表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
462/771

461話 ダンジョン3層(PT) 通路戦の準備を




 「っ!」

 

 前列を歩いていた前田さんが後ろに向かって無言で片手をあげた。モンスター発見の合図だ。

 雑談をしていた皆の口から声が消え表情を引き締める。切り替えが早いな。

 長田さんが以前会議室でも使った結界を周囲へと張り始める。それが終われば声も出せるわけだ。


 「これでオッケーよ」

 「サンキュ。それでモンスターの反応はどんな感じだ?」

 「反応は2つですね。速度はさほど早くは無いといった感じです。現状では……ですが」

 「ただ普通に移動してるってだけかな? こっちに気づいてるのならもう少し早いだろうし」

 「足が遅いモンスターって事もあるからあんまり当てにするのもあれだけどね」

 「莉緒、モンスターはこっちに近づいてきてるの?」

 綾さんが探知を続けている瀬田川さんにそう問いかける。


 「近づいては来てますね。ただ、米田さんがおっしゃられたように私達に気が付いているにしては移動が遅いですね。少なくとも接敵まではしばらく時間がかかりそうです」

 「護衛班の仕事を取っちゃいますけど倒しておきますか? 通路にいるモンスターの討伐も私達討伐班の役割の内ですし」

 それならばと、琴田さんは地図を取り出して戦いやすい場所を探し始める。今居る通路だと人数を活かせないからな。


 「3層内にいるモンスターは全て殲滅対象なんだ。残しておいても後々困る事態になりかねないし見つけたんなら倒した方が良いと思うぞ?」

 「まぁ、見付けちまったんだから仕方ないわな。あねさん、偵察頼んますわ」

 「わかったわ。長田さん、付いてきてもらっていいかしら?」

 「オッケーよ」

 そう言って索敵班の内2人が偵察に向かう事になった。こっちには瀬田川さんが1人残ってるから大丈夫か。


 「それじゃあ俺達はこの通路まで進むことにする。偵察を終えたらここに来てくれ」

 福田さんが地図を見せながら2人が戻ってくる場所を指示する。戦闘を行う通路も決まったようだ。


 「何かあれば連絡をください。皆への通達は私からしますので」

 「琴ちゃんよろしくねー」

 手短にやり取りを終えると前田さんと長田さんの2人はモンスターの反応のする方向に飛んで行った。風魔法と探知の能力があると偵察にはもってこいよな。


 「じゃあこっちも移動しようか。ここからはなるべく静かにね」

 『了解』


 改めて陣形を組み直すと結界の外へと向かい歩き出す。皆との移動は隠蔽効果付与が使えないから緊張するよなぁ……。

 

 そしてしばらくするとそれなりに広めの通路に着いた。傾斜もあまりないし戦闘をするにはまだ良さそうな地形だ。

 前列組からここで停止と合図がかかった。モンスターを迎え撃つ場所はここでという事だ。


 瀬田川さんが探知を行いモンスターの位置と偵察に向かった2人の位置を探す。少しして、地図を指差しながらお互いの現在地を皆にも知らせた。


 「2人はここですね。やはり空を飛べると移動も早いです」

 瀬田川さんが声を抑えながらかすかに聞こえる程度で話し始めた。


 「モンスターの所にはもうすぐ着くな。琴田、長田から連絡が来たら頼んだ」

 「了解です」

 

 そう言って琴田さんが小さく頷いた。

 長田さんと琴田さんは念話の能力持ちだ。こっちにも念話を受け取れる人員がいると偵察班からの連絡がリアルタイムで伝わるから便利だよな。

 そして連絡が来るまでの間、数日前の夕飯でした自己紹介の内容を思い返していた。

 

 (リーダーの福田さんは火の能力、怪力の能力、予知能力で接近戦担当と。武器も大剣といかにも怪力の能力者って感じよな。

 綾さんは福田さんと同じ怪力の能力持ちで強化と風の能力持ちだったな。武器はごっついトンファーを持っての近接戦闘が主って事だけど格闘戦もするって話だしな。格闘技ってそこまで使えないと思ってたけど怪力の能力持ちは別だわな。生身だけど動きが早いゴーレムみたいなもんだしさ。

 お姉さんの理香さんは火と水と風の3属性能力持ちと。先程見せてもらった大地の杖で基本属性は揃ってるんだよね。理香さんからは完全遠距離って自己紹介されたっけな

 今偵察に出てる長田さんは結界と探知、念話と風の能力持ちか。長田さんの能力偵察にすっごいマッチしてるんだよなぁ……戦闘では風魔法を使えばいいわけだし。

 同じ探知を持ってる瀬田川さんはその他の能力で鑑定と雷の能力と。基本はサポート重視って言ってたよな、鑑定持ちだとそういう立ち位置が多いらしいし。宮田さんも基本はそうだって言ってよな。

 そんで琴田さんが物に手を触れずに動かせる念動力と念話、それに福田さんも持ってる予知の能力があるって言ってたっけ。火の能力もあるって言ってたから戦闘だと全体を見ながら動く遊撃の立ち位置か。

