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363話 ゴーレムお待たせしました!




 「ああ、来られましたか、白田さん。それと小田さんと黒田さんも。まずは無事のご帰還、おめでとうございます」

 「ありがとう」

 「よっ。そっちも潜ってたんだろ? お疲れ様はお互い様だな」

 「俺達が戻って来るまで時間もあっただろうしな」

 そう言って個人倉庫の受付前で白田さん達と挨拶を交わす。連絡を取り終えたらここで待ち合わせとなったのだ。


 「ではさっそく行きましょうか。鍵はもう受け取っているので」

 「ああ。出来栄えが今から楽しみだ」

 「これで明後日の探索から使えるってわけだな」

 「初めてゴーレムを運用することになるな」


 通路を歩きながらそんな話をする。3人共ゴーレムとの対面に期待している顔だな。

 そして少し歩くと倉庫前に着き、皆して中へと入っていった。


 「では出しますね。少し部屋の端に寄ってください」

 白田さん達が壁際に寄ったのを確認すると、受け取っていた駒を取り出して部屋の中にゴーレムを出した。まずは3mの奴からだ。


 「ご要望通り、3mサイズのゴーレムです。後はこれと同じのが2体居ますね」

 「ほう……やはりこうして改めて見ると大きいものだな。米田さん達のを見させてもらったがこれが自分達のゴーレムなんだな……」

 部屋の中央に突如出現したゴーレムを見上げながら、白田さんは満足そうな表情でそう言葉にした。部屋の中で見上げるゴーレムはでかく見えるよな。天井もギリギリだし……。


 「でかいなぁ! 改めて見てもそう感じるぜっ」

 「こいつは前線で頼りがいがありそうだな。俺の作った大盾も似合ってるじゃねぇか!」

 小田さんと黒田さんも満足そうだ。次の探索が楽しみだっ! と、こいつを使った所を想像し始めた。


 「ちょっと動かしてみましょうか。ゴーレム、右向け右!」


 その言葉を聞いて正面に構えている盾ごと部屋の中で体を右に向けた。指示通りに動くゴーレムを見て、「おおー」と声を出す3人。

 自分達もやってみていいかと言うので頷いて返事を返す。派手に動かすのでもなければ問題はないだろう。

 体の向きを変えたり持っている盾の上げ下げを試す白田さん達。なんかこれだけでも満足してる感じだ。

 

 3人の家にもゴーレムはいるらしいのだが、普段は門番しかさせておらず動かすことはほぼないという。ほとんど家の飾りと化しているようだ。動かせばその分関節部なんかも消耗していくので必要以上には触らないという話だ。ただの置物なぁ……。

 なのでゴーレムを地上で見かけはするがあまり関わらない人も多いそうだ。


 「こうやっていろいろ指示を出すのはちょっと新鮮でね。探索者の自分達より集積所の管理部職員の人達の方がゴーレム馴れはしてるかな」

 「ダンジョンでモンスターとしては見かけるが動かすってなるとなぁ……」

 「いろいろ荷物持ちの指示を出しているデパート等の職員の方が扱い方は上だったりしてな」


 戦いとなると話は別だがな……と、ゴーレムへの指示出しを終えた。とりあえずは満足したようだ。

 そして3mのこいつを仕舞って2mのゴーレムを出した。大きさが違うぐらいで見た目はほとんど変わらないんだけどね。


 「やはり1m違うだけで威圧感というか迫力がまるで違うな。こっちのは3mの奴のサポートといった感じになるか?」

 「だろうなぁ……。基本は3mの奴を前面に出してこっちのは後列に配置するって感じじゃないか? 通路でだとそんな使い方になると思うが?」

 「広場なんかだと全部を前に出すことになるだろうけどな。通路だとそんな感じだろう」


 先ほどの3mのゴーレムを見ているからか、2mのゴーレムを見ても落ち着いている白田さん達。3mのゴーレムと合わせてダンジョンでの配置を考え始めた。洞窟エリアの他に森林エリアでの使い方なんかも考えているようだ。

 そっちはまだ見たことがないし、自分の場合だとどういった運用法にするかねぇ?

