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147話 ダンジョンの再探索に向けて準備を




 「こいつは必要…っと、こっちも買っておくか。こいつもいいな…」


 支部長に話を聞き終えた将一は帰りにスーパーに寄っていた。腕輪を手に入れたことでダンジョン探索を再開する目途が立った為だ。

 ダンジョンで食べる食料の補充には田島さんから聞いたレトルト食品やインスタント食品を見繕う。後は乾物系も。


 「食料はこんなものかね。携帯食料はまだあったし、サプリメント系は連日泊りってわけでもないから今回はいいかなぁ…? 野菜ジュースなんかは水魔法でも出せるしそっちで摂るかね」


 よく通販などで見かける青汁の粉末なんかを見ているのだが、出そうと思えば水魔法でこいつ等も出せるはずと、棚にそのまま戻した。

 未だに水魔法のくせして液体なら何でもありなことに違和感を覚えるがこればかりは慣れるしかない。そういうものなのだと。


 「食器系は揃ってる、薬系も期限はまだOK、ロープなんかは手付かずだけどもう少し長いの買っておいた方がいいのかね? 風魔法が今度からは使えるし、いらないっちゃいらないんだよなぁ…必要なら長い鎖を作るってのも出来るわけで…。」

 

 (まぁ、こういったものもそれこそ召喚魔法で揃えられるからいざとなったらそっちで対処できるんだけどな…リュックに入る程度ならダンジョン内で荷物を増やしても問題ないだろうし)


 事前に荷物を見られたとしても不自然でないくらいの物資を揃えておけばいい。帰りの時に荷物チェックなんてされないのは初回の時でわかっているし、足りないものを召喚魔法で増やしても変に思われないはずと。

 基本的に持っていくのは食料と食器、換えの衣服やシーツ・毛布といった仮眠休憩の際に使う物でいいだろう。後は素材や魔石なんかを入れておく袋各種をそれなりに用意しておくといいというのも前回の探索時に知ることが出来た。

 次の探索も魔石を持ち帰るなら必要になるはずだ。


 「水筒が小さくてもいいっていうのは強みなんだよな。重たい水を運ばなくていいっていうのは探索にむっちゃ響く要素だからな」


 前回は地底湖を通ったという事もあったし、なによりマップがわかっているというのが大きい。マップがわからない所だと水は更に重要になる為疎かにできない。

 実際それだけの為に水魔法を使える能力者を用意しておくのも、攻略する際には考慮したほうが良いように思う。


 「潜ってみてわかったけど…荷物が重かったら移動に大きく影響するってのが理解できたわ。

 登山とか全然しなかったからよくわからんかったけど、上り下りで荷物を背負っての移動ってむっちゃ疲れんのな。あと狭苦しいから余計に負担がかかるし。

 そう考えると飲み水要員に水魔法の能力者を探索の際には絶対連れていくべきに思うんだよなぁ…」

 特に洞窟エリアだと地底湖にはあまり近寄りたくない関係上必須な気がする。


 「マップがわかってる今はいいけど後半になるにつれて水魔法能力者の重要性は上がるだろうな」

 

 ランダムエリアで洞窟が来るとしたら尚更いなくてはならなくなりそうだ。地図なんてわかりようがないだろうし…。


 自分の用意する荷物に重量物の水が必要無いことを喜ぶ。

 探索にもまだまだ不慣れな自分としては荷が増えることは負担でしかない。今回はソロなのだし、背負ってる荷物自体を空間魔法に仕舞いたいとさえ感じていた。


 「いや、待てよ…今回はゴーレムを連れてくつもりだし、荷物は全部ゴーレムに預けちまうか? なにも持ち帰る素材運搬に使用するだけじゃなくて探索時の荷物持ちにも使えばいいのか。

 PTだと足並み揃わないかもしれないゴーレムにそんな役は押し付けられんけど、ソロならそれでも別に問題ないわけだ。これもソロの魅力だなぁ…」


 それか探索時の荷物持ちの為だけにゴーレムを連れてくPTとかもどこかに居るのかなぁと、そんなことを思った。

 探索者なら土の魔石とゴーレムの核は比較的手に入りやすいはずだし、収入を見るなら荷物持ちのゴーレム1体の損失は許容範囲内にすら感じる。


 「洞窟エリアはもとより移動に時間がかかる所だし、森林エリアだって警戒しながら進むだろうから、ゴーレムの足に合わせての移動でもよさそうに思うんだよなぁ…。なんでこんなにゴーレム使用する人って少ないんだろう?」

 

 確かにルートによってはゴーレムが進めなくて使い捨てになったりルートの再構築を余儀なくされるが、それを置いたとしてもゴーレムの荷運びは探索に欠かせない要素だと感じた。デメリットに目が行き過ぎてるんだろうか? 

