらに渡してきた。


 「それじゃあ4層の攻略お疲れ様という事で」

 「乾杯!」

 互いにジョッキをぶつけ合わせ乾杯をする。やはり串焼きにはビールが1番だよな!

 

 「メニューはこれね。まぁ、屋台だからそこまで種類はないんだけどさ」

 「言ってくれんなぁ……仕方ねぇだろう?」

 「はは……それじゃあまずはオーソドックスにモモをお願いします」

 「まぁ、やっぱりお店のような品ぞろえは難しいよね。おじさん、僕もモモを3本頂戴」

 「あいよ! モモ串4本ね」


 門田さんは常連さんなのか屋台のおじさんともそんな掛け合いを交わし合っていた。探索者になって2年って事だし結構来てるんだろうなぁ。

 そして焼けるのを待ちながらビールを口にする。やはり目の前で焼かれてると待ち遠しいね!


 「ぷはぁっ! ……それでさっきの話なんですけどね。僕達も1回目の攻略までは行ってきたんだ。せっかく4層も突破したんだし行っておきたいじゃない?」

 「ですね。やっぱり運搬班ですか?」

 「そうそう」

 以前他の階でお世話になった人達と一緒に1回目の攻略へ行ってきたらしい。そうするとあの列の中に居たのかね?


 「自分達は2日目……3日目か。あの帰還陣で渋滞があった時に帰って来たんですけど、門田さん達もあの列に並んでました?」

 「いや、僕達は最終日に帰って来たね。お昼頃かな? 

 帰ってきてから聞いたけどなんかすごかったんだって?」

 

 どうやらあの列の中にはいなかったらしい。

 3日目と遅い帰還ではあるがあれを経験しなかっただけそっちの方が良いか?


 「結局待ちに待たされて深夜1時頃に帰還する事になりましたよ……。行きもそうですけど帰りも渋滞で嫌になりましたね」

 「それは災難ですねぇ……今は軍の人達が調整? してるって話ですけども」

 「今回は運が良かったのかその調整の結果かはわかりませんけど待つ事はなかったです。今後もそうであってほしいものですけど……」

 「広場のあの列を見てるとそりゃ混むよなぁ……って思いますよねぇ」

 「全く」

 互いに小さく溜息を吐きながらビールを飲む。思い出すだけで気が重くなるな。


 「今の所4層の攻略発表がされるまで潜る予定はないんだけどその後の事も考えるとね。まぁ、僕等がどうこう思った所でどうにもならないんだろうけどさ」

 「今後も人増えそうですもんね」

 「ダンジョンに入るだけで一苦労は参るよ……。

 で、まぁ……話は僕等の探索がどうこうに戻るんだけどさ。1回目の攻略であれだけ終わっちゃったじゃない?」

 考えても仕方ないと門田さんは話をそちらへと戻す。こちらとしても愚痴しか出てこなさそうだから有難い。


 「一気に未攻略広場が10カ所以下ですもんね。ある意味他のダンジョンから人が来てくれたおかげなんでしょうね」

 「中堅クラスの人達なんかは1層から3層があんな感じだからササッと階層突破してこれただろうしね。それを聞くと人が集まってくれたのは嬉しいけどさ」

 「別の目的の人も多いですからね」

 なんだかんだこっちに繋がるのかとお互い苦笑いだ。避けては通れない話題って事か。


 「それで早くに目途がつきそうって事で僕達の4層攻略はそこで終わっちゃったわけ。お世話になっていた人達も自分達がしたいことに戻っちゃったしね。まぁ、僕達の方も地上(こっち)でやる事があったしPT的には問題なく解散になったんだけどさ」

 「やる事ですか?」

 「ゴーレム作りの事。倉庫の方も使用可能になったからね」

 「あ、始めたんですね」

 確かに倉庫が大丈夫なのであればゴーレム作りを始めても何ら問題はない。理人さん達もそんな感じか?


 「どっちかっていうとこっちを優先すればPTの戦力UPにもなるし丁度良かったのかぁ……って。それと石田さんにはあれだけど、結局買い戻したゴーレムまた売っちゃった……」

 「自分達で作れるのであればロックゴーレムはその内使わなくなるでしょうしねぇ……仕方ないんじゃないですか?」

 「ほんと……お願いしておいてなんだけどあんまり使わなかったからねぇ。なんだか申し訳ない……」

 そう言って再びビールを呷る門田さん。早速おかわりらしい、まだ1本も串来てないんだけどね。


 「いずれ更新する事になったんですから気にしても仕方ないですよ」

 「まぁ、そうなんだけどさ。やっぱりゴーレムを使うなら金属が安定するよね」

 「ですねぇ」

 ロックゴーレムはロックゴーレムでいい所もあるのだろうけどこればかりは仕方ない。やはり動きが遅い分頑丈さは大事だろう。


 「門田さんって探索者やってんだろう? 今の話を聞くにダンジョンでゴーレムを使ってんのかい? ってことは……やっぱりあれ持ってんのか?」

 門田さんとそんな話をしていると屋台のおじさんの方からそんな言葉が掛けられた。


 「まぁ、運よく手に入ってね。最近土の能力を使えるマジックアイテムも手に入ってそれで自分達のゴーレムを作ってるってわけ」

 「羨ましいねぇ……俺達探索者でもない人間にとっちゃ手に入るのなんていつになるかさっぱりだぜ。探索者じゃなくても普通に使い道があるからなぁ。

 能力者でもねぇしマジックアイテムぐらいは使ってみてぇってもんだ」

 「制限はありますけど能力者じゃないとダメとかじゃないですしね」


 おじさんはそれがあれば今置いてる串の種類も増やせるだろうと溜息を吐いた。保冷ボックスを担がせたゴーレムが居れば確かに置いておける種類もかなり増えるだろう。

 駒のサイズであれば置き場所にもほとんど困らないし屋台の規模ではあり得ないメニュー量を揃えられる。まぁ、その駒が一般に出回るのは今の所かな~り難しいだろうけどね。

 

 「そんな駒があってゴーレムも作れるってんだから俺からすると羨ましい以外の何物でもねぇな。1個でいいから欲しいぜ」

 「でしょうねぇ」

 「おうよ、俺から見たら何贅沢な悩みしてんだって感じだぞ。よしっ! お待ちどうさん、モモ串4本な」

 おじさんはそう言うと目の前の皿にそれぞれ出来上がったばかりの串を置く。うん! いい匂い。


 「ともかく出来上がりましたし頂きましょうか」

 「ですね。今はとりあえず食べる事に集中しようっと。おじさん、ネギマも4本貰える」

 「あいよっ! ネギマ4本ね」


 おじさんは威勢よくそう答えると新たに串を焼き始める。

 門田さんから2本奢りますと言われそれを快く受け取る。それで門田さんの気も晴れるなら安いものだ。こちらとしては全く損もないしな。

 

 次が焼けるまでの間、出来上がったばかりの串を頂きつつ門田さんからゴーレム作製の話を聞く。

 駒の発表からこっち、あちこちでゴーレムの話題が上っている。今はダンジョン関係者のみだけど一般の所にまで駒が出回るのって全くもっていつになるんだろうねぇ。





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