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581話 運搬終了!




 「よし、ここまで来れば後はもう目と鼻の先だな」

 「何とも拍子抜けする護衛だったな。まぁ、荷が無いんだから当然っちゃ当然だがよ?」


 草田さんと八十田さんは隠密ロープももういいだろうと仕舞って大丈夫と指示を出す。帰還陣前の通路まで来てしまえば戦闘もそう無いだろうしね。

 皆もここまでくれさえすればとホッと一息を吐いた。隠密ロープを纏めつつ悠々と帰還陣までの通路を歩いて行く。


 広場を出て数時間。途中で昼休憩を挟むとそれまでと同じようにして隠密ロープで隠れつつ帰還陣の所まで近道を通り歩いてきた。荷が無いのでルートの選択も楽なものだ。

 今までのような運搬車を使った運搬では通れるルートも限られる。しかし人だけであるからこそこの移動も可能なのだ。


 「護衛班としては通れるルートが増えてくれると楽なものだ。隠密ロープを使っていたという事もあるが移動に制限がつかないのは非常に有難いな」

 「人だけであれば結構狭い通路とて移動のルートに使えるからね。むしろ心配するべきはリュックの方がつっかえないかだったかな」

 「軍に貸し出したゴーレムが8体だったか? そいつらが居りゃ俺達の荷物も預かってもらえたりしたんだろうがな」

 「私達のリュックも運んでもらえれば更に動きやすくはなっただろうな。まぁ、広場でそっちの分も素材を担がせていなければの話だが」

 「空いてるゴーレムが居るんならもっと追加で素材を運ばせてたかもな。8体もいりゃ結構な量を持って来られるだろうしよ、惜しい話だな……」

 「全く……」


 草田さん達と司さんがそう言って溜息を吐いた。

 今よりもたくさんの素材か自分達の背負っている荷物か……移動を優先するのであれば今背負っているリュックすらない方が楽に移動も出来る。ゴーレム数体はリュック運搬専用で残しておきたいな。

 源田さん達と一緒に隠密ロープを纏めながら今の話を耳にするとそう思った。やっぱり軍に持ってかれたのは何ともねぇ……。


 「ただ移動するにしてもリュックを背負っているかいないかは結構響きますもんねぇ……」

 「人によっちゃ着ている鎧よりもリュックの方が重いぐらいだ。それを担いでいるかいないかは探索のしやすさだって変わるな。隠密ロープ内でもそれだけ空きのスペースが取れるしよ」


 源田さんは受け取った隠密ロープを纏めながら自分の呟きに対しそう答えた。

 自分なんかは今源田さんが言った通りだ。鎧より背負っているリュックの方が重いんだよね。

 背負っているリュックの位置を整えつつこれがなければ快適なんだがと内心溜息を吐く。ゴーレムが担いでいる籠の上にでも乗せらんないものか。

 ゴーレム(駒)の持ち主権限でやれない事は無さそうだが周りの視線が痛そうだと口に出す事無く心の中へ留めておく。まぁ、これも探索のトレーニングとでもそう思っておくか。


 そんな事を思いつつも帰還陣に向けて最後の通路を歩き始める。ほんと、ここまで来ればもう目と鼻の先だな。

 夕方前には帰還出来たとこれからの事を考える。帰還したはいいが逆に早すぎて戸惑うな……。





 「んんーっ! はぁ……数時間ぶりでも地上に戻ってくると空気が美味しいですねぇ」

 転送陣の上で伸びをしながらそんな事を思った。やはり洞窟エリアはなんだか息が詰まるな。


 「やっぱりダンジョン内よりは地上の方が安心出来るからね。広々としてる森林エリアから戻って来てもそう思うものだよ」

 「空気的には森の中とそっちの方が良さそうですけどね。モンスターの有無は気分的にも影響大きいですねぇ」


 スタッフさんにタグを見せつつ司さんとそんな会話を口にする。息が詰まるのはなにも洞窟エリアの物理的な閉塞感だけではないという事だ。

 転送陣の建物から出ると皆が集まるのを待つ。今回はリュックを背負っている分まだ視線は少ない。帰還して来たにしては素材が無いとそっちで多少変には思われているようだ。

 一応成果無しという事もあるのでそこまで不思議ではないが完全に何もなしだと見てくる者は居る。魔石の入った袋ぐらいはあった方が自然か。


 「よし、それじゃあ僕達は管理部の方へ報告に行ってくるから。皆は持ってきた素材の方を頼むよ」

 「またあんな感じの視線を集めるんですかねぇ……」

 紙田さん達と4層を突破してきた事を思い出す。ゴーレムから荷物を出すとなればあの時と同じ視線を受ける事になりそうだ。


 「攻略してきた広場の位置や今回の成果の規模と言っておかなくちゃいけない事はあるからな。意外とこっちも面倒なんだぞ?」

 「私としても護衛のしやすさなんかの感想を言わなくてはならないしな。荷物を引っ張って来なくていいという重要性を伝える必要がある」


 源田さんや草田さんはPTリーダーもこっちはこっちで面倒と口にした。確かにそれは伝えてこないといけない事だろうけどね。

 周りからの視線を受けない代わりに管理部の人達と話し合いがある。説明をしないといけない分面倒さはどっちもどっちかと思った。PTリーダーはリーダー会議とかもあるだろうしね。


