表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/771

50話 攻撃魔法を扱えるようになろう(6) 反復練習




 「よし! 早く起きれて時間も取れるし早速反復練習始めるか!」

 翌朝、無事に朝の時間帯に起きれた将一は、毎度のごとく眠気覚ましもかねて風呂に入り、朝食をとった後すぐさま鉄壁の前にやってきていた。昨日飛行魔法で時間を食った分、朝のこの時間に起きれたのならば遅れを取り戻そうと意気込む。反復練習をした後には基本の4属性以外の魔法が控えており、少しでも早く終わらせられるならそれに越したことはない…と。

 

 「どの属性でも使える形を変えて撃ち出す魔法は今回は良いとして…その魔法でしかできないことを確かめるか。

 まずは土からだな。土だとやっぱり鉱物とか合金を自由に出せるってのが強みだよな。物理的な攻撃と防御はやっぱ見ていて安心できるからな。拘束するのにも便利だしこれができればダンジョンでも安全度が増すと思うんだよな」


 そう言って土の壁、石の壁、鉄の壁と作り出す。強度としてはやはり鉄の壁が一番だろうか? それより固いものもあるにはあるが、普段使うならこれでいいんじゃないかなと思う。

 それにモンスターによっては鉄を腐食させてくる奴もいるかもしれないし、場合によっては石や土の方がいいような気もした。


 「壁としても足場としても使えるからな。高い所とか登るのにも使えるだろう。飛行魔法は大っぴらには見せられないしな。

 さてと、この魔法はこれでいいとして…次は錬金か。これも大概酷い魔法だよなぁ…。モンスター相手にはまだ使ったことないから実地試験がいるけど、土魔法で檻等を使って捕まえた後にいくらでも試せるか。キメラみたいなのにでもなったら跡形もなく消さないとな。見られたら新種が出たとでも思われかねんし…。

 それと宝石化も慎重にしないとなぁ。宝箱見つけたらとりあえず試すってことでいいな。一応実験で普通の岩をルビーにしてみたけど…あんなのダンジョンで採れるんだろうか? せめて手のひらサイズに止めとくか…」 

 昨日実験をして、森の道制作時に回収した岩を錬金してルビー状にしてみたのだが…存在感がやばすぎた。あれを削り取ったらいったいいくつルビーの装飾品ができるのだろうか…。人に見られないよう転送し隠してあるが、あれが日の目を見る日は果たしていつになるか…。


「後はゴーレムの作成とかちょっと気になるけど…これゴーレムの核が居りそうなんだよなぁ…こいつはダンジョンで手に入ったら試すか。

 土はそんなところか? なら水魔法に行くか。こっちは最後大失敗したからなぁ…ここで出す魔法も考えないと」


 こちらも形状変化させ撃ち出す魔法は省略する。どの属性でも同じ工程だったので、昨日のうちにだいたい分かってしまった。

 将一は昨日と同じように鉄壁の前を石場に変えると、再び的として案山子を立てる。今度の石場昨日に比べて少し広くとっておいた。これで昨日のような事故が防げるはずもないが同じ寄りはいいかなと思ってだ。


 「さてと…撃ち出す系はいいとしても圧縮についてはおさらいしとくか。それによって撃ち出すほうも威力は変わるしな」

 

 鉄壁の前に案山子を複数立たせる。相手が複数の場合もしっかり対応できるようにしておかなければならないとこちらもおさらいだ。

 将一は案山子の前に立ち、水圧カッターをまずは奥の鉄壁に向けて発射してみる。壁の方は壊れないようしっかり魔法がかかっているので、この魔法をどれだけ撃ち込んでも穴一つ空かないのは昨日実証済みだった。

 しっかりできていることを確認すると、それを案山子に向けて移動させる。とりあえず全部の首を落とすつもりでカッターを操ってみた。

 

 「うん…カッターはもう少し早く動かしても大丈夫そうだな。ゆっくり動かすのはかえって事故りそうだ。相手が硬すぎるとかでもなければもう少しスピードがあってもいいかな?」


 首が全て切り飛ばされた案山子を見ながら実験の成果を検分する。実際の相手をあのゆっくりさで切っていたら痛さで首を振られこううまく切り落とすことはできないだろう。圧はしっかりかかっているのだから、一気に振り切ってやればよく聞く、痛みも感じないうちに~という奴ができるかもしれない。それだけの切れ味が水圧カッターにはあるのだから。

 カッターを振り切る速度を変えて今度はやってみようと案山子を新しいものに取り換える。今度は早く動かしながら、どこまで首を落とせるかの実験を開始した。


 何回か試してみるが、早く動かしながらだと首ではなく顔を両断してしまったり、少し下げたつもりが下がりすぎて肩部分を切ったりと安定しなかった。

 さらに本番では自分自身が動きながらそれをやらなければいけないかもしれないし、相手も動いていればなおさら何度は上がる。今のままでは更に狙いは外れるだろうと、自分の狙いの甘さに頭を悩ます。


