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502話 注文の品が到着




 「っと……そろそろ明人さんが来る時間か」


 山の自宅へ戻りゴーレムのコピーを終わらせて4層探索の準備や資料なんかを見ているといつの間にか結構いい時間となっていた。作業をしているとほんとあっという間に過ぎるな……。

 再び個人倉庫へ転移をするとゴーレムを連れて建物の前へ。出来栄えの方は果たしてどんなもんだろうな?

 しばらく待っていると明人さんからもう着くとの電話が来た。


 「お、あのトラックだな」

 個人倉庫前へとやってくる1台のトラック。何度か見たことのあるナンバーだと確認しながら駐車するのを待った。


 「おう石田さん、お久し。注文したもんはしっかりと出来上がってるぞ」

 「こんばんは、明人さん。運送ありがとうございます」

 「帰りがけの配達だ、気にすんな」


 そう挨拶を交わしながらトラックの後ろを開ける明人さん。待機させていたゴーレムに指示を出してトラックから搬出するのを手伝わせる。とは言ってもやる事なんてほとんどないが。

 トラックの荷台からキャスター付きの籠が降ろされる。そこには金属の細長いケースが3本入っていた。そう言えばケースは頼んでいなかったな……。


 「こいつが注文のあった武器だ。確認を頼むわ」

 「では……」


 ゴーレムにケースを1つ持ってくるよう指示を出すと蓋を開ける。そこには自分がお願いしていた通りの形の武器が収まっていた。

 ゴーレムに取り出すよう指示を出して試しに持たせてみる。振り回すのは周囲に人がいなかろうとここだとまずいか……。

 体の前で構えさせたその武器をじっくりと見させてもらう。長さは丁度よさそうだ。


 「希望通りですね。後は訓練室で様子見をしないとですけども……」

 「なんか気になる所があったら連絡してくれや。注文通り頑丈には出来てるから折れるとか欠けるってのは早々ないと思うけどよ」


 ゴーレムが持ったその姿を明人さんも満足そうに頷きながら見ていた。ゴーレムが持てば一段といかつく見えるだろうな。

 肩に掛けたり逆手に持ち替えたりなんかを簡単に確認しながら武器の出来栄えに満足する。やっぱり新し武器っていいね!

 今日はこれでいいかと、ケースに武器を仕舞うようゴーレムに指示を出した。外へ持って行く時はこいつに入れてだな。


 「性能テストに関しては明日にでも連絡させていただきます。見た感じは問題なさそうでしたが」

 「能力の使用なんかもここじゃ出来ねぇしな。連絡が来るのを待ってるとするか」

 「都合のいい時間を教えていただければその時にお電話させていただきますよ。とりあえず武器はこれでいいとして……」


 そう言うと注文していたもう1つの物をゴーレムに取り出させる。こっちどうだろうな?

 ゴーレムがファイアーゴーレム製の腕に取り付ける盾を持ってこちらへと近づいてきた。見た目は特にそう変わってる感じはしないが……。


 「ゴーレムに片手で押さえるようちょっと指示をしてくれ。そう時間はかからねぇからよ」

 「わかりました」


 そう指示を出すと、明人さんは盾の内側に近づきゴーレムの腕へと固定具を装着させていく。少ししてバンドや鎖がゴーレムの腕へと取り付けられていった。この作業を覚えないとな……。

 盾から垂れていたそれ等の固定具が全て装着されるまで数分とかからなかった。手慣れてるもんだと感心しながらその出来栄えを拝見する。


 「取り付けはこんな感じだな。鎖で大まかに腕へと固定して後はこっちのバンドをきつく巻いてやればOKだ。身に付けるのがゴーレムとあればきつくしすぎても問題はねぇはずだぜ」

 「血管が圧迫されることもありませんからね」


 そう言いながら腕の部分に取り付けられた固定具の様子を見させてもらう。確かに結構きつく締め付けているらしく押さえていた腕を外しても盾がずれる事は無かった。これをしっかり出来るかは自分次第って事か。

 腕を振って装着具合を確かめる。大きな攻撃だと少し心配ではあるが、アイアンゴーレムが放つようなアイアンバレット程度であれば問題なく受けきることが出来そうだった。これのテストも明日だ。

 

 「完全に腕へ固定が出来れば安定性も増すんだけどな。腕周りの大きさを測ってそっちの固定具も作るか? 1日もあれば出来るっちゃ出来るとは思うがよ」

 「んー……その辺りは1度こいつを使ってから考えます。これでしたら固定具の長さを変えるだけで他のゴーレムにも対応出来ますし。腕への完全固定でも別にいいと言えば良いのかなぁ?」