 「それじゃあ俺達はここで解散だな。素材の積み下ろしよろしく頼んだぞ」

 「食堂ででも待っているから説明が終わったらそっちに来てくれ」

 「適当に何か摘まみながらでも待っていますので」

 「説明よろしくお願いしま~す」

 そう言うと八十田さん達護衛班の面々は一足先に自分達と別れた。護衛の役割はこれで終了と。


 「早く説明を終わらせて私も解放されたいものだな……。それでは行くとするか?」

 「ええ」

 「こっちも早く解放されてぇぜ……んじゃ後は頼んだぞ」

 草田さん達PTリーダーも報告の為と自分達と別れ管理部の建物へと歩いて行く。残された自分達は若干気が重いな。


 「それじゃあこっちも移動しちゃいましょうか」

 「荷物が手元に無い分倉庫までの移動が楽なのは大助かりね。あの量だとトラックはいくつ要ることやら……」

 「倉庫に持っていくまでですら大変ですもんね」

 「倉庫で直接出せるというのは有難いですよ」


 愛さん達婦人メンバーは倉庫に行くまでトラックを必要としないというのも助かると口にする。本当ならここでまた積み込み作業があるもんな。

 倉庫に着けばそこで積み降ろしもしなくてはならない。駒を使う事で倉庫に行くまでの間も楽と若干笑顔を取り戻し歩き始めた。

 その言葉に頷くと皆も倉庫に向けて足を動かす。広場から倉庫までの移動も短いとはいえ微妙に面倒だからね。駒の利点は出す所までずっと仕舞っておけるのも良い点だろうな。 

 そしてしばらくして倉庫裏へと到着する。既に他のいくつかのPTも戻ってきていたらしい。倉庫裏に広場から運んで来たと思われる素材が広げられていた。


 「すみませーん! 4層の素材を持ち帰って来たんですけどどこに置けばいいですかー?」

 「はい。あちらの角にスペースを取ってありますのでそちらにお願いします」

 声を掛けるとスタッフさんから置く場所を指定された。そっちに出したら後は自分達で運ぶという事だ。


 「わかりました。それとゴーレムを出す許可って貰えます?」

 「構いません。そう言うPTもいるだろうからって言われていますので。ちなみに大きさはどのぐらいでしょうか?」

 「大きいので5mです」

 「わかりました。周りに注意をして出してもらえれば結構ですので」

 「気を付けますね」

 スタッフさんから許可も取ると指定された場所へと向かう。ゴーレムで運んでくる者も居ると予想していたようだ。駒持ち全てが討伐班って事もないだろうしね。

 

 「それじゃあ石田さん、5mのから出していってもらえる?」

 「わかりました」

 「皆回りを注意してー!」


 皆は人避けをしつつこちらに注意を向ける。何かあれば補助に回らないといけないしね。

 人が近くに居ない事を確認するとゴーレムを出す。広場でもしっかりと立っていたしそう問題は無いと思うのだが……。


 「……よし、大丈夫っぽいな。尻を着けてゆっくりと座りこめ!」


 ゴーレムに指示を出す。籠の底が地面についてしまえば後は鎖の取り外しだ。

 ゴーレムの残骸が詰まった籠を床に降ろすと皆してゴーレムから鎖を外していく。能力も使って手早く済ませる。まだまだ数はいるからな。

 鎖を外したゴーレムを断たせるとまだ仕舞わずそこに立たせておく。もし倒れそうな場合はこいつで押さえてもらった方が安全だ。


 1体が済めば後はそいつを使って次のゴーレムから鎖を外していく。2体もいれば補助要員としては十分だろう。

 大型ゴーレムを終わらせると次のゴーレムと言った感じに次々と素材が入った籠を出していった。20体以上が置いた籠でスペースは埋まっていった。こうして見るとやはり結構持ち帰って来たよなぁ……。


 「あれで全部です」

 「……これはまた大量ですね。え~っと……どなたか書類にサインをお願いしたいのですが……」

 「私がしましょう」

 そう言って星矢さんはスタッフさんから書類を受け取った。素材を出した以上これで自分達の役目も終了だ。


 「はい、これでOKです。素材の方は私共の方でしっかりと確認いたしますので」

 「簡単にですがこちらが運んだと思しき量です。参考にでも使ってください」

 星矢さんが運んだ素材の目録を渡す。素材に武器にと持ち帰って来た数が多いからね。


 「それでは私達も休憩にしましょう。司さんが戻って来るまでは自由行動という事で」

 『りょうか~い』

 素材を出した後はスタッフさん達に任せればいい。自分達運搬班もこれでお役御免と倉庫を後にすることにした。


 「背負っていた籠を降ろしてくるだけだったから楽でいいね」

 「後は管理部のスタッフが集計すんだろ」

 「んー、なんか小腹が減ったなぁ……食堂で適当に食べるか?」

 「酒はダメだけど料理なら問題ないだろ。源田の奴が戻って来るまでプチ打ち上げ会だ!」

 「でも今食べると夜がちょっとねぇ……」

 「その時は夕飯を少なくすればいいさ」

 「けどそう言って桃子さん普通に食べてるよね?」


 田茂さん達は食堂で軽く何か食べてくるようだ。愛さん達も司さんが戻って来るまでそうしてようと一緒に食堂へ向かう。

 人目はあれだったがこっちは降ろしてくればそれでOKと長引かないのが良いね。報告の方は下手したら長々と引き留められるかもだしな。

 愛さんが司さんに食堂で待ってるというメールを送ると皆して食堂へ向かう。

 さてと……それにしてもこの後はいったいどう動くんだろうな?

 




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