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481話 ダンジョン3層(PT) 止め

 人物名を思いっきり間違えてたので修正しました。




 「松田さん、追加の油ってまだいりますか?」

 「んー……もうちょいって所ね。まだ生き残ってるのもいるし」

 「了解です」


 松田さんに中の状態を鑑定してもらいながら掛け湯ならぬ掛け油を行う。やっぱり火属性の奴は他の奴よりも耐えるね。


 足油作戦は順調に進み最後の詰めを行っていた。残った面子で小型モンスターに止めを刺していく。

 こちらはこれで大丈夫という事で止めを刺す人員を残して武田さん達は先へと向かっていた。

 移動に長ける飛行班の中から水魔法、鑑定、探知が出来る者として自分、理香さん、松田さん、長田さんが残っている。


 「もうちょい……もうちょい……あっ! 今最後まで残っていた反応が消えたわ!」

 「……それならもう出さなくて大丈夫でしょう」

 「ですね。松田さん、そちらの鑑定結果は……」

 「こっちもOKよ!」


 長田さんの探知や松田さんの鑑定の結果、内部に残っていた最後のモンスターが息絶えたと教えてもらう。これでこちらの始末は終了だろう。

 長田さんが念話を使って武田さん達に終了の報告を入れる。自分達もこれからそちらへ行くと。


 「まずは大型モンスターの所ね。あっちも順調って話らしいけど」

 「ゴーレム達を回収したら最後に残っている敵ゴーレムの始末ですね。ようやく終わりも見えてきましたか……」

 「石田さん、落ち着くのはモンスターを倒した後よ。大型ゴーレムの回収は石田さんの役目なんだから」

 「……行きましょう」

 「ええ、了解です」


 全員が風を纏って空へと浮かぶ。長田さんが念話で聞いた内容だとヘビトカゲは倒し終えているとの事だ。

 あちらも終局に入ったかな? と、戦いの終わりを感じながら武田さん達の居る前線に向かって飛んで行く。

 

 少しして武田さん達が向かっている前線へと辿り着いた。今は走っている途中のようで先行した飛行班とこのまま合流すればいいとの事。


 「報告通りヘビトカゲは倒れてるわね。あれ首が折られてるのかしら?」

 「みたいですね。タイラントスネークも虫の息ですか?」

 「大盾が咽付近に突き刺さってるし時間の問題そうね。まだなのが他の2体と」

 「……ロックスネークにこれで5体です。5体1なら終わりも早いと思います」

 「それでハンマースコーピオンは……」


 空中から各モンスターの様子をうかがう。

 大型ゴーレムはロックスネークに集まっているようで何とかなりそうな状況となっていた。最後にハンマースコーピオンの方へと目を向ける。こちらは数はいるが3mのゴーレムのみだ。

 地上を見下ろしてハンマースコーピオンの様子をうかがう。ゴーレム達が腕へと組み付いているのが見て取れた。


 「こっちも押さえ込んでいるみたいですね。んん? なんだあれ?」

 「どうしたの?」

 長田さんが不思議そうな声を上げた自分に問いかけてきた。


 「いえ、ハンマースコーピオンの左腕の付け根なんですけど……」 

 「……ハンマーが2個?」

 「あれハンマーというか鉄塊じゃない?」


 皆もそちらに目を向けると首をひねる。ハンマースコーピオンの左腕が何とも奇怪な事になっていた。

 

 腕の先端にハンマーがあるのはまだわかる。しかし、その腕の付け根部分にもう1つ大きな塊がくっついていた。バランス悪くないか?