 「う~ん…意外と狙ったところを横一文字で切るの難しいな。接近した状態ならまた別なんだろうけど、この距離じゃこんなもんが限度だなぁ…自分の腕じゃ。離れている場合だと、とにかく切りたいって時にしか使わない方が無難かなぁ? あと弾速? はあるんだから、切るっていうより貫くことを主に考えたほうが使いやすいのかもな水圧カッターは」


 目の前の不ぞろいに横一閃された案山子を見て呟く。しばらくするとそれらは消えるが、何度も試すうちに水圧カッターはそういう感じで使う方がいいかと練習を切り上げることにした。 

 遠距離で切るという手段が後はかまいたちぐらいで、どちらかは習得しておきたいと思っていただけあって少し落ち込む。かまいたちの方は頑張ろうと意気込みが入ったのはよかったかもしれないが。

 

 「まぁ落ち込んでても仕方ない、次行くか。

 それで水魔法の特徴って言ったら、やっぱり液体(水分)を自由にできるってことだよな。ジュースを出せたり硫酸をだせたりと。んでそれを操っての攻撃を昨日やってたんだよな。ジュースとかはともかく…硫酸だったら圧縮しないでそのままホースから出すみたいにしてぶっかけたほうが効果的なんだよな。毒液もかな? 付着させるだけでOKと、中に注入させないと効果が薄いの違いがあるから少し違うか。

 モンスターは飲食しないっぽいから飲ませるってのは厳しいな。体内でないと効果が薄い系は水圧カッターみたいにして体内に直接入れてやればいいか。毒使うまでもないかもしれないなそれだと…」

 

 将一は昨日と同じでガラスの箱を用意してそこに注意しながら硫酸を流し込む。出すだけなら簡単なものだ。後はこれを圧縮せずにぶっかけてやるだけでいい。

 出した硫酸を水に変化させて石場に流す。水ならば地面にしみこんでも問題はないと。

 転送でコップを取り出しついでにジュースも出してみた。相変わらず水魔法でジュースが出てくるのに少し違和感を感じてしまう。硫酸を出してる時点で今更なのだが何故だろうか…。


 「あと水魔法で出来るって言ったら状態変化で霧状にして人工霧とかだろうけどこれは形変えるだけで楽だからいいか。

 とすると…水魔法もこんなところか。

 んじゃぁ…火魔法…と思ったけど先時間がかかりそうな風から行くか。飛行魔法は昨日さんざんやったから今日はすぐ行けるだろう…というかうまくいってもらわなきゃ困る、昨日の努力もう忘れてるとかなしで頼むぞ…」

 

 相変わらず火魔法の扱いが若干悲しいことになっている。昨日空を飛びながら考えていたが、相手の熱を奪うというぐらいしかなかった。それも冷水をぶっかけてやれば代用できるかなぁ…と悲しいものだったが。

 

 風魔法で出来る事は幅広い。その中でもやはり特徴といえば空を飛べることだろう。まずはそちらからと、一番簡単な浮遊魔法を試す。

 浮遊魔法を使って空中にフワフワと浮かび上がる。相変わらずこの感じはちょっと楽しかった。スピードは出ないがその浮かんだ状態であっちに行ったりこっちに来たりを繰り返した。これに関してはマスターしたんじゃないかなと思うほどスムーズに発動できる。まぁ…マスターも何も、浮かぶ高さを決めあっちに行けこっちに行けと想像するだけなのだが。

 しばらく浮遊魔法を堪能すると、地面に下りて次こそは飛行魔法を試す。こちらが本命だ。


 まずは昨日もやっていたホバー状態から始める。地面からの設定をどうするかと考えていたが、地上から〇㎝浮くではなく、地上〇㎝以上沈まない、という設定ならばどうかと思った。これなら岩等の障害物に登ったとしても降りるときは自然落下になるはずだと。

 将一はさっそくその設定でホバー状態に移行する。まずは試しと、普通にその辺を移動してみる。足を動かすのではなく、行先を頭で想像し魔法に伝える。このイメージ思い浮かべるのに多少手間取るが、移動のしやすさは格段と楽になった。地面に足がつくこともないので摩擦係数はほぼ感じない。まさしく地面の上を滑るようにして移動ができた。慣れればジャンプをしてみたり、かがんだ状態で移動したりと遊び始める。


 「練習はこんなもんでよかろ。じゃあ岩だして障害物を想定しての移動だな」

 

