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158話 ダンジョン1層(ソロ) 地底湖で魔法の実験




 「お? 居る居る。感知蟹かどうかわからんけど5体かたまってんな」


 熱源探知の魔法で索敵したところ、水辺に続く岩場の所に5個の熱源を感知した。早速ゴーレムを連れて近寄っていく。

 少し歩いて反応があった所に来ると再び探知魔法で確認をする。すると将一の目にはほんのり赤く光っている岩が5個映った。


 (あれか。とりあえずどうしようっかねぇ? 使ってみたい魔法はいくつかあるし適当に使ってって見るかな…)


 見た目は岩だがおそらく感知蟹だろうと当たりをつけた。既に分かっているので奇襲は防げたが、どういった魔法を使おうかという事で擬態している岩の前で悩んだ。

 とりあえず逃げられないように動きを封じるのが先かと拘束用の魔法を使う。最初に出会ったときと同じ要領だ。


 「とはいえ同じ魔法じゃないけどな。凍てつけ…」


 そう言うと反応があった岩の塊の下半分がいきなり氷漬けになった。地面ごといきなり凍った為、異変を察知したのだろう感知蟹がその擬態を解く。

 しかし動いたのは上半身部分の腕の部分だけだった。立ち上がろうとした足の方は力を込めてもピクリとも動かすことは出来なかった。

 動く腕で氷をガンガンと叩き始めるが、それは本当に氷で出来ているのか疑わしいほどの硬さを持っており、破片すら散らない。それでも一心不乱に叩き続ける以外に手はないのだと、感知蟹は力と回数を更に増して叩き続けた。


 「おお…絶対に溶けない砕けないようにと思いながら使ったけどマジでびくともしねぇのな。実験した時は問題なかったけどモンスター相手の力じゃどうなるかわかんなかったからな…あの腕で殴られてもびくともしないなら心強いわ」

 

 必死に腕で殴り続けるさまを見てそう感じていた。

 これなら壁としても利用できそうに思う。向こう側が透けて見えるし、相手の動きも容易に把握できる。攻撃のタイミングだって計りやすいだろう。

 ただ問題は向こうからもこっちの動きがわかることだけど…モンスターってそこまで考えて動くのだろうか?

 

 感知蟹がこちらの声に反応してか、腕の他に唯一動かせる目で自分の方を一斉に見た。腕の動きは止めずにだが。


 「これをやったのが自分だってやっと気がついたか? 感知範囲っていうのはやっぱ近づいた相手に対してだけなのかね?」


 動くことが無いとわかっているのもあり、余裕をもって相手の様を観察する。

 体の向きも変えれない為、口を向ける事ができない感知蟹は視線を向けるぐらいしか出来ることが無い。

 せめて近寄ってこいと思っているのかもしれないが、わざわざ近寄る必要が無い将一は魔法をかけた場所から進むことなく観察を続けていた。

  

 「前回もそうだったけど口の射線上にさえ立たなければ遠距離でどうとでも出来そうだな。拘束用の魔法はまだあるけどとりあえずはこれでいいか。次は攻撃魔法を何か試そう。何がいいかな?」


 こちらの言葉など知る由もないだろうが、何とも余裕そうなその態度に腹を立てたのか氷を殴る腕に一層力を込める。

 しかし力を入れすぎているのか、だんだん砕けてきているのは自身がまとっている岩塊の方だった。

 攻撃が来ることもないと安心している将一は、とっておきの魔法を1つ選択した。


 「正直この魔法あればだいたいこれ1つでよさそうなもんだけど成功率とかあんのかね? まぁ、使ってみればわかるか…『死ね』」

 その言葉を言った瞬間…あれだけ激しく動かしていた腕から力が抜けて下にだらーんと降ろされた。こちらをぎょろぎょろと見ていた目も、今では体の上に倒れている。5体すべてが同じ状態だった…。

 

 「1発か? ゴーレム、確認してこい」

 

 いくら何でも1回で成功するとは思っていなかったのだが現に感知蟹達はその動きを止めていた。生きていれば決してそんな状態にはならないはずだが…。

 ゴーレム達が感知蟹に近づきその体を小突く。既に腕の攻撃の範囲内で、生きていれば殴られている位置だろう。

 ゴーレム達は正面に回り腹側にこぶしを軽く撃ち込む。流石に生きていてこれで無反応ってことはないと思うが…口からのブレスもされないようだし。


 「5体共死亡か…? この魔法が効きやすかったとかそういうモンスターってことだったりすんのか? やばいな死の魔法……」 


 生き物全てに等しくその終わりを与える『死』という結果。RPGのゲームなんかでもおなじみのその魔法を将一は今回選択していた。

 正直どんな属性魔法よりやばい魔法だと思っていたがここまですんなりいくとは…。予想通りの結果ではあるが、予想以上にあっさりしすぎて逆に驚かされていた。


 「ゲームなんかじゃ効かない相手が居たり成功率が低かったりするけど、リアルでこの魔法を使うとこんな感じなのか? ちょっとやばすぎるな…。後はゴーレム系にも効くか試すけど…そっちもこんな感じならほんとやばい魔法出来ちまったな…」


