531話 ダンジョン4層(PT) まずは倒しやすい奴から倒す!
「やっぱりまずは数を減らすべきでしょうね。少数を相手にするのは戦術の基本だと思うし……」
「そうなるとまずは塊蟻の方からですね」
「遠距離攻撃もしてきませんしね」
「私達なら高度にさえ気をつけていれば安全だよね」
竹田さん達の所に戻ってきて次の動きに対し問いかけるとそんな返事が返って来た。少数に対し多数で相手にするのはやはり基本か。
「でしたらまたあちらへ戻る事になりますね。なるべく早く倒すというのであれば門田さんと川田さんの協力があると早く終わりそうです」
「ちょっと見てたけど水のあのレーザーね。確かに威力は高そうだったわ」
「火でも似たような事が出来そうですよね。金属を焼き切るみたいな。
空さんもそちらに回りますか? 援護は僕達が請け負いますよ」
「そうねぇ……それじゃあお願い出来る?
火の能力持ちは……マジックアイテムも合わせればそれなりに居るわね」
「太一さんは流石に抜けてこられなさそうですけどね」
太一さんも火の能力持ちではあるが今はゴーレムの方を対処している。アイスゴーレムの方でも火の能力は効果を発揮してるからな。
「行けそうなメンバーを募る事にするわ。石田さんは私と一緒に攻撃班ね。
光一と尊君は援護を。凜さんは太一達ゴーレムを相手にしてる皆に持ちこたえるよう伝えてきて頂戴。あっちを片付けた後でゴーレムに取り掛かるって。そうしたら光一達と合流ね」
「了解です」
「わかりました」
「石田さん、新しい鉄板をもらっていいですか?」
「じゃあ早速行ってくるね!」
竹田さんの指示に頷く全員。尊さんから新しい鉄板を要求されたので渡しておく。結構歪んでたしな。
凜さんは返事をするとすぐさま離れていった。一時的に飛行班から援護が無くなるので注目を引き付ける人数が減る事になる。
まぁ、向こうにはゴーレムも多いので大丈夫そうと言えば大丈夫そうでもあるが。
攻撃班として竹田さんと一緒に塊蟻の方へと向かう。さっきぶりだな。
「丈先輩、美香。2人にも攻撃に回ってもらいたいんだけど行ける?」
「攻撃に? 防御はいいの?」
「太一達には無理せず持ちこたえるようにってお願いしてきました。それに防御はゴーレムもいるので」
「あの大型ゴーレムを防衛に回せば確かに心配はあまりないかなぁ……」
ゴーレム達の遠距離攻撃を盾で防ぎつつシールドバッシュで吹っ飛ばしている大型ゴーレム。あれを防御寄りにすれば2人が抜けても何とかなりそうではあった。
「さっき石田さんが水のレーザー状の攻撃で塊蟻を倒すところは見てた? 私達もアレで手早く倒してしまおうと思うの。
それと火の能力でも似たような事が出来ると思うし、明日香さんと奏さんも来られないかしら?」
「バーナーで金属を焼き切るあんな感じ? 確かにイメージは出来そうだけど……」
「あまり試したことは無いからそこがちょっと不安ね。しっかりと押さえが効いていればちょっとは安心出来るけど」
「ゴーレムもいますしそちらは大丈夫かと。自分も土の能力で動きを抑えますし」
塊蟻の周りに鉄柱でも出せば動きを抑制することも出来るだろう。ある程度の太さは必要だけどな。
「大地の杖でも同じことが出来そうだね。僕は構わないよ」
「私の樹でも可能かな? なるべく太いのを作らないとだけど」
「ちゃんと攻撃の方もお願いね? これで人数は大丈夫だと思うわ」
「そうね……早めに何とかしたいのは私も一緒だし。ええ! 大丈夫よ」
「抑え役が居るのであれば私も大丈夫。すぐ移動するわ」
明日香さんと奏さんも問題ないと言って大きく頷いた。攻撃班もこれだけ居れば早めに終わるだろう。丈さん達近接班もいる事だしな。その内丈さんと日向さんは火の能力も使えるし。
自分と竹田さんは空から狙うと言って門田さん達の元を離れる。丈さん達への説明は澄田さん達が行ってくれているのでこれで準備は整ったな。凜さんも太一さん達に伝言を伝えて合流済みのようだ。
「地上の指示は丈さんに任せます!」
「任されたっ! そちらもしっかりと目を引いてくれよっ!」
「援護班! そっちは頼んだわっ!」
「了解ですっ!」
竹田さんが丈さんと澄田さんにそう声を掛ける。2人もいつでも大丈夫と言わんばかりの返事を返す。門田さん達も近くへ寄って来たりと準備はOKだ。
「石田さん! まずはあっちの端から行きましょう!」
「了解です!」
