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13話 別世界を調査 市の施設へ



 「お客様、魔石がご入用でしょうか。

 当コンビニでは火、水、土、風、今なら雷、氷、樹も少数ですが置いてありますよ」


 呟きが聞こえたのか、目の前でバーコードの読み取りをしていた女性店員さんが聞いてくる。他に待っているお客もいない為か、手を止めてこちらの要件をうかがう姿勢だ。


 将一もつい声に出てしまったが、店員さんの続きの言葉に考えさせられる。

 魔石なんてものがあることすら知らなかったが、それがコンビニという一般人が使うであろう店にまで置いてある事実。それに種類も聞く限り今のところ7種類があるようだった。そのうち氷、雷、樹は数が少なく希少なのかもと。


 未だ情報収集の段階だし、買った物の確認すら済ませていない。それと店員さんの言葉を聞くに、火、水、土、風はどこのコンビニでも置いてある確率が高そうだと見切りをつける。


 「いえ…ただどのような種類があるのかなと思っただけですので。ちなみにそれ以外の種類は入荷するんですか?」

 「そうですねぇ…。お客様の方から何々の種類を取り寄せられるか…とか、郵便物のコンビニ止めをその場で確認された時に別の魔石を見たぐらいでしょうか?

 在庫として普段置いてあるのは火、水、土、風の4種類になりますね。今回のように氷、雷、樹の魔石はあまり入荷しません。だいたい今日明日で無くなっちゃうと思います」

 「そうですか。とりあえず今は大丈夫なのでそちらの物だけお願いします」

 「かしこまりました」

 女性店員はそう言うとバーコードの読み取り作業に戻った。


 (ふーむ、やっぱり火、水、土、風の魔石は需要が高いってことか。在庫として確保しておくぐらいの量は取れるみたいだな。他の3種はやっぱり希少と。それに取り寄せで他の種類も未確認だが存在してるっと。

 次はあの謎の光の調査だったけど異世界関係っぽいよなここまで来るともう。なら情報確認してたらあの光に関してもわかりそうだな)


 「すみません、この近くに漫画喫茶かパソコンが使える場所ってありますか?」

 こちらの質問に作業している女性店員さんは手を止めると、少し考えてから口を開く。

 

 「表に見える家具屋さんの通りの道を先に行きますと別のコンビニがありまして、そこの裏側に個人店の漫画喫茶ならあったと思いますよ? 

 それかそこの道を左手に曲がりまして、しばらく進みますと学校が左手に見えてきますので、その学校の向こう側に市が運営してる情報工房っていう建物がありますね。そこでしたら一般の方もパソコンを使えますよ。

 そこの学校の学生さんが校外学習等で利用してたりするので空きがあるかまではちょっとわかりませんが…」

 

 女性店員さんは店を思い出しながら、ここから一番近い将一の要望通りの店を1つずつ教えてくれた。

 漫画喫茶は個室と他の人の目がなくていいかもしれないが、個人店ということで店主の趣味が入ってそうだから遠慮する。


 市が運営してる施設がここから近くにあるというのはありがたかった。そこならば一定基準値が分かるし、ほかにも利用してる人がいるなら周りの情報を直接見られるという利点もある。

 逆に自分の調べものも周りに見られるかもしれないが、別にHなサイトを見るわけでもない。おかしなことをしなければそこまで心配もないと思う。


 それに元の世界にいた時、自分も情報工房という市の施設を何度か利用した覚えがある。大きな建物で資料室があったりもするし、老人たちのレクリエーションルームといった地域の交流場所みたいな感じで施設の雰囲気も悪くない。たまに講演会みたいなことを開いていたりもするので多様な人が集まるところだった。


 「そうですか、ありがとうございます。調べものをするので市の方に行ってみます。その情報工房って結構大きかったりしますか?」

 「大きいですよ。私も昔使っていましたけど改築してなんかさらに大きくなったって聞きましたね。と、おまたせしました。合計で1万と1680円になります」

 丁度集計も終わったのか、買った物の値段を教えてくれる。


 「えっと…細かいので申し訳ありませんがいいですかね?」


 そう言って財布から500円玉取り出すと、わかりやすいように積み上げて並べる。5枚の山を4つ作ると、残りの4枚をキャッシュトレイに置いた。

 女性店員は、支払いを全て500円玉で賄おうとしていることに何も言わずニコニコしているが、内心少し驚いていた。やはり500円玉のみで会計するような人はまずおらず、初めて見たのだった。


 「…以上でよろしいですか? 少々お待ちください」

 そう言うと500円玉の山の枚数を数え、最後にトレイの4枚を確認するとレジを打つ。

 

