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140話 金の計量が終わったらしいけど今日は自由時間優先です




 「いてて…変な体勢で寝てた所為か腰が痛ぇなぁ…」

 

 あれからずっとテレビを見ていたのだが途中からの記憶がない。どうやらあのまま寝落ちしてしまっていたらしい。久しぶりにのんびりとした時間を満喫しすぎて完全に気が抜けてたってことなんかなぁ…?

 朝起きるとテレビも電気もつけっぱなしだった状況を見て、その瞬間にやっちまった…と悟った。まぁ、それだけゆっくりできていたと思えば良いのかもしれないが。


 「ポジティブに考えよう。昨日はそれだけ休めたってことだよな。うん、充実した時間だったわけだ」

 

 やっちまった物は仕方ないと諦め、これからの事を考え始める。

 とりあえず管理部に行って腕輪の件だけ確認すればいいかと。まだ2日目だし何の進展もないかもしれないが聞くだけならタダだしな。


 「そうと決まれば準備して出かけるとするかね。可能性は低いけど結果出てるかもしれないしな」

 もし結果が出たとなればどっちにしろこの休暇も打ち切りとなるのだがそれはそれと考えて、まずはシャワーを浴びに風呂場に向かうのだった。





 「お待たせいたしました。確認しましたところ「まだ返答待ちと伝えてほしい」だ、そうです」

 「わかりました。多分明日も聞きに来ますのでよろしくお願いしますとお伝えください」

 将一は身だしなみや朝食といった準備を終えると車に乗って管理部までやってきていた。そして早速腕輪の事を聞いてきてもらい今の会話に至る。


 (まぁ、流石にまだだと予想はしてたがね。よく知らんけどいろいろ議論してたりすんのかねぇ?)

 

 もし国が買い取るのなら書類を用意してるだろうし遅くなるだろう。逆に買い取らなければそのまま返却するだけなのだから、すぐに結果が出てもなんらおかしくはない。5日6日となったら覚悟をするしかないのかもな…。

 まだ気落ちするのは早いと自分に言い聞かせ受付を後にしようとした。

 

 「あ、お待ちください。その件はそれで終わりなのですが、石田様の持ち込んだ素材の計量が終わったので伝えてほしいと承っております」


 その言葉を聞いてそっちは完了したのかぁ…と少し考える。すぐに終わる案件かどうかわからないんだよなアレの話って。

 計量が終わったという事は計いくらの値が付いたかも出終わってるだろう。そこまではいい…けどその支払いが何か面倒臭そうなんだよね…。

 

 量的に十数tの金塊の支払いってなると膨大な金額だってのはわかる。世界規模の管理部なんだしそれだけの支払い能力はなくはないだろう。けれど一度に払う金額としては多すぎると思うんだよね。


 (分割払いとか一時的に待ってくれとかそんな話もされそうなんだよなぁ…。

 そもそも証拠として提出しただけで既に売り払ったわけじゃないからそこの話もされそうなんだよね。

 確か金ってすぐ売ったら手数料? なんかすぐに売るともったいないって聞いた覚えがあんだよな…。金額だけ聞いといて売りに出すのは少し待つか?)


 今聞きに行くと面倒な話をされそうで、時間的に拘束されるのは個人的な理由だが少し困る。

 それに管理部としてはモンスター素材の金は早急に手に入れたいだろうし、こっちを急かすようなこともするんじゃないかという思いもある。探索者はダンジョンの素材を持ち帰るのが仕事とはいえ、それを売るかどうかの選択権は探索者側にあるはずだった。

 

 (まぁ、物によっては強制的に買い取りってのもあるだろうけど、そうなるとこっちに有利な条件を考えなきゃいけないし、その辺も話し合うと余計に時間がとられそうなんだよね…)

 今行くと当初考えていた予定をキャンセルしなくちゃいけなくなると思い、受付さんに伝言だけ頼むことにした。


 「要件はわかりました。ですけど管理部として話し合わなきゃいけないことが残ってると思うので、そこら辺の話し合いも決まったら寄らせていただきますとお伝え願いますか? たぶん報酬の支払いについては議論してる最中だと思いますので」