 まだまだ初心者探索者(ルーキー)だからそう思うのかもしれないが…探索なんて時間のかかるもののはずだ。

 PTだとそのわずかなロスタイムすら惜しいという事なのだろうか? と思いながら、他に買う物は無いか店内を見回っていった。





 「さて…後はゴーレム作っとかなきゃいけないんだけども…」 

 買い物を終えてアパートまで帰ってきた将一は、部屋にこもりながら次はどうしようかと考えていた。主にゴーレムの置き場所についてだ。


 「作るだけなら夜の内にパパッとやってしまえばいいんだけど…問題は作ったゴーレムどこに置いておくか何だよなぁ…。近場に貸し倉庫みたいなところがあれば一番なんだけども」

 だがそんなところはこの近辺で見かけたためしがなかった。貸し駐車場はあったがそこにゴーレムを置いておくわけにもいかんだろうし…。


 「いっそのことアパートの裏にでも置かせてもらえないかな? 要らんかもしれんけどアパートの防犯に使うのを条件にするとかで手をうてないものか…」


 これは田村さんと交渉が必要になると、さっそく手土産を用意する。何もないよりかは印象が良くなると信じて。


 1階まで降りてくると、管理人室にいるであろう田村さんを呼びだす。チャイムを押してしばらく待った。


 「はーい、どちら様ですかぁー?」

 そう言いながら玄関のドアを開ける田村さん。なんかエプロン姿をしてない姿は何気に初めて見たかもしれないな。


 「急にすいません。ちょっとお話があるんですけど、田村さんに許可がいるだろうと思いまして」

 「なんでしょうか? 難しい話じゃなければいいんですけど…」

 少し心配そうな表情をしてこちらの言葉を待つ。もしかして無理難題の話とかって今までにされてたりするんだろうか?


 「実は今度ゴーレムを作ろうかと思いまして。魔石と核は揃ってるので時間はそうかかりません。夜間に作りますけど騒音が出るとかもないです」

 「ええ、それで?」

 「作るのに問題はないんですが…困ってるのは置き場所に関して何です。5体作ろうかと思ってるんですけど、そいつらを置いておく場所の手配が出来てませんで…。

 それで少しお聞きしたいんですけど、少しの間このアパートの周りに置かせてもらっても大丈夫でしょうか? ダンジョンに連れて行ってない間はなんなら防犯対策の警備員扱いにしてくれていいですし。

 どうですかね? その内置き場所は見つけるつもりなんですけども…」

 回りくどく言う事もなく率直にお願いしてみた。ダメならこれから貸し倉庫らしき場所を探しに行かなくてはならないのだが…。


 「ゴーレムですかぁ…正直このアパートには探索者さん達が住んでますからそれ自体が防犯のようなものですからねぇ…わざわざ探索者の人達が多い所に泥棒に来る人もいないですからねぇ」


 確かにその通りだ。盗みにでも入るなら入りやすい所を選ぶだろうし、わざわざリスクを冒してまで探索者が複数住んでいる所に手を出すバカは居ないだろうな…。

 個人的な恨みがあったりしたら話は別だろうけども。


 「それとゴーレムって物によっては周囲の人に威圧を与えかねないんですよぉ。なのでアパートの周りに置いておくというのはちょっと許可出せないですねぇ…」

 「えーっと…つまり周囲からわからないように置いておくのはOKだったりします?」

 周りに置いておかなければいいのかと思って聞いてみる。邪魔にならなさそうな位置は考えるが。


 「そうですねぇ…すぐに撤去出来たり、周りからわからないように置いてあるなら別にいいと思いますよ。作る際に騒音とかも出ないんですよね?」

 「そちらは大丈夫です。土魔法で形さえ整えてしまえば後は魔石と核を内部に入れるだけですので」

 そう言うと田村さんはう~ん…と悩む様子を見せた。やっぱダメかな?


 「置き場所に関してなら管理部が貸し出しの倉庫を持ってるとか何とか聞いたことがありますねぇ…すぐに撤去出来るのなら管理人室の裏手にある敷地に置いておいてもいいです。でも長くて2日ぐらいでお願いしますねぇ…お庭でお洗濯もの干したいですし」

 「おおっ! いいんですかっ!? 期間ならそれで十分です。動かせる当てはあるので。それと管理部に貸し倉庫があったんですか?」

 「住んでる探索者の方からそんな話を聞いたことがありますねぇ。

 どうせダンジョンに潜る前に管理部に寄るんだから装備だったり荷物を置いているんだとか…。

 中には休暇の日にそこで武器の手入れをしたり荷物の整理をしてるって話ですから…大きさもそれなりの倉庫だと思いますよぉ?」


 これは朗報だった。

 確かにダンジョンに行く前に管理部に寄る者は多いだろう。管理部の距離からならゴーレムを連れて歩いたとしてもそう時間がかかるわけでもない。

 保管場所としては最適な距離じゃないか!


 「これから管理部に行って倉庫が使えるかどうか聞いてくるとします。大丈夫そうなら明日にでも移動させますよ」

 「結構早いんですねぇ…ゴーレムってそんな早く作れる物なんです?」

 「起動に半日程度って聞きますからね。今日の夜にでも作れば明日の午前中には動かせると思います」


 そう言うとこうしてはいられないと思い、先ほどまでいた管理部に再び戻ることを決めた。必要なら寄るのも仕方ないしな。


 お邪魔したお詫びとして、アップルパイの半分と果物のコンポートが入ったタッパーを田村さんに渡しておいた。

 「自作です」と言うとなんとも意外そうな顔で受け取ってくれたのだがそんなに意外だろうか? 管理部の食堂をよく利用してるから自炊できないとでも思われていたのかもしれないな…。


 田村さんにお礼を言うと車に乗って管理部に向かい始める。

 倉庫に空きがあるといいなぁ…と運転しながら思いつつ、どうせ見えないようにゴーレムを置いておかなければいけないというのなら帰ってからすぐ作るのでもいいのではないかと考えを巡らせていた。




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