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335話 ダンジョン2層(ソロ) 作業終了




 「ふぅー…到着っと。当たり前だけど壁は無くなってんなぁ…また作っとくか」


 昼も過ぎてしばらく経った頃、目的地としていた休憩所にたどり着くことが出来た。

 とはいえ、この時間にここへ来れたのなら日帰りは十分に可能だろう。1日かからないのであれば言う事はなしだ。


 「昼は仮設トイレを設置してからにするか。先に終わらせておけば安心だし」


 出入り口に壁を作り終えると先に仮設トイレも設置してしまう事にした。その方が気が楽だしな。

 空間魔法から仮設トイレと内部の部品が入った段ボールを取り出すとゴーレムも出しておく。


 「2体は仮設トイレを、1体はその段ボールを運べ。他の奴は待機だ」


 指示を出して3体には組み立ての手伝いをさせる。

 周囲の警戒はなにか反応があればアラームが聞こえるようにセットしておいた。これで作業にも集中できるってものだ。

 前回壊れた仮設トイレの位置まで運ぶ。場所はここで大丈夫だろう。

 

 「さてと…それじゃ組み立てますか。どのくらいで終わるかねぇ…?」


 周りの鎖やら段ボールを外しつつ終了予定時間を考える。

 慣れていない所為もあって時間がかかりそうだな…と、ここまでやってしまったが先に昼を済ませた方がいいような気がしてきた。適当になんかササッと食べるか…。

 予定を変更して手早く食べ終わりそうなものを取り出す。オニギリでいいだろう。

 食べたら作業を開始するかな…と、取り付けの説明書を読みながらオニギリにかぶりついていた。





 「……よっし! 完成ッ。こんなもんだろ」

 取り付けが終わった仮設トイレを外から眺めながら、終了! と口にした。やはり本体が既に組み上がっていたとあって、さっさと終わったように感じた。


 「本当に取り付けるぐらいしかなかったしなぁ…。まぁ、簡略化されてるんだからそういうものか。つけ忘れなんかもないよな?」

 

 タンクを本体に取り付けて、そこから便器に水を流すホースを取り付けた。事前に言われていた接着剤を付けてから便器へ接続させる等、済ませた工程を思い返す。最後に便器が動かないよう、床に固定させるネジ止めをして終了だ。

 説明書を見ながら再確認をする。忘れている工程はなさそうだ。

 

 「水も補充したし、流れるかどうかのテストも問題なし。水漏れも今のところは無いな。パッキンが緩んでるとかもなさそうと…」

 試しにタンクの水を結構流したりしたが接続部からの漏れは見受けられなかった。取り付けはうまくいってるはずだ。受けのタンクに流れた水を捨てて再セットする。こちらもしっかり受けは出来ているな。


 「トイレットペーパーとか芳香剤のセットも完了。水魔石もOK。予備のペーパーは外に吊るしておいて…と」


 仮設トイレの外側に引っ掛ける部分があるので余りはそこに引っ掛けておく。道中補充したペーパーの残りもどうせだから置いておこう。

 最後にカメラで写真を撮っておく。完了の証もこれでOKだ。


 「さて…目的自体はこれで終わったな。後は終了の報告っと。

 出たゴミはその辺に置いとけばスライムが吸収してくれるから問題ないな。じゃあ帰るか」


 結局作業中に周辺へと近づく反応は皆無だった。やはり攻略部隊も奥に行ってるという事かな? 

 運搬班と護衛班は早い所だともう帰還陣に近づいてるかもしれない。そろそろここにも近づいてるだろうか?


 「ここを通るかどうかはわからんけどとりあえず使用可にはしておきましたよっと。行きますかね」


 ゴーレム達を回収し、帰還陣へ向けての移動を開始する。道中の宝箱がある通路だけを確認してさっさと報告を終わらせるかと、最短で帰れるルートを選定した。

 楽な運搬だったなぁ…と、荷物を仕舞える空間魔法のありがたみを感じながら帰還陣へと向かっていった。





 「なんだっ!?」

 帰還陣に向かって歩いていると、突如として頭の中にアラームが響き渡った。


 「さっきの広場で設定切り忘れてたかっ。っと、これで良し…って、範囲内に反応があるって事だな。探索者かモンスターか…」

 どちらだろう? と思いながら探知をかける。なんにしてもゴーレム出しておくか…。


 「この移動速度と数…おそらくモンスターだな。通路内を集団が飛行魔法使ってるんでも無けりゃ探索者はあり得んか。これこっちに来るか?」

 探知した数は30だ。複数のPTと考えるよりはモンスターの線が濃厚だろう。


 「移動ルート上にいるからなぁ…。回避することも出来るけどこっからだと1回後ろの通路まで戻ることになるか…ここまで順調だったんだけどなぁ…」


 通路を戻るのも面倒と感じ、ここは突破を選択した。幸いというべきか…モンスターはだんだんとこちらに近づいてきている。追いかけられるよりは迎え撃つ方が良さそうだ。

 ゴーレムを出して迎撃の準備を取らせる。さて…相手は何だろうな?