 洞窟エリアを抜けたのならば今の2mのゴーレムを3mに更新するのも有りかと、まだ見ぬ森林エリアの運用法を自分でも考えみる事にした。 

 

 「まぁ……実際にどう配置するかはダンジョンで改めて動かしてみてからだな。私達の動きをサポートしてもらうのが一番重要な役目なのだから」

 とりあえず今ここで考えていても仕方ないと、後の事は実際にダンジョンで試してからと口にする白田さん。

 

 「それもそうだな。戦闘でどれだけの動きをしてくれるか次第か」

 「基本的には盾を構えて俺達との間に置いておくってのだけ理解しときゃいいな」

 防御力のあるゴーレムを囮にし、どういった動きをすればいいのかというのは皆と実際にやってみるしかない。ここであーだこーだ言っても仕方ないと思った小田さんと黒田さん。確かにそういった作戦はPTメンバーとやらないとだね。

 

 「とりあえずゴーレムの確認はこれでいいか。石田さん、お疲れ様でした」

 「いえいえ。私以外にもゴーレムを使ってくれる人が増えてくれるのはこちらとしてもうれしい限りですので。これくらいの事ならばお安い御用ですよ」

 

 そう言って白田さん達から預かった駒を返す。メンバー全員が1度は使ってみる事をお勧めしておくのも忘れずに言っておく。

 最終的に誰が駒を持つかは白田さん達が決めるだろう。

 

 駒を返却したことで依頼は無事終了だ。後は白田さん達が実際に使って体感してもらうだけだな。

 サービスとして、どこか壊れた場合は1回無料で手直しすることを伝えておく。使っていくうちに黒田さんが慣れるとは思うけど初回サービスだね。

 部屋を出て受付けに向かう。これからPTメンバーの皆で運用法を考えるそうだ。


 「依頼料を振り込んでおくから後で管理部に確認を取っておいて欲しい」

 「わかりました」


 依頼終了という事で報酬も後で振り込んでおくとの事。今度依頼の受付に行っておかないとな。

 受付の前で白田さん達と別れる。今度は福田さん達と連絡を取らないと。

 白田さん達との依頼も無事に終了し、続いて福田さん達に電話を掛けた。さっきは連絡つかなかったんだよな……。

 

 ≪もしもし、福田だ。石田さんがこうして電話を掛けてきたってことは……≫

 今度は連絡がついた。さっきまでダンジョンに潜ってたってことなのか?


 「お待たせいたしました。ゴーレムをお渡しする件なのですが今お時間よろしいでしょうか?」

 ≪オッケーオッケー! 管理部に行けばいいのか?≫

 「私の個人倉庫に来ていただければ実際にご確認が出来ますけどどうされますか? 駒だけお渡しするのであればすぐに終わりますが?」


 そう言うと一度見せてほしいという事で、今から個人倉庫に来ると口にする福田さん。ならこのまま待ってればいいな。

 お待ちしていますと言って通話を切る。連絡もついたのでこれで一安心だ。無事に戻ってきたことも確認できたしな。

 預かった駒もこれで全て返せると福田さん達が到着するのを待つ。


 「しっかし……福田さん達もゴーレムは家にあるけどほとんど飾り状態だったりするのかねぇ?」


 また室内で指示出しのテストをするかも……と思った。今後を見越して大部屋の個人倉庫に変更をした方が良いだろうか?

 後で契約の見直しをしておくかなぁ……と、借りる部屋の変更を頭の片隅へと置いておいた。





 「以上5体がご依頼されたゴーレムですね。使用に問題はないはずです」

 あれからしばらくしてやって来た福田さんと副リーダーの永田さんにゴーレムを見せ終わった。2人ともウンウン! と、満足そうな顔をして頷いている。


 「以前通路で見せてもらったゴーレムと同じだな。予想通りの良い出来栄えじゃないか。俺達もこれでゴーレムが使えるってわけだ!」

 「そうね。エメラルドゴーレムなんかが出ても運搬の心配は無くなったわねー。今度は私達が全身を運んであげるわ!」

 福田さん達も強力な運搬要員が出来たと満足気だった。以前のような運搬を自分達でもやりたかったって事かな? まぁ……ゴーレムの全身を楽に運べるようになるのは普通にありがたいだろうしね。