 

 「よっ! 4人もこっちに来たみたいだな!」

 「あっちの始末お疲れさん!」

 「耐性はあっても火そのもので焼かれ続ければ死ぬだろうさ」

 視線を下に向けていると正面からそう声がかかった。視線を上げると目の前には玄田さん達がいた。自分達を見つけて近づいてきたらしい。


 「玄田さん達もお疲れ様です。残りはあの2体って感じですか?」

 「そうだな。どうやらゴーレム達だけで何とかなってるっぽい。リーダー達が到着したら攻撃開始だったんだけどな」

 「出番はゴーレム達に持ってかれたようですね」

 玄田さんと田辺さんがやれやれ……と、首をすくめながらそう口にした。確かに後はゴーレムだけでもどうにかならなくもなさそうだ。


 「流石のロックスネークも大型ゴーレムが5体がかりではね……私達が手を出すとしたらそちらになるんじゃないかい?」

 「あんまり必要ないようにも見えるんだけどねぇ……」

 田子さんが大型ゴーレム5体に迫られているロックスネークを見ながらそう口にする。綾さんは出番がなさそうとなにやら暇を持て余している感じに見えた。


 「ハンマースコーピオンもゴーレムが両腕に取り付いてますしね。自分の腕や頭が近くにある所為か、尻尾のハンマーも全力で振り下ろせないみたいですし。腕をもぎ取ればこっちも時間の問題ですか。

 ところで左腕の付け根についてるあれって……」

 「あれねぇ……私達が来た時からああだったのよ。あれの所為で左腕の動きが鈍いように見えるわ。けどあれ……」

 「おそらく前田さんの思ってる通りかと。リキッドの姿が見えませんし」

 「やっぱりあのゴーレムよねぇ……」

 皆して左腕の付け根に付いている塊へ目を向ける。リキッドが液体金属だというのは皆が知っていることだ。


 「あれ形的にはスライムじゃないか? まぁ、丸っこいってだけなんだけどさ」

 「腕にスライム状で取り付いてるって事なのかねぇ? リキッドメタルゴーレムのスライム版ってとこ?」

 「言われてみればスライムっぽいですね」

 玄田さんと和田さんの言葉に頷く。他にあんな形をしたモンスター知らないしな。


 「どうやらリーダー達も来たみたいだ。あそこで足を止めてるよ」

 「念話も来たわ。いったんこっちに来いって」

 「それじゃあ皆一旦下りるぞ。こうなるとほぼ手を出す事はなさそうだけどな」

 「了解」


 田子さんが近づいてきた武田さん達に指を向ける。それと同時に松田さんへと念話が来たようだ。状況を話し合う為か、玄田さんの指示のもと皆が頷いた。

 地上に降りて武田さん達とも合流を果たす。討伐班の全戦力が前線に集まった。(普通サイズのゴーレム達は駒の中だが)


 「状況はどうだ?」

 武田さんが玄田さんに問いかける。


 「見たまんまかな? 俺達の出番はほとんどないって感じだ」

 「ゴーレムだけで片が付くのであればそれに越した事は無いな。走ってきた分体力を余計に使っただけになってしまったか?」

 「まぁ、これぐらいならなぁ……。後衛組は少し休んでいていいぞ」

 玄田さんが大型モンスターを見ながらそう口にする。それを聞いた白田さんは、少し急ぎ過ぎたか? とそう言って後ろを振り返った。小田さんが多少息を乱している妹達やその他を見て頬をかきながらそう告げる。


 「はっ……はっ……そうさせてもらいます……」

 「体力はやっぱり……はぁ、接近戦してる人の方が……はぁ、多いよね……」

 「動けないわけではありませんけども……」

 桜さんや緑さん、琴田さんはそう言葉にしつつ息を整えていた。自分も走っていたらこうなっていた一員かな?


 「余計な力を使わなくていいんであれば何よりだがな。おっ!? ハンマースコーピオンの両腕を引きちぎったか!」


 武田さんのその言葉に皆の視線がそちらへと向く。ついにハンマースコーピオンから武器を2つ取り上げたようだ。後は尻尾だけだがそれだけではな……。

 そんな事を思いつつ、もぎ取られた両腕……左腕に注目する。案の定、左腕の付け根にくっついていた鉄塊が形を変えていつものゴーレムの姿へと戻った。やっぱりリキッドだよな。

 

 「液体金属製というのは便利なものだな。俺達も1体欲しくなったぞ……」

 「やはりマジックアイテム探しをやるべきではないか? 湧きが落ち着いたところではいろいろ見つかっていると聞くが」

 「倉田さん達は良いものを見つけたものだな……」


 武田さんの言葉を聞きマジックアイテム探しを提案する織田さん。田野倉さんは元の姿に戻ったリキッドを見ながら倉田さん達の成果を羨む風に小さく呟いた。


 配置をしてるゴーレム任せだからあれだけど、液体金属のマジックアイテムもなんだかんだ見つかってるんじゃないかな? こっちは先に駒を見つけないと使い辛いからあれだけども。

