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213話 防具を買いました




 「ありがとうございました、またのお越しをお待ちしております」

 「どうもですー」


 自分の体の大きさに調整してもらった鎧を抱えて店を出る。

 なんとなくこうなると思っていたが、外はもう真っ暗だった。夕飯の時間すら忘れて防具選びに夢中になってしまったな。

 出来た鎧を車の後ろに積み込むと防具屋を後にする。 


 「いろいろ自作できるってなったらこうもなるわなぁ…。

 それにしても…いやぁ~面白かった! 自分で組み合わせるとなるとハマるなぁ…これは」


 いろいろと組み合わせてみたいパーツが多く、想像が膨らんだこともあって防具作製は本当に迷った。

 簡単そうな胸当てから胴回り全てを覆うような鎧まで好きに組み合わせが出来るのだ。武器や防具に興味がある身としては1日中あそこにいることも出来そうだ。


 「ほんと、こうなるから後回しにしてたんだよなぁ…これじゃあ時間がいくらあっても足りやしない」

 

 車を運転しながらながらこうして遅くなったことに溜息を吐く。

 元の世界じゃまずお目にかからなかった防具作製だ。時間を忘れて没頭してしまうとはなんとなく思っていたのだが案の定だったな…。


 「自分で組み合わせて作れるってのがなぁ…完全に時間泥棒だわ。防具のカスタマイズとか時間かけずにはいられんよな…」


 鎧の形状もそうだが…強度の良い物を選んだり軽量化させるために軽いパーツで組み合わせたりと、実に組み合わせる種類が豊富に過ぎた。

 今にして思えば出来てる奴を手直ししてもらう方がずいぶん簡単に済んだように思う。調整の間に完成品の鎧を見ていたがこれでも十分なんじゃないかと思う品はたくさんあった。まぁ、完成してる物を売る以上当たり前の事なのだろうが…。

 

 「まぁ、そのおかげで楽しい時間が過ごせたと言えば間違ってないんだけどさ。

 それに普通の金属素材の防具でこれだ。モンスターの素材を使った防具でやるとしたら今以上に悩むことになりそうだな」

 明日はそっちに行ってみようかと思うほど防具の自作はハマった。モンスターの素材効果なんかを考えだしたら本当朝から晩まで…もしかしたら次の日まで跨ぐかもしれない…。それほどいろいろと想像が膨らむのだ。

 

 「能力がついた防具を自作出来るとか絶対ハマりそうだなぁ…いくらでも店に入り浸れる自信があるぞ。

 それと今回いろいろとパーツも見れたし魔法で防具系の作成に手を出すのも有りか…。マジックアイテムと違って形状とか細かい所もやんないといけないからやってなかったけど、ある程度パーツの形もわかった事だしそれもいいなぁ…」

 出所についてはダンジョンの宝箱からと言えばおかしくもなんともない。それに防具として意味だけを持つの物ならマジックアイテムの様に強制買取されることもないだろう。重量軽減ぐらいはデフォであっても問題ないだろうしな。


 「いろいろ能力なんかも付与できるけど今度は考えて付けんとな。物理にカウンター効果がある鎧とかまずいか? 魔法を弾くとか…防具としてはぜひとも欲しい能力なんだがなぁ…」


 特殊効果がついた防具の自作と考えただけでいろいろ想像が働く。ほんとにモンスター素材の店になんて行ったら1日中居座りそうだ…。

 

 アパートに着くと車を止めて自室に向かう。既に鎧は空間魔法に仕舞ってあるので移動が楽だ。


 「あっ…田村さんに帰還の知らせ書いとくか。掲示板でいいよな、やっぱ」


 簡潔に『探索から帰りました。石田』と書いた紙を掲示板に張り付けておく。管理人の田村さんならこっちも見るだろうしドアにペタペタ貼るよりはマシだよな…と、書置きを残して自室に向け歩き出した。

 そして自室に着くとすぐさま山の自宅に転移をする。夕飯なんか軽くとるかなぁ…。





 「よしっ! 早速着けてみるとするかね!」


 夕飯を食べ終えた将一は空間魔法から買ったばかりの防具を取り出す。

 店で試着はしてみたが調整ということでほんの少しの間着けただけだった。やはり出来たのならしっかり味わいたい。1人でも着れるよう店でも何度か試したし問題はないだろうと早速装着する。


 服を着るように頭を出す部分をまず終わらせると次は前と後ろを固定するベルトを締める。とりあえず最初の防具という事で基本を守って体にぴったりとくっつくような作りにしておいた。それにきつすぎればベルトを緩めて調整は可能だ。