 「報酬の支払いについてですか? おそらく素材担当の方が既に決めていると思われますが…とにかく承りました。

 では支払いについての話がつき次第お呼びさせていただくことになると思います。石田様の携帯にご連絡がいくと思われますのでしばらくお待ちくださいませ」

 「よろしくお願いします」


 そう言って今度こそ受付を後にした。問題の先送りではあるが、向こうの話し合いが決まり次第こちらも行くことにする。

 その間にこちらも売却についてちょっと調べておこうかなと考えながら管理部を後にした。





 「さてと…とりあえず戻って来たはいいんだけど何作ろうかね?」


 管理部から帰ってきて山の自宅の台所に立ちながら、昨日買ってきた材料の見分を始める。

 正直普段とは違う材料が物珍しくて買ったはいいけど何を作るかまでは考えてなかったのよね…。


 「それに野菜か果物ばっかなんだよなぁ…肉は後回しって考えてたら時間来てたし、海鮮もないんだよな…」

 メインにできそうな肉や野菜を買い忘れたのは結構致命的だった…今から買いに行くのもなんかアレだし…。


 「しょうがないからこいつらでなんか作ってくか。肉魚のメインはまた今度に回すとすっかね」


 ないものは仕方がないと諦める。正直召喚魔法で出せるとはいえ、自分の買い忘れの所為でこうなってるのだから今回は甘んじて受け入れようと無理やり納得させた。

 とりあえずこれらで出来そうなものを考える。野菜だけとはいえ立派なおかずは作れるのだし、今日の夕飯にでも食べることを考えて頭の中でレシピを思い出していった。


 「とりあえず味見だな。基本的な味は変わらんだろうけど、甘味が強かったり水分が多いとかだといろいろ調整しなきゃならんわけだし」


 そう言うと自分の太もも程の太さがありそうな大根を洗い、1㎝程の厚さに切って皮を剥く。太っとい割に皮の部分が厚いというわけでもないことを確かめながら包丁を1周させて皮を全て剥き取った。

 それを1㎝程度の棒状に切ると大根のスティックの完成だ。大根の太さがずいぶんあるから簡単にスティックが出来るな。


 「さてと味見味見っと」

 何もつけずにそのまま齧る。すると、いい歯ごたえを感じさせながら口の中で甘味を含んだ水分が出てきた。辛くもないし子供でもポリポリと食べれそうな気がする。


 「育ちすぎだとスが入って食感が悪くなったりするけどこいつの見た目そんな感じじゃなかったし、やっぱこれがダンジョン産では当たり前の大根なんだろうな…」


 甘みもあって水分も適度にある。焼いたり煮たりすると美味しそうだなと、残りのスティックを食べながら思った。

 辛いのが好きな人にはちょっと合わないか? 下の部分なら辛味もあるかな? と思いながらこれで何を作ろうかと想像した。


 「次は…この長芋にすっかね。これまた太っとく成長した長芋だな…。切り分けられてたけど長ーく1本で掘れたら達成感あるだろうなぁ…」


 次に手に取ったのはパックに入った長芋だ。こちらも通常の長芋に比べればずいぶん太く成長している。1本丸々のは置いてなかったけれど、店で買えないなら自分で掘りだしてみたくなる。やっぱり早く森林エリアに行ってみたいな…。

 パックから取り出すと水で綺麗に洗い流して先ほどと同じように少量切り取る。皮も綺麗に剥くと細く棒状に切って口に運んだ。


 「シャキシャキサクサクと瑞々しいなぁ…この長芋のねばねばも好きだしとろろご飯とか麦飯にかけて食べたくなるな…漬けマグロの山掛け丼食いたくなってきた…」


 噛んでいると口の中に山芋の粘りを感じる。火を通せばホクホクとした食感になるし、摩り下ろせば粘々を味わえる。生でも火を入れてもいいよなぁと思いつつ、こいつで何を作るべきかと想像を働かせた。マグロが無いことが今は残念で仕方ない…。

 

 そうしていくつかの野菜を味見しつつ、メニューをあれやこれやと考えいった。

 やはりこの何を作ろうか? という時間は楽しいものだ。

 そしておかずはもういいかなと思い、次は果物を手に取った。昨日から気になっていたあのリンゴだ。


 「昨日寝落ちしなければ夜食にでもと思ってたんだけどなぁ…まぁ、他の食事の時と一緒に食べるタイミングが合って丁度いいっちゃいいか」


 両手でバレーボールサイズのリンゴを持ちつつ何を作るか考える。そのままでも十分美味しそうだがどうせなら1手間加えてみたい。

 小玉スイカを切るような感覚でリンゴを半分に切って中を確かめる。あいにく田村さんが言っていたような蜜はこいつには見当たらなかった。


 「これだけ大きいといろいろ作れそうだよなぁ…。アップルパイはデザートにしちゃちょいと重いか? 少量にして残りは空間魔法に入れて取っておくかな?」

 

 量が量なので1品ではとてもではないが消費しきれない。

 どうせ時間はあるのだしいろいろ試して作っていくのも楽しいだろうと他の果物を見て思う。リンゴだけに止まらずブドウや梨、桃や柿といろいろ揃っているのだから。

 



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