 皆見つけていたとしても作るに作れてないとかそんな感じかもしれない……性能は実際に動かしてみないとわからないだろうし。


 「おっ? 両腕が無くなったから今度は尻尾を抱えに行ったぞ。ゴーレムが2体も組み付けば振り上げだって出来ないだろ」

 「ゴーレムだからこその力技ね。土の能力を使ってるけどゴーレムが相手だと致命傷にはならないんじゃない?」

 「とは言えガンガンとぶつかってるなぁ……後で壊れてないか見ておかないと……」

 「修理の必要が無ければ有難いな」

 「その点も液体金属製は良いよねぇ……修理の必要が無くって」

 「あれ? ねぇ……もしかしてあの地面に落ちてるのって自分達のゴーレムが使ってる武器? 折られちゃったのかぁ……」


 福田さんと綾さんがハンマースコーピオンの尻尾に組み付いたゴーレムを見てそんな感想を口にする。


 尻尾に組み付いてるのは白田さん達と武田さん達のゴーレムのようだ。見た目は何ともないが、ハンマースコーピオンの攻撃を受けてどこか壊れていやしないかと修理班の黒田さんと織田さん、そして和田さんが心配そうに見つめている。

 それと米田さんがなにやら見つけたらしい。地面に投げ出されている大盾や武器の中でぐんにゃりと折れ曲がっている武器を指差した。その折れ曲がった武器を見て困った……と、代わりをどうするかと呟き悩み始めた。んー……あれぐらいなら直るんじゃないかな?


 そうしてゴーレム達を見守っていると、リキッドが落ちていた武器……リキッド用に持たせていた大剣のマジックアイテムであるティタンブレードを拾い上げた。そのままハンマースコーピオンの正面目掛けて勢い良く突っ込んでいく。

 ゴーレムのスピードから見るとかなりの速さで近寄るリキッド。障害となっていた両腕は既に無く、能力も他のゴーレムに意識を向けているとあって接近は容易のようだ。

 

 ハンマースコーピオンがリキッドに気が付いて急いで迎撃をしようとしたがもう手遅れだ。既にあの間合いはリキッドの攻撃範囲内だ。

 リキッドがティタンブレードの刀身を最大まで伸ばした。初めて実戦で見たけど斬馬刀ってすごいんだな……。

 真上に伸ばしていた刀身をハンマースコーピオンの頭部目掛けて振り下ろす。基本は頭部狙い。リキッドは指示された通り、その斬馬刀で頭部を一刀両断にした。

 

 腕が無くなって頭部にも致命傷を受けたハンマースコーピオンが暴れ出そうとする。しかし、既に尻尾はゴーレム達に押さえ込まれて足にも組み付かれている。

 力の強いハンマースコーピオンとはいえ、多くのゴーレムに組み付かれては最後の大暴れすれ許される事はなかった。


 「あれは終わったな。しかしあの大剣倉田が持ってる奴じゃないか? 石田さんも手に入れてたのか」

 「ええ、自分では使わないのでゴーレムに持たせて使ってます。間違いなく自分より上手く扱えるでしょうしね」

 「あの長さはまさに斬馬刀だな……。倉田の奴に1回見せてもらったが俺もあれ欲しいんだよなぁ……」


 武田さんが自分の得物を見ながら軽く溜息を吐いた。今持ってるのはミノタウロスの武器を熔かして作ったとの事だが、どうにもあの斬馬刀サイズになるのが羨ましいらしい。いざってときはこのサイズで戦えるからな。

 普段は2mの大剣として持ち運びもまだ楽だ。持ち主に重量を感じさせないと片手で扱う事も出来る。怪力の能力の持ち主であればこの効果が無くとも可能だろう。移動の際も負荷にならないのは間違いなく有難いな。


 皆もハンマースコーピオンはこれで終わったと思ったのか、残りの1体……ロックスネークへと目を向ける。そして目を向けた所、今まさに5体全員がロックスネークへと飛び掛からんとしている状態だった。