 脇下と横腹の2点をベルトで締めて体に密着させる。左右を終わらせると緩みが無いかどうかしっかり確認だ。


 「うん…しっかり締まったな。店でも調整したしおかしい所は無し…と。やっぱり締め付けられるような感じはするけどグラグラするよりかはマシかねぇ…」


 体をひねったりして動きの邪魔にならないかを確認する。多少は動かしにくいような気もするが防具を着けている以上これは仕方ない。このぎこちなさはいずれ慣れるとも言われた。要はきつめの服を着ているようなもんだと。

 しかし動きについてはわかったがこの防具の重量については何回か試着した今も正直信じられないな…鉄板使ってるのに全く重くないんだから…。


 「背中側はほぼ鉄板なんだけどなぁ…。服を着ていた時と全然変わらないように感じるのはマジ凄いな…」

 背中側は死角という事もあって、安全を考えて防御重視の鉄板にしてあった。前部分は心臓部分を鉄板にし、その他は鎖帷子を取り付け通気性が良いように変えてある。やはり全部を覆うと蒸れるらしいし。

 

 「背中と心臓部分で鉄板を使ってるってのになぁ…風魔石の粉末便利だわ…」

 動きにくいとは感じるが重さによる弊害はない。庭を何回かダッシュしてみるも、服だけの時との違いはほぼ判らなかった。


 「あくまでモンスターの攻撃が直接体に当たらないようにするのが目的だし、防具の役目としてはこれでOKなんだよな。前衛みたいにモンスターとぶつかり合うわけじゃないから鎧の重量を気にしないで良いのはありがたいわ。

 そう考えると前衛の人等は良く防具をずっとつけてられるよなぁ…。やはりこれも慣れなのかねぇ…?」


 鎧の確認を終わらせると頭用の防具を取り出す。とはいえこっちは額当てだが…。

 頭部全部を覆う兜も考えたのだが顎下で固定し続けるというのがどうにも違和感があった。それに耳を隠すと洞窟で重要な音に支障が出そうだった。耳を隠さないとなると工事現場で着けるようなメット系になるのだが、これも戦闘を考えると顎下で固定しないといけない。なのでやめた。


 「で、残るは額当て系のおでこ部分を守る防具ぐらい…と。頭頂部の守りは布で挟んだ鎖帷子を被せて頭の後ろで縛ればしっかり止めれるからな。額当てって言うより頭巾だわな…」


 そんな額当てと鎖帷子入りの頭巾を頭に付けて頭部の防具は終了だ。

 顔を守るためのバイザーなんかもあったのだが視界を優先して付けないことにした。ただでさえ洞窟は見にくいしな…。


 これで買ってきた防具を全て装着し終えた。

 腕と下半身がそのままだが、胴体と違って良く動かすことを考えるとかえって邪魔になるような気がしたので今回は見送りだ。鎧を付けた状態で潜ってみてから判断すればいいだろう。

 とりあえず急所である心臓と頭部だけだったしな、今回考えてたの。(男の急所はどうすればいいのか迷ったが…)

 そんな装備した姿を全身が映るを姿見を使って観察する。


 「うんうん。防具も着けたことだし、他の人等みたいに少しはそれっぽく見えるようになったか。後は腕と下半身かぁ…どういったもんにするかねぇ? 

 腕防具は解体時に外すことを考えるとベルトで止めるようなしっかりしたのは面倒か…。長手袋みたいな手を突っ込むやつがいいかな?

 それと下半身の防具は重さは関係ないとしても移動に影響してきそうだもんな…脛当てだけとかにするか? でもクリスタルゴーレムにやられた探索者みたいに裏側も重要だったりするか…。

 ひざ下まであるブーツみたいなのが分かりやすいけど絶対移動に影響がなぁ…。いっそのこと金属片を張り付けたズボンでも履こうかな? ガチガチな防具考えてたらキリないしな…。

 とりあえず現状はこれで満足満足…っと! 他の防具は次の探索後だな!」


 鏡に映る自身の姿を見て少しは探索者っぽくなった事を喜んだ。

 まぁ、これでゴーレムを連れて行くのだからどっちにしろ周囲の探索者からは浮くのだが…。

 

 ともかく、これで以前からしたいと思っていた防具の購入、装着が出来た。中途半端ではあるけども。

 次の探索時にはこの格好で潜ることを考えつつ、今は満足そうな顔をして姿見をじっくりと眺め続ける。初めて手に入れた防具をまるで子供のように喜んでいる姿はとても30を超えたおっさんには見えなかった。





ここまでお読みいただきありがとうございました。


今年もあと数時間となりましたね。皆様良いお年を。


大寒波と年末一気に寒くなりましたので風邪などにお気を付けて新年をお迎えください。私のいるところは吹雪いて雪が大変です。雪が降っている地域の方は転ばないよう怪我にも気を付けてくださいね。


まだ半年も経っていませんが来年も無事に書けていけたらいいなぁと思う所存です。


『変わる日常(せかい)』をこれからもどうぞよろしくお願いします。

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