「私達は岩石を纏ってる奴から行くぞっ! 足が無いのは明日香達に任せる!」
「手始めには無難ってわけねっ!」
「足が無くても転がりは出来るわ。押さえもお願いね」
「川田さん! 僕達はまず明日香さん達の援護をしてから取り掛かろう!」
「オッケー!」
そうして各自は塊蟻討伐に向けて動き出した。
足が無い塊蟻は多少の支えで体を囲ってやればそれで十分だ。明日香さんと奏さんは高温にした火をバーナー状に纏め首の付け根へと当てていく。
肉が焼ける熱と痛みで塊蟻は動こうとするが、支えもあって大きく動くことは不可能だ。頭自体もゴーレムによって押さえつけられている。間違ってゴーレムに当てないよう慎重に首を切断していった。
「ふむ……相手の動きが鈍いのもあるが防御力のある相手にはこれも有効か」
丈さん達も塊蟻に対し同じように火を使って攻撃を開始していた。こちらは首を切り落とすのではなく頭そのものを貫通させているが。
首を切り落とすのも頭を真っ二つにするのもそう対して違いはない。結局は頭部という大事な部位を破壊しているのだし。
無理やり開けさせた口から頭側に向かってバーナーを貫通させる。口に突き入れられている棍棒が首の動きも抑制しているらしい。はた目から見ると結構むごい仕留め方だな……。
「それなりに魔力は使うけど威力も高くていいな、これっ!」
「私は魔力も多いしねっ!」
門田さんと川田さんは明日香さん達の援護をした後自分達も攻撃に取り掛かっていた。
太い樹の蔓と鎖を頭部の塊へと巻き付けゴーレムに引っ張らせている。それだけでも時間をかければ首を引きちぎりそうな勢いだが、その伸びた首に水圧カッターを当てて横から首を切り落としていた。
周りに立っている金属の杭と樹の所為もあって逃げ場は封じられていると、拘束された塊蟻に逃れる術は存在していなかった。
「地上班は順調ですね!」
「飛行班もねっ!」
拘束を受けた塊蟻の上から頭部を狙い撃ちにする。首を動かせるとはいえ上から見ればその可動域は微々たるものだった。
空から地面に向かって水圧カッターやバーナーを伸ばしていれば容易に当てることが出来る。地上から攻撃するよりも安全に仕留められるしな。
「体の方もこれなら傷つかないわね!」
「自分から体へ当てに来ない限りは大丈夫でしょう!」
魔石が壊れる心配もこの攻撃方法であればあまり心配する必要はなかった。
頭部を損傷させればやがては動かなくなる。縦に切ろうが横に切ろうがそれは一緒だ。確実なのは首を落とす事だけど頭が真っ二つになって生きていられる生物はそうはいないだろう。
それでも生きているからこそ化物と呼ばれるのかもしれないがこいつ等はそう言ったモンスターではないしな。
こちらが順調であるように、澄田さん達の方も順調と言って差し支えないだろう。
澄田さんの雷を受けて体を痺れさせている塊蟻。魔石への影響が少し心配だが、先に影響があるとすれば肉体の方だろう。動けるか動けないかといった微妙な加減具合で塊蟻達を抑えている。
尊さんの方も氷を出す事で進行の抑制が上手くいってるみたいだった。それに昆虫型というのは基本的寒さに弱いものだ。周りを氷で囲まれた塊蟻の動きが目に見えて遅くなっているのがここからでもわかった。
まぁ、元から遅いのもあってほぼ止まってると言えば良いか。
そんな動きの止まった塊蟻の足を凜さんが切り落としていっている。風の能力が防御力の高い相手に対し苦手とはいえ関節さえ狙えばどうという事は無いな。
「尊さんっ! 希少金属の奴の動きを止めておいてください! 冷気は同じく苦手なはずですっ!」
「わかりましたっ!」
頭部にペイントが付いている塊蟻を氷の壁で囲む。下手したら包まれているその冷気だけで終わったりしてな。
そんな感じに地上班と飛行班……それぞれが成果を出しつつ 確実に塊蟻を屠っていった。
基本は圧し掛かられなければ問題のない相手だ。空を飛んでいる自分達にすれば全く脅威がないとも言える。まぁ、それも今だけの話だが。
横目でゴーレムの方はどうかと確認していたのだが、どうやらあちらは防御を固めた大型ゴーレム達を抜けずにいたようだ。やはり体格が倍以上ある相手というのはそれだけで突破が難しいらしい。
こちらももうしばらくしたら終わるのでそしたら攻勢に出る事になるだろう。太一さん達には今しばらく我慢してもらうかと思いつつ更に塊蟻の頭部を落としていく。
後残っているのは希少金属の奴を入れても両手で数えられる程度だった。




