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440話 ダンジョン4層(ソロ) 他属性のゴーレム




 「ん? モンスターの反応か……」

 帰還陣に向かって探知をかけながら歩いていると範囲ギリギリにモンスターの反応を捉えた。地図を確認すると丁度これから通るルート上だ。


 「動くかな?」


 とりあえず消音効果の魔法を掛けておく。どこかへ行ってくれるのであればそれでいいのだが。

 モンスターの反応を気にしながら少しずつ反応のする場所へと近づいていく。今のところ動き出す気配は感じられなかった。


 しばらく歩くとモンスターの反応がする所までもう少しとなった。モンスターもちょっと動きはしたものの、こちらが通ろうとしているルートから外れる事は無かった。他の道になんで行かないかね?

 もし戦闘をするのであれば今自分がいるこの通路がやりやすいように思う。この先は坂となっているので戦闘には不向きでしかない。


 「他の通路に隠れてやり過ごすか? 横道があるしそこに隠れて通り過ぎるのを待つっていう手もあるしな」


 とはいえ、やり過ごすにしても何のモンスターなのかぐらいは確認をしておきたい。戦闘はせずとも実際に見ておくだけで意味はあろう。

 そう考えると、この先に何のモンスターがいるかだけでも見ておこうと自身に隠蔽の魔法を掛けて先へと進んだ。他の通路へ行くというのであればこちらまで戻ってやり過ごす必要もないのだが……そこはモンスターしだいだ。


 モンスターが居るであろう通路の端までやってくると慎重にそっと様子を伺った。隠蔽の魔法は掛けてあるけど用心するに越した事は無いしな。

 荷物から双眼鏡を取り出すとモンスターの居る方向を覗き見る。光石ぐらいしか光源が無い通路だけど相手の姿形ぐらいは見る事が出来る。曲がり角も多いから遠くを見る機会ってのはそこまで多く無いのだが。

 坂の上から下に向かって双眼鏡を覗き込むとそこにモンスターが居るのが確認出来た。しかしあれは……。


 「ファイアーゴーレム……か?」


 光石ぐらいしか光源がないはずなのに通路の先が明るく照らし出されているのが確認された。その原因はマグマのように赤熱しているゴーレムだ。双眼鏡越しに体から吹き出ている炎も見て取れる。かなり熱そうだ……。

 あのモンスターの事は資料で見たことがある。ゴーレムの事を調べているとその中にこいつの事も書かれていたからだ。


 『ファイアーゴーレム(鉄):ゴーレム系モンスターの1種。体長約2,3m。所持魔石は土魔石と火魔石。(魔石リスト参照)

 アイアンゴーレム(モンスターリスト参照)をベースに炎を纏っているゴーレム。体は高温で熱せられた鉄そのもの。(素材リスト参照)常に炎を噴き出しており近づく事すら一苦労する。こいつの周囲の空気もだいぶ熱せられている為、近くにいるだけで息苦しく感じてしまう。

 熱を持った所為か通常のアイアンゴーレムよりは防御力が下がっているがそれでも鉄の塊には変わらない。攻撃力に関しては厄介さがかなり増している。

 

 能力として火や土の業を使うのは他のファイアーゴーレム(モンスターリスト参照)と同様。それとは別に溶けた鉄を投げつけてくるので回避には最善の注意を持って行う事。盾で防ぐよりも壁に隠れるよう大きく回避をした方が良い。

 

 攻撃手段として、能力の他に自身の燃える身体を使っての格闘戦をやって来る。体全体が熱せられた鉄となっているので万が一にも掴まれたり組み付かれたりしないよう注意する事。

 燃えやすい防具はほぼ意味をなさないので耐火性のある防具を用意するように。基本は避けを重視したい。

 それと、体から噴き出している炎を強めて周囲を焼いてくるので接近をする場合は直ぐに離脱出来るよう体の炎にも気をつけたい。


 対処法は格闘戦を封じる遠距離攻撃が望ましい。少なくとも相手の間合いに居続けることが無いよう必ず距離を取る事。武器はアイアンゴーレムの時と同じく打撃系が望ましい。刃物系は効きが悪い。

 水をぶっかける事で体に纏っている炎の勢いを弱める事が可能。近接のサポートとして適度に使用したい。

 冷やすという手段であれば強力な氷魔法も有効である。ただ、生半可な氷は直ぐに溶かされるだけなので使うのであれば強力な一撃が望ましい。

 相手も強力な遠距離攻撃の手段を持っているのでガード役はしっかりと見極める事。通常の防御手段では防ぎきれない攻撃も多いので土魔法使いの壁使いが重要となる。


 利用素材としては全てが有用である。火と土の魔石(魔石リスト参照)やゴーレムの核(素材リスト参照)はいうに及ばず、体を構成している鉄(素材リスト参照)は通常のアイアンゴーレムよりも高い耐火性を有している。