 せめて戦いやすい場所まで移動しようと、こちらからも前進を開始する。今居る通路の先がまっすぐで見通しもよさそうだ。

 

 通路に着くと地面にスパイクを設置。天井付近まで台座を伸ばして高所を陣取った。

 探知で周囲を探った所、自分達とそのモンスター以外の反応は相変わらず無しだった。それはそれで好きに戦えるので良しだ。


 「ちょっと暗いか…」

 ここは光石が少ないのか、通路の奥が少し薄暗く感じた。戦闘で壊れでもしたのかもしれないな…と、光の魔法を使って通路の奥へと放つ。これで視界も確保できた。


 「あっちもそろそろ来るか…30体の何がお出ましだ?」

 視界を確保した通路の奥を、ジー…と監視を行う。探知ではそろそろ見える位置に来るところだが…。


 「先頭発見! って、あれはまさか…」

 自身の鑑定の魔法を即座に使い、モンスターの正体をササッと調べる。


 『ランスローチ:ゴキブリ型モンスター。触角の部分が槍状に鋭く尖っており、相手に飛び掛かって突き刺す攻撃を行う。

 所持魔石:風魔石

 体長:約60㎝』

 

 「やっぱりあの時見た奴かっ!?」

 モンスター名が発覚したことで、以前調べた管理部の資料を思い出した。


 『ランスローチ。ゴキブリ型モンスターの1種。体長は約60㎝。

 触角の部分が槍状に鋭く尖っており(素材リスト参照)、飛び掛かって突き刺す攻撃をしてくる。魔石は風の魔石(魔石リスト参照)を持つ。


 ゴキブリを大きくしたような見た目をしている。違いは頭部前部分にある、触角の所が真っ直ぐな槍状になっていることだ。このモンスターの攻撃箇所でもある。

 移動速度は素早く、体の厚みも薄いとあって攻撃がしずらいモンスターだ。その分、防御性能はさほどではない。

 素早く動き、その速さも活かして突進攻撃を仕掛けてくる。攻撃方法としてはこれのみである。単純ではあるが飛行も出来るとあって厄介な相手と言えるだろう。広場では空中からの突進に注意が必要だ。


 対処法としては防御力が薄い点を狙うのが良いだろう。体が傷つけばバランスもとりづらいのか、空中からの突進も速度が目に見えて落ちるようになる。遠距離攻撃持ちは近づく前に落としてしまうといい。

 近接は防御を固めて相手に張り付くと倒しやすいだろう。槍の形状上、ある程度の距離が無ければ棒とさして変わらない攻撃しかできなくなる。思い切って肉薄することで槍の攻撃を回避することが出来る。

 相手の槍より長い武器を使用することで安全に倒すという方法もある。長物の武器を用意しておくのもいい。


 素材として使うのはほぼ魔石のみである。肉は爬虫類系のペットの餌として取り扱っているが需要は低い…』

 

 「いつか遭うかもとは思ってたけどついに来たか…。なんか生理的に受け付けんなぁ…飲食系の仕事だと天敵だったからか?

 使えるところは魔石のみってことだし、ここは遠距離でやっちゃうか。ゴーレムにアレを殴らせたくないのよな…。メイス構え!」


 通路に並んだゴーレム達に指示を出す。1列4体の2列態勢だ。後列のゴーレムは足場を持ち上げてやって8体全部を並べさせる。今回リキッドはお休みと。

 スパイクの向こう側からこちらへ向かってくるモンスターに対しメイスを向けさせた。


 「飛べるってことだしスパイクはダメかもな…。保険として格子状の壁張って…っと」


 ゴーレム達の前に格子状の壁が出来た。あいつ等の攻撃力だと突破は難しいんじゃないかな?

 そんな準備をしているとモンスターがスパイクまで到達した。予想通り空を飛んだようだ。


 「それはそれで地を這うよりは楽かもなっ! モンスター目掛けアイアンバレット斉射! 撃ちまくれっ!」


 その声を合図に、ゴーレム達が構えたメイスから能力を発動させた。ひたすら弾幕を張る作戦だ。そしてこの攻撃はランスローチ達にダメージをしっかり与えられたらしい。

 広さはそれなりの通路だが、流石に30体が群れると狭かったのだろう。中にはゴーレム達の攻撃を避けようとして近くの相手にぶつかる個体も見受けられた。

 

 「んでもって飛ぶんならその対策も…っと」


 そう口にした瞬間、ランスローチ達の飛んでいる天井付近に地面から生えているスパイクと同様の物が生えた。飛ぶんならそっち側にも設置してしまえと言う事だ。

 ゴーレムの攻撃に当たるのもまずいが、羽がスパイクに当たって傷つくのもまずいと飛ぶ高さを調節するランスローチ達。しかしそうなると更に密集してしまう事になった。下にも勿論スパイクがあるのだから…今更這う事も難しい状態だ。


 そして密集したとなれば今度はゴーレム達にとって良い的だった。

 飛行を制限された相手に弾幕が次々と当たって、ボトボトとその数を減らしていく。狭い通路で弾幕が張られればこうなるのも当然と言えた。途中からは将一自身も攻撃に加わったというのも関係してるだろう。

 そうしてランスローチは、一度も突進をさせてもらえないまま地へと落ちた。少なくとも、その傷ついた羽では2度と飛ぶことは出来ないはずだ。


 飛んでいるランスローチが居なくなったところで鑑定を行う。生きていれば追撃をしなければいけないが…。


 「よし、生命反応なしっと。いくつかはスパイクに突き刺さってるしそれが止めになった奴も居たのかな?」


 戦闘が終了したことにホッと息を吐いた。手ごわくはなかったし問題は皆無と言っていい。

 しかし問題は戦闘が終わった今発生した…。


 「解体したくねぇ…。なんか持ち帰るのも嫌だぞこいつ等…」

 生理的嫌悪感が我が身を襲う事となった…。





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