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18話 施設での調査(5) 第3次世界大戦 モンスター対人類! 



 (第3次世界戦争って…なんだ…? こんな時だってのになんでそんなもんが…)


 予想外な出来事につい声が出てしまい、急いで周りを静かに確認する。幸い自分の言葉に反応する人などはいなかった。

 急いで気持ちを落ち着けると、再び頭の中で思考する。

 

 (なんでこんな時になって世界戦争とか起こすんだ? 今までのうっぷんがついに暴発でもしたのか? 世界戦争ってことは大国が関係してるよな? こんな忙しい時期にやるようなことじゃないと思うんだが…)

 将一は気になって仕方がなく第3次世界戦争の文字をクリックし詳細を読み始めた。


 そこで知ったのは、人と人の戦争ではなかった。



 ダンジョン出現からちょうど1年が経過した。

 まだ手付かずの所はいっぱいあったが、町周辺のダンジョンはとりあえず軍が調査で入り、帰還を果たしたところも増えてきた。

 世界がダンジョン調査に忙しくもどうにか心に余裕が生まれてきた矢先、不思議な情報が相次いで報告された。どうも山の中がおかしいと。

 最初は山の生き物が町付近に下りてくるというものだった。そして山に行った者と連絡が取れなくなり1人として帰ってこないという報告。この報告を聞いた者は熊でも活発になったのか? 程度の感想でしかなかった。


 しかし半日もしないうちにそんな考えは吹き飛ばされることになる。

 山や谷、砂漠や荒野から人里に向けて、一般人は見たこともない生き物が多数の群れを成して押し寄せてきたのだ。

 

 人里から離れて暮らしていた住民がまずその餌食となった。見たこともない生き物に扉や壁が破壊され侵入を許すと、そこの住人はその生き物に殺される被害が発生した。そんな光景を見て一目散に逃げる者もいるが、その生き物たちの速さが人を超えていた。

 犠牲になった人達は、自分が何の生き物に殺されたのかもわからないままその生涯を終えることになった。

 そして半日もしないうちに、その生き物たちは止まることなく人里付近まで近づいていた。


 不思議な報告を受けた者が次に聞いたのは、非常時警戒態勢の知らせだった。いったいなんなんだという気持ちを抱きながらも、急いで集合をする。

 知らせを受けて集まった者達には、問答無用で近隣住民の避難を誘導しろと言われた。詳しい話は何もなく、誰かそれについて聞こうとすると、とにかくやれという怒鳴り声が返ってきた。

 尋常ではいないその様子に、そこに居た者たちははじかれたようにして自分の役割をこなす。

 街中で必死に自分の担当場所をしていると、軍の車両が何台も街の外に向かって、出せる限界のスピードで出ていく光景を何度も見た。緊急ヘリも出動しているのか、上空もやかましいぐらいだ。


 そのうち遠くの方で音として聞いたことはあるが、ここまで激しく撃っているのは聞いたことがないほどの銃声が聞こえてきた。

 あまりに忙しく、人の悲鳴などで次第に気にすることも出来なくなったが、一瞬見たそこでは爆撃が落とされたような噴煙が上がっていた。

 

 

 (これ…いわゆるスタンピードって奴か? 人が手を出しにくいダンジョンからモンスターがあふれかえったってことなのか? でも隔離はしたんじゃなかったっけ? まぁモンスター相手じゃどれだけ効果があるか知らんが。当時はモンスターが出てくるなんてこと想定して隔離なんてしてなかっただろうからなぁ…)

 第3次世界大戦の文字をクリックして現れた当時の報告書や、それを見た人の感想がずらっと書いてある。これを読むには1日あっても足りないとみるのを諦め、別ページから第3次世界大戦まとめといったページを探す。

 

 (あったこれはまだ短いな。

 ……なるほどね。世界大戦か、獣害を大きく言ってるなと思ったけどこういうことか)


 そこに書いてあったのは、モンスターの人を殺すという意思が苛烈で、ただの災害とは違い殺し合いと呼ぶにふさわしかったそうだ。

 それに世界を揺るがしかねない程の規模だったのは間違いないということで第1、第2に続き、モンスター対人類の戦いを第3次世界大戦として記す…と書かれていた。



 (被害もばかにならないな…人里から離れていたところはどうしようもなく壊滅。人里の近くも後退を余儀なくさせられ犠牲者続出…大きな町で防衛線を張るも、迎撃を上回る勢いで次々来るモンスターに接近を許してミサイル等の使用が制限されてった…か。こっちは壊滅まではいかなかったんだな。

 でも中には都市が壊滅してるところもあるな。なになに……あー…これは予測できんわなぁ)

 記事に書いてある理由を見て、防げたはずの事態を防げなかった事にやるせない気持ちになる。


 (当時のスタンピードが起きた理由が、モンスターが討伐されてなかったからとはね。つまり1体でも1層で倒していれば、ダンジョンから出てくることはなかったってことだろう? 