 念動力に念話、そこに予知と聞いてサイキッカーっぽいって思ったんだよな。火の能力が発火と考えればまさにそんな感じだなぁって。まぁ……能力者自体がサイキッカーみたいと言っちゃそうなんだけどさ)


 この間の夕飯時に福田さん達から教えてもらった各自の情報はこんなところだ。ここに自分が作ったゴーレムが前衛として参加と。前衛の枚数が増えたから結構助かるって話も聞いたし、役に立ってるのなら何よりだな。

 攻守にサポートも結構充実していると、ここでの騒動が終わったのなら森林エリアの攻略を進めると言っていた。攻略状況としては倉田さん達と似たような物らしい。 


 「っ! 連絡来ました」

 そんな事を考えていると琴田さん当てに長田さんから念話が来たらしい。あちらもモンスターの居る所に着いたという事か。


 「……モンスターはハンマースコーピオン2体だそうです。こちらに気づくことなくゆっくり移動をしていると」

 「結構怖い奴が来たな……」

 福田さんが難しい顔をしながら小さく呟いた。福田さんが……というより、近接を主とするメンバー全員が眉根を歪ませ難しい顔をしている。ハンマースコーピオンか……。


 「近接だと近づくのが厄介ですよね……」

 「石田さんはもう戦ったことがあるんですか?」

 難しい顔をしながら米田さんが聞いてきた。


 「4層に上がった際に1体とだけ。あの両腕のハンマーはかなりの破壊力を有してますよね」

 「知ってるのなら説明をする手間も省けるな。石田さんの言う通り、あの両腕のハンマーの破壊力は厄介だ。かなり硬い上に瞬間的に硬化させることで防御力と破壊力も増加させるしな。

 米田さん……あれ斬り落とせる?」

 「んー……出来ない事は無いけど一瞬では無理かな。良く動かすし、焼き切るにしてもちょっと時間が必要かと。切断は切断でも自分の能力は溶断だし」

 腕が邪魔というのは米田さんもわかっているのか、自分達近接が近づくにはそこを何とかする必要があると口にした。笹田さんの能力みたいにスパッとは行かないものな。


 「通路もそれなりに広いとは言え回り込んでどうにかするっていうのはちょっと厳しいか。後ろも危険だから横を取るのが近接だと一番なんだがな」

 「あの尻尾のハンマーも叩き下ろしは強力だからねぇ……」

 塚田さんと綾さんは出来れば横から仕掛けたいと口にするが通路ではそれも難しい。基本的には前か後ろだからな。


 「やっぱりコイツ相手には遠距離班で対応してもらうか。俺達が気を引くのは大型相手に通路だとほぼ出来ないってのがなぁ……」

 「広場でならそれも可能なんですけどね。横を通り抜けられるサイズのモンスターが相手なら通路戦でも行けるんですが……」

 「ハンマースコーピオン相手では無理だな」

 「上は通れそうなんだけどねぇ」

 近接組の4人はハンマースコーピオンが相手では分が悪いと口を揃えて溜息を吐いた。囮役も通路ではしようが無いと。


 「じゃあ今回はあたし達が何とかするって事で」

 「おっさん達は待機してていいぜ」

 「……自分の距離ですから」

 「相手がいくら硬くても生物であればどうとでもなります」

 「危険がありそうならサポートしますので」

 「自分も遠距離班ですからね、頑張らせてもらいます」

 今回は遠距離で安全に仕留めるという事で話しが付いた。あのハンマースコーピオン相手に通路で戦うんであれば近接はそりゃ不利だよな。


 「石田さんは初回の戦闘時どうやって倒したんだ? やっぱり遠距離からだよな?」

 福田さんがハンマースコーピオンを倒した時の話を聞いてきた。近接でゴーレムを使ったかどうかも聞きたいそうな。


 「そうですね。近づくのは自分だと自殺行為なので遠距離から仕留めました。ゴーレムは使いましたけど最後の方で少しだけという感じですね」

 「リーダー、長田さん達から誘導が必要になったら連絡してほしいとの事です」

 「了解だ。こっちで作戦を纏めたら連絡すると伝えてくれ。くれぐれもそれまでは見つからないようにってのもな」

 「わかりました」

 そう言って琴田さんが念話で長田さん達に連絡を伝える。飛行が出来るなら誘導してくるのも楽だよね。


 「で、どうやって倒したんだ?」

 「あ、はい。あの時はですね……」


 自分が倒した時の作戦を簡単に説明していった。モンスターの習性を利用した作戦と悪く無いとの事だ。どうせならハンマーも持ち帰ってくればよかったのにと、残念な事をしたな……という視線が向けられた。空間魔法に入ってますけどね。

 倒したところが帰還陣からも離れており、ゴーレムにずっと引っ張ってこさせるのは時間がかかってアレだからと言うと納得してもらえた。あれはゴーレムも背負えないか……と。

 今回も倒したところで素材は諦めるしかない。行きに見つけるのはこれがあるから残念なのだと、探索者としての性故か皆揃って溜息を吐く羽目になった。 

 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