 感知蟹に近づいてその状態を自分でも確認する。氷を消すと支えていたものがなくなった為か、感知蟹の体が横倒しに倒れた。

 こんな勢いよく倒れてもピクリと動かないという事に、死亡したという事実を改めて認識した。死の魔法やべぇな…と。


 倒れた感知蟹を4体空間魔法に入れる。何の損傷もなく死亡しているモンスターが万が一見つかっては事なので回収しておくに越したことはない。

 それに実験に付き合ってもらったのだ。いつか美味しくその体を味わわせてもらおう。


 「とりあえず1体は解体の確認もあるしやっちまおうかな。まさか今回の探索の初魔石ゲットが前回と一緒になるとはねぇ…」


 荷物を空間魔法から出すと、その中から岩を割る道具を取り出す。ゴーレムに砕いてもらえば楽なのだろうが、1体ぐらいは自分で解体したいのもあるし。

 前回浜田さんに教えてもらった通り、周りの岩石を砕いてから腹側の岩石を砕いていく。腹の部分を砕き終わるとゴーレムに抑えさせ、自分は怪力の手袋を着けて腹側を引っぺがした。

 

 「怪力の手袋もあるし結構楽にいけるな。やっぱ重量物の解体する時は便利だよなぁ…」


 ほとんど力を入れていないのに甲羅から剥がれた腹部分を検分して魔石が入っているところを探す。そしてそこを見つけると切り取って中から魔石を取り出した。

 取り出した魔石を水で洗うと温風を当てて水気を飛ばす。結構綺麗になったとは思うが本当の色を管理部で見ている為、これではまだ不十分なんだと思いながら袋にしまう。水では落ちない汚れか何かがあるんだろうし、後は鑑定士さんに任せよう。


 「さてと…初戦はこんなもんか。後は水上か…派手に音立てまくったし、モンスターはもう気づいてるんだろうな。まぁ、今回に限っては出てきてくれることを望むがね」

 解体した感知蟹を仕舞うと水上に視線を向けた。これからここを通って出口の所まで行かないといけないのだが…。


 「前回と同じく石橋作って~ってなるとゴーレムもいるしちょっとアレだな…ここの水深も2mぐらいだしゴーレムには水中歩かせるか? カメラは耐水だし濡れても問題ないんだからそれでいいよな。

 こっちはゆっくり水上を進めばいいし、なんなら飛行魔法で天井付近を行くってのでもいいか。水トカゲが居れば魔法も試せるしどっちでもよさそうだな…」

 とりあえずモンスターとの遭遇は水上移動をしている方がしやすいだろうと、ゴーレムと一緒にゆっくり進むことにした。





 「というか他人の目がないんだからできそうな魔法は試せばいいんだよな」

 感知蟹を解体し、水上に来た将一はゆっくりとした足取りで進んでいた。水上を歩くゴーレムと一緒に…。


 「浮遊魔法をゴーレムにかけてやれば水の中を歩かせる必要もないし、いざって時は盾にもなるからな。それに端っこ歩く分にはゴーレムに自分を担がせれば濡れもしないしやっぱ便利なもんだよな…」


 水の上を歩く人という光景も結構異常だが、岩石の塊であるゴーレムが沈みもしないで歩いている姿はより一層不思議な光景だった。

 水上を移動しながら時折水魔法でソナーのような探知魔法をかけていた。これでモンスターがどこにいるかというのもはっきり調べられる。


 「っと…早速反応が返ってきたか。でも小さいなこれ…油貝(アブラガイ)かキリウミウシかな? 水中に潜ってる水トカゲって可能性もあるか。まぁ、何にせよ実験に付き合ってもらうか」


 モンスターの位置を把握するとゴーレムにかけていた浮遊魔法を解いて水中に沈ませた。あの小ささならゴーレム達が捕まえてくれば水中から引っ張り出せるサイズでもあるし。

 ゴーレム5体が反応があった場所に到達すると、一度水中に完全に潜ってから腕を上に突き出してきた。その腕にはキリウミウシが3体握られていた。


 「やっぱあいつらか。水トカゲだと泳いで逃げられそうだし、そうじゃないってことは足が遅い奴ってことだもんな。早速次の実験開始と行くかね」


 ゴーレムの手に掴まれているとはいえ、キリウミウシも無抵抗ではない。霧を出して周囲の視界を奪ってきていた。

 視界が悪くなると同時にソナーと熱源探知を周囲に奔らせる。前回はこの視界が悪い時に別のモンスターも来たから警戒は怠らないようにしていた。


 「今回は来てないか…でもいつまでもこのままってわけにはいかんだろうし早めに済ますとするかね」


 ゴーレムが掴んでいるキリウミウシの傍に近づくと風を起こしてその姿をとらえる。こちらが風を起こしてやればいくら霧を出そうとその姿は丸見えだった。

 おそらくだがあの死の魔法はこいつにも有効だろうと思っていた。霧を出すとはいえ感知蟹より強いとは思えない。抵抗ができるとは思えなかった。

 しかしもしもという事があるので、1体だけ死の魔法をかけてみる。そうしたら急に霧を出すのをやめ、ゴーレムの手の中でぐったりとその動きを止めた。


 「やっぱり効くか。一応軟体生物だから死ににくかったりするかなぁって思ったけどそんなことはない感じかねぇ? まぁ、死は平等ってことで。

 んじゃ次の魔法行くか。こいつ体の水分抜いてみたらどうなるかね? 普通の生き物なら骨と皮だけみたいになりそうだけどウミウシってほぼ水分じゃなかったっけ? なんか抜け殻みたいになりそうだな…」


 次は生き物の水分を操る魔法を試してみようと思った。しかしウミウシはその体の構造上水分ばかりだ。将一は抜け殻の中に魔石だけが残るんじゃないかとそんな予想を立てた。

 果たしてこの生物に水分を抜くなんて魔法をかけたらどういう姿になるんだろうか…と、不思議に思いながら魔法を試していった。





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