 「お待たせしました。お預かりが計1万と2000円で、こちらお釣りの320円になります」

 「すみません、ありがとうございます」


 やはり500円玉ばかりというのは自分でもめんどくさいと思ったのか、謝罪の言葉が自然と出てしまう。

 とはいえ店員さんも店の人間、最後まで笑顔は崩すことなくいえいえと言って買った物を小分けにして袋に入れてくれた。

 そして計4袋を受け取ると、将一は出口に向かい扉をくぐる。


 「ありがとうございましたー!」

 気持ちがこもってなさそうな言葉ではなく、感情がのった声でコンビニを退去する将一。内心はどう思ってるか知らないが、ずいぶん久しぶりにまじめな店員さんと会話したなぁと感じた。


 コンビニを出た将一は、車の助手席に買った物を載せる。落ちていきそうなので重量を考えて2つに分け、重いほうは足元にそのまま置いた。新車なので別にいいだろう。

 荷物を置き終えると反対側へ回って運転席に座る。そして買った物の中からペットボトルのお茶(別世界っぽいやつ)を取り出して1口飲んでみた。


 「ふう…買った物の見分はその情報工房でまとめて行うか。もしかしたら買ったこの雑誌よりそっちの方がいろんな情報ありそうだし無駄になったかもしれないな…買う前に人に聞けばよかったか。

 にしても普通のお茶だな、これ…」

 ちびちびとお茶を飲みながら買い物の感想に浸る。ついでに物を持ち込むので運びやすいよう大き目の肩掛けバックを呼び出し、後で降りるときにでも詰めようと荷物の上にそのまま乗せておく。


 「それにしても魔石かぁ…コンビニで売ってるとか流石に想像してなかったなぁ。値段だけでも聞いとけばよかったか。

 使い方はわからんけど一般に出回るってことはそう貴重ではなさそうなんだよな」

 小休憩も終え、さて出るかとお茶をドア横の小物置き場に入れて車にエンジンをかける。その際に響くエンジンの音にコンビニに入ろうとした若者が驚き振り返った。


 「…余裕ができたら車買い替えたほうがいいんだろうな。それと早めに500円玉は銀行に入れて紙幣引きだそ…」


 いい加減エンジンを掛けただけで驚かれるのもあれかと車の購入も視野に入れるが先に支払方法が先だなと思いなおす。いつまでも500円玉で払うのは自分も相手も面倒だと思った。

 とりあえず休憩終了と教えてもらった市の施設に向かうことにする。


 「ここから左の道をまっすぐ行って、学校が見えたらその更に向こう側ってことだったな。意外と近くだしちゃっちゃと行きますか」


 バックで入れていた車をそのまま発信させ、道路を左に曲がる。後は学校が見えるまでひたすら直進させればいいと、特に難しく考えることもなくアクセルを踏み続けた。



 コンビニを出てしばらく直進させていると店員さんが言っていただろう学校が左手に見えてきた。

 あれの反対側に行けばいいんだなと、学校の周りの道に車を進ませる。学校の近くということで子供に気を付けつつ教えられた建物を探す。


 そして、やはりここでもエンジン音を鳴らしてる車は珍しいのか人の視線が集まってしまった。ここまで珍しがられると街中にガソリンスタンドがないんじゃないかと心配になる。いざというときは新品状態に戻せるが…ソレは最終手段だ。

 

 「んー学校の向こう側のそれなりに大きい建物…あれがそうかなぁ? 確かに聞いた通り結構大きそう。今回はパソコンとか資料で情報が知れればそれでいいからな。他は今回関係ないし、また興味があったらくればいいか」


 好奇な視線にさらされながらも当てをつけた建物へと近づいていく。正面まで来ると電光掲示板が駐車場はコチラとお知らせしてくれているのでその指示通りに車を動かした。裏側に結構大きな駐車場があったが使われているのは半分ぐらいだろうと憶測をつける。

 車を止め、肩掛けバックの中に先ほど買った物を詰め込み入り口へ向かう。重量軽減がかかっているためか苦も無く歩けるのはありがたい。


 入り口から中の様子を確認してみる。どうやらお目当てのパソコンは1階にあるのが確認できた。

 

 (パソコンとか高価だろうし、外からも人の目があるぞと一応防犯目的もあるのだろうか?) 

 あとは入り口近くに小さな子供たちが遊んでいる部屋があった。子供をここで遊ばせながらパソコンを使う親たちがいるのだろう。他は奥まっているのかここからでは見えない。


 「こうしてても仕方ないし行くか。今日1日でどれだけ調べられるかね?」


 調べることが多いなぁと若干気疲れもするがこの世界の事についていろいろ知れるとあってか、知的好奇心が刺激されたらしく知らず知らずのうちに表情が緩んでいた。

 


 次話から始まる施設での調査についてはまとめが書いてあります。そちらでも構わないという方はまとめまでお飛ばし下さい。

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