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228話 いろいろ知らなきゃなぁ




 「これが軍から支給される物資か…食料以外はだいたい持ってる物だから予備に回せばいいな」

 

 昼食を食べ終え槍一達と別れた将一は、受付で軍からの支援物資リストを貰うと内容を見ていた。武器用の砥石なんかは取っておくか槍一さん達に上げるのもいいかもしれないな。

 中には初心者セットの物より使い勝手の良さそうなものもあるので装備の更新にも利用できそうだった。


 「それとこのタグってなんだ? 光石用? 広場や通路の光石に付属の針金で止めておくように、か…」

 物資の中には光石に取り付ける用の小さなタグと細い針金も入っていた。針金でタグを光石に取り付ける簡単な図が載っている。


 「タグに現在位置を書き込んで光石につけるように…ね。もしかして成田さんに話したあれか? こんな形になったんだなぁ…」


 最初に資料室を訪れた際に成田さんと話したことがどうやら本決まりになったらしい。

 光石にはスライムも手を出さないという事を逆手にとって現在の位置を光石そのものに取り付ける作戦だ。おそらく既にテストも済ませて大丈夫とわかったからこうして本格的に実行に移したのだろう。

 これからは光石にタグが付いていないかも見ていかないとな。


 「おそらく実験をするとすれば地図が完成していた低階層だろうな。今まで見逃してたのかねぇ? これが広く取り付けられれば現在地の把握がやりやすくなるのは間違いなしだな」

 この現在地把握が結構面倒臭かったりするので大いに助かる話だ。今回みたいに探索者を大勢投入できるときに一緒に済ませてしまうのは賢いな。


 「本来やるべきことも大事だけど出来ればこっちの配布分も済ませたいね。洞窟エリアはほんと面倒だからな…」

 

 光石にタグを取り付ける作業もあるという事を頭の隅に記憶しておく。

 とりあえずは1層からなんだろうけど、ダンジョンに潜るたびにこれを持っていけばいつかは設置も終わるよな…?


 リストを見てその他にめぼしい物が無いことを確認すると管理部を出る。

 とりあえず今からスーパーに行って必要そうな物を買い足しておくことにした。空間魔法に入れておけば今度の探索以外でも使えるのだし無駄にはならないだろうと。


 それが終わったら山の自宅に移動だ。討伐隊の出発が明日ともなれば今日はそのニュースでひっきりなしだろう。

 今更過ぎるが何も調べないよりはマシなはずだ…。




 

 買い物を終えた将一は山の自宅に戻ってきていた。これからは情報収集の時間だ。


 「さて…いったいどんなニュースをやってるんだか…」

 テレビを点けてチャンネルを切り替える。おそらくいろんなテレビ局が放送しているはずだと…。


 ≪…と、いうわけで、明日の軍主導で行われる討伐隊は近年稀に見る事態になると思われます…≫

 チャンネルを切り替えていたらそんなことを話すニュースを発見した。槍一さんが言っていたのはこれだな…。


 ≪やはりダンジョン前の広場はかなりの混雑を見せると予想されるでしょうか?≫

 ≪されるでしょうね。話によると討伐を主体とする中堅から上位の探索者の人達が一斉に集まります。そこに倒したモンスターの素材を運搬する探索者の人達、その運搬の脅威を排除する探索者の人達と…探索者だけでもかなりの人数が予想されます。それに加えて軍の人達も多数いるでしょうから。

 そしてそれを中継する各テレビ局のカメラなんかも明日は押し掛けるでしょう。ダンジョン前の広場に普段の数倍は人が集まるでしょうね≫

 ≪また一般の人達も明日は広場付近に見送りでやってくることが予想されます。明日はかなりの人が集まると思われます≫

 ≪そうなってくると交通の面で問題が起きそうですね。ダンジョン前広場は大変な渋滞が発生するかもしれません≫

 ≪明日はそちらの方面に車で行くとかなり待たされるかもしれませんね≫

 ≪通行規制が敷かれる可能性も十分あり得ますね≫

 ≪明日はなるべく車だとダンジョン前の広場付近を通らないほうが良いというわけですか…≫

 その説明の後にダンジョン前広場を避けて通る道がテレビで紹介された。どうやら明日の事で一部道路の通行が困難だという話をしていたらしい。


 「いつも以上に人が集まるから車での移動は厳しいかぁ…どっかで車を止めて歩きで行った方がいいかねぇ? でも同じこと考えてる人多そうだし車止めるところないかもなぁ…。