 腕の甲辺りから肘までを守る腕部シールドを見ながら完全固定のメリットデメリットを考える。正直そっちでも良いと言えば良い気がしてきた。

 人であればいざという時は取り外せるがゴーレムにそれをしろというのはなかなかに酷だ。外すとなれば固定具はこちらで何とかしなければいけない。ぶっ壊すつもりで外せっていうのもなんかね……。

 つまりゴーレムの場合はほとんど着けっぱなしになるわけだ。疲れるからと1度取り外したりなんかも必要ないし。そうなると完全固定型でも問題は無いって事になる。

 しかしそれはそれでいざという時に取り外しすら難しくなることを意味していた。ぶっ壊して取り外すにしても時間が必要そうだ。


 「完全固定だと盾を引っ張られでもしたら腕が外れるまで取れなさそうですね」

 「こっちだと大きな負荷がかかれば完全固定よりも固定具は壊れやすいわな。腕に致命的なダメージを受ける前には腕から離れるのは間違いねぇ。まぁ、だからってそう簡単に外れるようにも作っちゃいねぇがな」

 明人さんが言うにはこの固定具の鎖も土魔石の粉末入りの物を使用しているそうだ。ゴーレムに取り付けるからと鎖の1つ1つも結構大きい。確かにこの固定されている腕を見ればそう簡単に外れるような物でないのも納得だ。

 

 「完全固定の方は大きな攻撃を受けやすい反面取り外しが難しいと」

 「こっちのはその逆だな。長さを調節すりゃそっちのちとでかいゴーレムにも取り付けられるだろうよ」

 一緒に連れて来たリキッドを見ながらそう口にする明人さん。こっちの取り付けであれば2mと3mのゴーレムでも互換性があるわけだ。完全固定の方だとそうはいかない。


 「まぁ、腕部シールドなので咄嗟の攻撃を受け止められればそれでいいですからね。そこまで大きい攻撃を受ける前提では考えませんし」

 「防御を担当させんならそっちの大盾の奴だろうよ。腕に装着させる盾とはえらい違いだな……」

 ゴーレムが持っている大盾を見ながら、はあ……と溜息を吐く。これから見れば今作ってきた盾のなんと小さい事か。


 「用途がまるで別物ですからね。こっちのはせめて魔石と核のある場所を守れればそれでいいわけですし」

 「まあなぁ。ともかく1度使用してみてから変更するかどうかって事でいいのか?」

 「そうなりますね。もうしばらくするとまたダンジョンへ行くことになっているのでその時にでも使用感を調べてくることにします」

 「模擬戦だけじゃわからんか。仕方ねぇわな」

 「まぁ、私の取り付けが悪かったとかもあるかもしれませんけどね」


 それも考えると一度しっかり固定する完全固定型の方が安心出来るわけだ。家に帰ったら取り付けの練習するか……。

 武器の使用はゴーレム任せだが防具はそうもいかない。このゴーレムを参考に自分でもしっかりと着けられる様練習しておこうとそう思った。


 結局盾は武器と同じく3つ出来たらしい。それならこの武器を使うゴーレム全員に着けられると喜んだ。

 そしてこの盾を取り付けた状態で先ほどの武器を持たせてみた。武器を使用する際も干渉はしなさそうだ。

 どちらも見た感じは問題なさそうだと確認を終える。武器だけ再びケースへ戻してゴーレムに持たせる。


 「んじゃまぁ、これが今回の作製費用だな。サインを頼むわ」

 「素材費が引かれている分まだマシなんでしょうね」

 追加で取り寄せてもらった他の鉄材に固定具なんかの値段がそこには書かれていた。店で丸ごと買うよりはお得だと思いながらサインを入れる。


 「じゃあこれ控えな。毎度ありがとうございました、っと!」

 「なるべく早めに振り込んでおきますね」

 「よろしく頼むぜ。

 それじゃあ俺はここで待ってるからよ。そいつ仕舞ってくるんなら仕舞ってきな」

 「ではちょっと失礼しますね。そう時間はかかりませんので」

 「おう」

 

 そう言って明人さんを建物の前に残し、今日何度目かの個人倉庫へと足を運ぶ。今日は行ったり来たりが多いな。

 昼の段階で夕方の予定はないと明人さんに電話しておいたこともあってか今日これから明人さんの家へお邪魔する事になっていた。家への連絡済ませてあるとの事だ。

 酒でも飲みながらダンジョンの話を聞かせてもらうという事らしく、本日田々良家へ2度目の訪問となった。




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