 ダンジョンの規約かなんだか知らないけど、侵入したけどモンスターを1体も倒さないならダンジョン外に転送させようとか…。なんというか、もうちょっと手心とかあってくれてもなぁって思うわ。

 無機物のダンジョンにそんなこと期待するのが無駄ってことなんだろうけども…)



 ダンジョンに転送された際、生き残りを優先させモンスターを無視した弊害がここにきて起きたと書いてある。あの時誰かが1体でも倒してくれさえすれば…と、この記事を書いた人も最後にそう締めくくっていた。


 のちに判明することだが、モンスターを1体でも倒しておけば1年が過ぎたとしても、モンスターがダンジョンから排出されることはなかった。戦後落ち着いたところで検証されたのだ。

 この事実を知った遺族は、ダンジョンに入った軍人と生き残りを最優先にと決めた国の上層部を呪った。

 軍の人間や国のトップたちも、大戦で起きた被害の大きさを実感しており、国民のその感情を否定することができなかった。


 しかし当時ではそのような事が起こるなど知る由もなく、軍や国はあまりにも膨大な数のダンジョンを調査しなければならないという多忙な有様。とてもではないが手が足りなかったという、誰が聞いても理解はしたくないが納得せざるを得ない状況だった。

 犠牲になった家族たちも、軍や国の大変さをを知っているからこそ、声高に叫ぶことは出来なかった。多くの国民は苦々しくは思うが、自分達の胸の内で我慢するほかなかったのだ。


 そして世界はこの大戦を機に大きく変わることとなった。

 当時どういった議論が交わされたかは定かではないが、モンスターを排出しているダンジョンに入り、問題の根幹でもあるダンジョンのモンスターを倒せば抑えられるのではないか? という希望混じりの作戦が決められ、決死の部隊が送り込まれた。

 ちなみに入るだけならヘリや輸送機から人員を降下させて、ダンジョンに取り付き次第魔法陣から侵入するという作戦で問題なかった。実際そうやって人の手が付けにくいダンジョンに入っていった。


 しかしそのやり方は時代が進んだ今、あまりにも非道だったのではないかとも言われている。

 このやり方では入るのはよくても、装備や物資を満足に持たせられることが出来ず、生還が限りなく0に等しいということが問題視された。

 将一もこの作戦を見た時、神風特攻隊だな…という玉砕作戦に、仕方なかったとはいえ心ではどこか納得できていなかった。


 そして全世界で、この生還率が限りなく低い作戦がついに決行された。


 当時は誰も知らないがことだったが、ダンジョンはモンスターが1体倒されたところでモンスターを排出するという行為を止めた。

 これをヘリや戦闘機、輸送機から見ていた人員はひとまず安心した。しかし現地では未だに押し寄せるモンスターの群れに国民が、街が襲われているのだと思いなおす。乗員はダンジョンに散っていった仲間に敬礼を一つして町へと戻った。

 彼等は彼等で結果を報告し、他のダンジョンにまた仲間を送らねばならぬ仕事があった。



 こうして多大な被害や犠牲を出しながらも、人間側は何とか生き延びることが出来た。これはモンスターの特性でもあった、ダンジョンの外に出ると1週間で死ぬということを利用し、ただひたすらその時が来るまで防衛し続けたゆえの辛勝だった。

 この情報が得られてなかったり、もっと知るのが遅れていれば物資を無駄に消費し、耐え抜くことすら難しかったのではないかと後に専門家は語った。 



 (まさにぎりぎりの情報だったんだなぁモンスターの生態解読が。とりあえず辛勝でも何でも生き残れて何よりじゃないか。

 それにしてもこの戦争があったからこそ、全世界の人はダンジョンにはモンスターがいて、それが出てくるかもって危険が周知されたわけだ。戦争でパニックだっていうのにこれで終わりではない…だからなぁ。

 で、この後は戦後の復興か?)

 思考を切り替え、ページ内にある戦争のまとめという欄から戦後の状況という文字をクリックして詳細を確認する。




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