 

 広場内に大きな音が広がる。大型ゴーレムが飛び掛かったのだからこうもなろう。


 「っ~~~! すっげぇ迫力だな……これは大型同士じゃないと無理だわ……」

 「昔攻略された巨大化エリアでもこんな感じの戦闘があったんだろうなぁ……。あっちだと砂煙とかでもっと酷そうだがよ」

 「音で他のモンスターも寄って来るのでそこまで派手だったのかどうかはわかりませんが……」


 小田さんが咄嗟に押さえた耳から手を放してそう呟いた。大型同士の派手な戦闘という事で、黒田さんと田辺さんが大型筆頭である巨大化エリアでの戦闘を想像する。

 確かあっちでも使われてたんだっけ? けど駒も無かったはずだし……使い捨て前提のゴーレムって考えるとなんかなぁ。

 

 そんな事を考えながらロックスネークと大型ゴーレムのその後を見守る。


 大型ゴーレム達はロックスネークを押さえ込むとその状態から胴体への攻撃を仕掛け始めた。がっしりと組み付かれ、数も多いとあってなかなか振りほどけないロックスネーク。

 土の能力を使って3mほどの鉄塊を大型ゴーレムへぶつけるものの引きはがすことが出来ない。その内の何個かは避けられて逆に自分の身体へとぶつかる始末だ。

 誤射を覚悟で撃ち続けるも互いに防御力があるとあってその状態からなかなか進展がしない。大型ゴーレムも押さえ込みまでは行けたが、どうやら外殻の岩石破壊に手こずっているようだった。


 「全部を任せるには時間がかかりそうだな……。白田、水の能力者を引き連れて始末を頼む。他の物はサポートに回れ!」

 「それならば戸田と米田も連れて行こう。切断系の能力も有効だろうしな」

 「押さえ込みが更に必要なら俺達土の能力に任せておけ!」


 あのままでは敵のゴーレムが先に来てしまうとこちらから動くようだ。白田さんを筆頭に水の能力者全員で水圧カッターを使うらしい。

 押さえつけている間であれば米田さんと戸田さんの切断も効くだろうとの事。大きい相手は基本細かく切り込むぐらいしか出来ないらしいけど今ならば……。


 「俺の結界じゃ動きの阻害くらいにしかならないな。まぁ、サポートと言う事で」

 「それぐらいか出来ないしね……」

 「流石にあのサイズを念力で止めるとなると厳しいですね……電気によるサポートをお願いします」

 「白田さんは水による攻撃担当、織田さんは防御と押さえつけでダメですしね。こちらは私達でやるとしましょう」

 物理結界でどうにか邪魔をすると意気込む玄田さんと田山さん。念力でわずかでも動きを止めると口にする琴田さんと伊豆田さん。その2人の言葉に武田さんを始めとして同じ能力持ちの田淵さんと瀬田川さんが頷いた。


 「石田さん、氷の腕輪借りていい? 頭部付近を冷気で冷やしてやれば少しは鈍るかもだし」

 「それなら私が使わせてもらおうかな。PTメンバーの女性の中で私だけ手が空いててね……」

 「今お渡しします」

 「後でエネルギーを補充して返すとするわね」

 そう言って田岡さんに氷の腕輪を渡す。こっちは水担当なのでお願いします。


 「よしっ! ゴーレムが来る前に片を付けるぞっ! 長田はひとっ飛びしてゴーレムの先行偵察に行ってきてくれ。念話持ちは聞こえたら報告を頼むぞ!」

 「了解! 早速行ってくるわね!」

 そう言うと長田さんはさっそく飛び上がって皆の前からいなくなった。


 「こちらも遠見で確認しましょう。前田さん、探知で位置の把握をお願いします」

 「了解よ。他に出来る事ないし」

 田辺さんは遠見を使って監視をと口にする。サポートには前田さんが付くようだ。


 「それじゃあ行動開始だっ! 最後まで気張って行けよっ!」

 『了解ッ!』


 そうして各自が動き始める。

 最後は自分達の手でと、大型モンスターを相手に皆がやる気を見せ始めた。





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