 加工に手間がかかる分その耐火性は折り紙付きである。火属性のモンスターにはファイアーゴーレム製の防具で挑むと戦いも有利に進められると思われる。

 熱にも強いので鉄製品としての需要もある。捨て置く部分が1つとてないモンスターだ』


 資料では確かそのような事が書かれていた。


 「武器としても結構人気って書いてあったっけ? 火魔石を取り付ければ炎属性の武器が出来るらしいし。武器屋にこいつの剣や槍が置いてあったな。火を纏うってだけでやっぱりどこか憧れるよな……」


 双眼鏡の先にはそいつが3……4体だ。燃えてない奴もいるけどこれはただのアイアンゴーレムかなんかかな?

 鑑定でそっちを調べると普通のアイアンゴーレムというのが分かった。上位ではない……と。


 「まだ奥に他のゴーレムも居るか……」

 だんだんと近寄って来るモンスターに心臓がドキドキと早鐘を打ちつつも、新しく双眼鏡へと映ったモンスターに視線を向ける。しかしあれって……。


 「おかしくはないけどさ……だからと言ってその組み合わせはどうなんだよ……?」


 新しく奥からやってきたモンスターに何とも合わない組み合わせだと表情をを歪ませる。あいつ等一緒にいて大丈夫なのか?

 そんな風に思いながらもう一度双眼鏡をそいつへ向けて様子を見る。


 『アイスゴーレム:ゴーレム系モンスターの1種。体長約2,3m。所持魔石は氷魔石。(魔石リスト参照)

 

 体が全部氷で出来ているゴーレム。その温度は-40℃とかなりの低温との事。体そのものも要注意だがそこから発する冷気にも気をつける必要がある。

 体の硬さは鉄にも匹敵するようで氷とはいえなかなか侮れない。


 能力として氷を使った業を使用する。その他にも自身の発する冷気を操り周辺一帯をかなりの低温へと変化させ、自身に適した環境へと作り替える能力を持つ。


 攻撃手段は他の多くのゴーレムと同じく自身の身体を使った格闘戦を行う。どんな防御力のある防具を着けていようとアイスゴーレムの身体から発する冷気を間近で受けてしまっては人間だとどうしようもない。

 熱もそうだが、対象とは適切な距離を維持する必要がある。


 対処法としては強力な熱で氷を解かすのが一番だろう。とはいえ、溶かし終えるまで直ぐというわけでもないのでずっと熱し続ける必要がある。

 硬さ自体が鉄のような物なので当然刃物よりは打撃武器の方が効果的である。熱と合わせて砕いていくのが無難と言える。火と土の能力を使用して遠距離で仕留めるのが安全だ。

 近接はアイスゴーレムの発する氷の業と冷気に気をつけて適切な距離を維持する事。地肌に触れられるのは避けるように。


 素材利用としては氷の魔石(魔石リスト参照)とゴーレムの核(素材リスト参照)になる。

 体を構成してる氷はそこまで特別というわけではなく、時間を掛ければ普通の水になってしまう。素材を地上へ持ち帰るまでの保冷剤として利用する等使えない事は無いが、正直言って素材としての価値は薄い。

 溶かせば飲めるので水代わりにはなる。あまりの冷たさに氷のまま口に入れる事は出来ないが、溶けた後の水はかなり美味しいようで持ち帰る探索者は稀に居る』


 お前等なんで一緒に居るんだっ! と突っ込みたくなるのを抑えつつ、以前調べた資料の内容を思い出した。


 「ファイアーゴーレムの熱気でアイスゴーレムが弱ったりとかそういう事ってないんかね。直接火で熱しなければ問題ないのか? 

 ファイアーゴーレムもアイスゴーレムの冷気で環境を変えられても特に弱体せんのか? 氷漬けならなきゃそれでいいって事かよ……」


 何ともおかしな組み合わせだと思いながら、呆れたと言わんばかりに小さく溜息を吐いた。後続は居ないらしいのであそこに見えているゴーレム達で全部だ。

 元来た道を戻りながら考える。属性付きのゴーレムとは戦ってみたかった。


 アイスゴーレムは素材的にちょっとアレだけどファイアーゴーレムの方は素材として普通に有用そうだ。いろいろと使い道はありそうなんだよね。

 それにアイスゴーレムの溶けた水というのもちょっと気になる。料理に使うよりはそのまま飲む方が美味しさも感じられるだろうか?

 せっかく会えたのだしと作戦を考える。とりあえずはあの場所までしっかり来てくれるといいんだけどな……。





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