 

 「どこか不調が起きたとか壊れたっていう場合は初回サービスって事で無料で手直しいたしますね」

 「ああ、その時はよろしく頼むな」

 「かなり頑丈そうだし……よほど無茶して使わない限りそうやすやすと壊れ無さそうだけどね。とにかく初回サービスは覚えておくわ」

 説明を終えると駒を福田さんに返却する。うまく使ってやってくださいね。


 「明後日から始まる3回目の探索が楽しみだわ」

 「今回も運搬班ですか? だとしたら早速の活躍が出来るかもしれませんね」

 「ええ。今まで以上にいっぱい運んでこれるようになったのは良いわよね」

 「ああ。移動速度はゴーレムが居ても問題ないぐらいだしな。それに運搬車を大きくしてゴーレムに引っ張ってもらうってのでもいいかもな」 

 怪力の能力者を別に充てられると喜びを見せた。慎重に運びたいものは運搬車より人が運んだ方が評価も良いだろうと。


 「ではご依頼は以上という事で」

 「おう。依頼終了の許可は出しておくから後で依頼受付に寄ってくれな」

 「報酬もきっちり払っておくからね」

 「よろしくお願いします」

 そう言って3人して受付前へと戻って来る。2mのゴーレムだけと、白田さん達よりは時間がかからずに説明を終えることが出来た。


 「福田さん達はさっきまでダンジョンに潜ってられたんですか?」

 最初連絡がつかなかったこともあり、そうなのかもと思い聞いてみた。だとしたら疲れてる所を呼んでしまったかもなぁ……。


 「あー……少し前に連絡貰った時な。いや……ちょっと電話の電池がな?」

 「ああ、なるほど」

 それは繋がらんなと納得した。充電した所で2回目の連絡をしたわけだ。


 「いやー、おっちょこちょいのリーダーでごめんなさいねぇ」

 「いえ、電池切れなら仕方ないですよ」


 そう言って福田さんの背をバンバンと叩く永田さん。しかし永田さんから香水のいい香りが……それに結構おしゃれしてるな。休日なら当然かもしれないが。

 福田さんの方もどことなく余所行きの服装だ。これはまるで……。


 (もしかしてデート中だったとか? 2人はそういった関係なのかね? だとしたら余計悪いタイミングで連絡を入れちゃった気が……)


 なんとなく2人の様子から予想をしてみた。互いの物理的な距離も結構近いしな。やはりこれはそう言う事だろうか?

 そう思うと何となく気まずい感じがしてきた。これはさっさと別れた方が良さそうだ……。


 受付に戻ってくると、これで用事は終わりとばかりに2人を建物の外へと向かわせる。ちょっとあからさまな解散具合に2人も苦笑いだ。その顔には若干赤みが差しているようにも見える。こちらに気を使われたと気がついたのかもしれないな。

 個人倉庫の前で福田さん達を見送ると自分は再び中へと戻っていく。先ほど考えた部屋移動をやってしまおう。


 (今後こういったゴーレム作製依頼があるかもしれないしな。

 白田さんと福田さん達の残りの駒もある事だし、依頼をされる可能性は高そうなんだよなぁ……)

 無いなら無いで作業部屋の拡大と思えばいい。そこまで無駄な事にはならんだろう。


 「流石に大型は無理そうだけどな。でも3mの奴を増やすなら拡張は必須だろうよ」

 それにゴーレムの数が今より増える可能性だって大いにある。広くしておくことに越したことはないと、部屋の契約変更をお願いすることにした。

 

 「しかし彼女かぁ……リア充爆発しろとは言わんけども……」


 一応若返った身としてはそこも若干気にはなった。前世は彼女いない歴=年齢だったしなぁ……と。まだまだ地盤固めの最中なんだからそういったことはもっと後に考える事なんだろうけどね。

 なんとなーくそんなことを考えながら受付けへと向かった。

 彼女なぁ……こっちの世界じゃ出来るもんかねぇ?




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