 訓練場のそこかしこに土魔法で岩を作る。降りるときの自然落下を想定して間隔をそれなりに空ければ完成した。魔法なら障害物コースも楽々だ。

 将一は、今度はうまくいってくれよ…という気持ちを持ちながら、作った岩場コースに足を進める。

 そして移動先を魔法に伝えると地面の上を滑りだす。最初は岩を避けて、さながら障害物競走のような感じで滑っている。スキーの選手がポールとポールの間を滑りぬけていく感じで、将一も岩と岩の間を抜けるよう想像して滑っていく。

 意外とこの移動方法は将一にあっていたのか、結構順調に滑っている。昨日一度やっているというのも大きいだろう。しばらく滑るが岩にぶつかるような動きもなく、スイスイと滑ることができていた。


 「案外行けるもんだな。まぁ、最初からぶつかるのが目的じゃなくて障害物間を滑りぬける訓練だからな。これはこれで普通にOKだろうよ。

 よし! じゃあこの設定で障害物に乗り上げてどうなるかの実験行きますか」


 障害物有での移動も順調に終わり今度はわざと岩にぶつかる用にして進む。乗り上げるのは昨日までと同じだが、そこは心構えで何とかし、降りるときに自然に行けるかが実験の肝だ。

 スピードをそれなりに出し、岩に向かってコースをとる。事前に乗り上げる覚悟をして岩に近づくが、普通なら大惨事だなと若干余裕が生まれていた。そしてついに岩の目前まで来てそのまま乗り上げる。


「っ!」

 体が上に無理やり引き上げられる感を堪える。内蔵が若干下側に移動する気持ち悪さに耐え、次に岩から飛ぶ心構えをすぐさま持つ。

 岩の端はすぐそこであり、気持ちを整える準備が足りない気もするが、そんなこと思う暇もなくその時は来た。

 岩自体は短いが、スピードがそれなりに出ていた将一自身はその短いジャンプ台から体を宙に投げ出した。


 体は今までのスピードを維持したまま宙に飛んだ。これが100㎞とか出ていようものならかなり飛んだのだろうが、あいにくと障害物の岩はそこまででかくはなく、飛んだといっても2mぐらいだろう。しかしそんなことはどうでもいい。問題は強制的に引きずりおろされることなく2m飛べたという事だ。

 2m飛んだ将一はそのまま地面の上を大回りをして止まる。摩擦抵抗がないおかげで止まるのに少し時間がかかるのはホバーの難点の1つだろう。


 「これはこれで怖いけど…設定はあれでうまくいったな。障害物に乗り上げる覚悟さえあればなんとかなるだろう…。まぁ、一応成功と言っていいのかな?」

 ホバーでの移動はとりあえず目途がついたと喜ぶ。課題はあるが今はこれでいいだろうと。


 「さて…次はいよいよ高度上げての飛行魔法だな。まぁあれだけやったんだしこれで成功してくれなくちゃ困るってもんだ」


 ホバー状態を一度解除し、水分を取って再び体に飛行魔法をかける。慣れてきたこともありこれで上まで登ろうと思った。

 そして魔法にイメージを伝え、それなりのスピードで空に向かう。昨日さんざん練習したというだけあり、その動きは最初の時とは違ってしっかりしたものだった。




 「ふぅ…とりあえず飛行魔法もこれで良しっと。なんも問題なく動けて良かった良かった」

 今回の飛行はだいたい木2本分の高さといったぐらいで練習した。昨日高くまで登りすぎたこともあってこれぐらいに止めておくべきだというのもしっかり学んでいた。


 「空の上で透明になれる魔法もついでに試しちゃったし…かまいたちとかもなんだかんだついででやっちまったなぁ…まぁ、それだけ飛行魔法中に余裕があったと考えればいいことだよな。飛びながら魔法が使えたってのも分かったし一石二鳥だよな? 多分時間も短縮できたろ。

 さてと…これで風魔法でやることは終わっちまったわけだ。

 次は火魔法なんだけど…どうすっかねぇ? 熱を奪うことができるって言っても対象の案山子もどきは熱もってないし…試せないんだよなぁ…。

 対象は生き物になるだろうけど森にいる鳥とかに使うわけにもいかんし…かといっていい案はないしなぁ…。はぁ…どうしよ?」


 風の魔法が一通り試せ、気分もよかったのだが次の火の魔法の事で頭を悩ませることになる。

 昨日も言っていたが、火の魔法はその結果が燃やすという事に集約している。昨日必死に考え熱を奪うという方法は思いついたのだが、それは生きてる相手がいなければ試せないと今になって気が付いた。

 練習する対象もおらず、できることも燃やすという探索者には不向きな力。将一は使い所が厳しすぎると、再び頭を抱える羽目になってしまった。

 いっそのこともう別の魔法の練習に行った方がいいのではないかとさえ思ってしまうありさまだ…。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