 今日の内に駐車場の端っこに車を止めてそこに転移して行った方が良いかな? もしかして初めて駐車場が全部埋まる所を見れるか?」

 そして再びチャンネルを変えた。


 ≪明日の天気は一日を通して晴れという事で暑い日差しが続くという話ですけど…やはり帽子は欠かせない1日になりそうですか?≫

 ≪そうですね。お出かけの際は帽子や日傘など暑さを軽減できる物を使用して出かけられると良いと思います。また、水分をしっかりと摂って体調を崩さないようにも気を付けてほしいですね≫

 ≪そうなりますと、明日はダンジョン前の広場で大勢の人達が集まると予想されてますけどそちらはどうでしょうか?≫

 ≪そちらでもしっかりと暑さ対策や水分を摂るよう心掛けてほしいですね。また、人も大勢集まるという事で怪我にも注意が必要だと思います≫

 ≪管理部からは何か対処するといった話はあるのでしょうか?≫

 ≪はい。管理部からは給水所が設置されるそうでこまめな水分補給を促すそうです。それと大型のタープが朝にかけて夜のうちから張られるようです≫

 ≪炎天下ですからしっかりと注意をしてほしいですね≫

 ≪そうですねぇ。

 それと水魔法を使える能力者の人が明日管理部で急遽募集されるそうです。現在も管理部のHPから募集出来るとの話でした≫

 ≪ダンジョンへ潜る前に暑さで倒れるようなことが無いと良いですねぇ≫

 その話を聞いてパソコンからこの支部のHPを立ち上げた。TOPページのお知らせ欄には水魔法の能力者募集の文字が光っている。


 「暑さ対策で水の配布かぁ。打ち水での手助けだったり、霧状の水を散布して暑さをやわらげるボランティア要員を募集中と…。

 明日の予定もまだないし、見学がてらこのボランティアをするのでもいいな。見送りついでにこれやっとくか…」


 そしてPCを操作すると名前を打ち込んで明日のボランティア要員として登録を済ませた。明日係の者に身分証明できるものを見せればいいらしい。探索者ならタグでいいそうだ。

 

 登録を終わらせると再びチャンネルを操作する。すると明日の討伐について議論しているところがあった。


 ≪明日は1層で異常に湧いたモンスターを討伐してくるという話ですが、どんなことに気を付けるのが良いと思いますか?≫

 ≪まずなにはともあれ、今潜っている場所が1層と考えず中層以上を潜っているという自覚を持つ事でしょうね。中層以降に見られるモンスターが普通に居るという話です。討伐をする部隊は中堅クラスから上位の探索者が集められてるそうですからそちらについてはまだ大丈夫と言えるでしょう。

 しかし倒したモンスターの素材を運ぶ探索者の者やその周辺警護をする探索者は1層から5層で活動していた者も多いと聞きます。通路にもモンスターは普通に徘徊しているので、そっちの担当をする探索者の人達には十分な注意をするよう心掛けてほしいですね≫

 現役で探索者をしているという人が質問に答えた。

 

 ≪中層以降を探索しているという心構えですか…。やはり劇的に変わるものなんでしょうか?≫

 ≪そうですね…中層からは強さ的にも一気に上がると私は感じてます。今まで1層から5層で活動していた探索者の人からするとかなり手ごわく感じると思います。勿論話に聞いていたり情報を事前に得ていれば対処できなくはありませんが…。

 ですが現在は素材の運搬中だったり、運搬中のPTを守りながらの戦闘となると一気に難易度が上がると予想されます。情報を知っていたとしても厳しい戦闘になるでしょうね。

 PT内に配置された中堅クラスの探索者の指示に従い何とか無事に帰還してくれることを願います≫

 ≪なるほど…気を引き締めて事に当たってほしいという事ですね。既に戦闘経験がある中堅の探索者の言う事を厳守することが大事と…。

 何とか明日無事に行って帰ってきてほしいものですね…≫

 それからは移動時の隊列や、どういった戦法で撃退するのが効果的という話をしていた。


 「うーん…やっぱりただ普通に戦闘するのと違って運搬中や護衛と言った場合は大変なんだな。討伐組も大変っちゃ大変だけど、こっちの部隊もいろいろ厳しいって感じか」


 未だ素材を運搬しながらの戦闘や護衛といった経験がない自分としては、そちらの大変さも今一つ分からない所があった。(森田さん達を連れての帰還はなんかまた別な気がする…)

 2回目に行く際は討伐部隊としてと決めているが…3回目、4回目とあった場合はそっちを経験しておくのもいいかなぁ…と、迎撃の仕方を説明してる探索者の人の言葉を聞きながら考えていた。

 やはり経験も知識もまだまだだなぁ…。


 


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