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1話 死と神との出会い

 初投稿です。

 読み専でしたが自分でも書いてみたくなって、思いついた話を書いてみました。

 思いついた内容そのまま文にしてるので変なところが出てくるかもしれませんが、暇つぶしにでも読まれたらなと思います。

 一応更新日時は極端に開けないようしていきたいです。




 唐突だが私、石田将一(30歳)は死んだ。

 別に誰かを守ろうと犠牲になったわけでも、凶器を持った犯人を取り押さえようとしたわけでもない。

 ただ単に運が悪かったとしか言えない。


 休日に趣味でもある料理の準備をしようと店に買い物に出かけ、適当な器具を買い終え店を出ようとした矢先、出入り口の上にあった飾り看板が落ちてきたのだ。

 老朽化による落下事故。言ってしまえばそれだけの、誰もが起こりうる可能性の出来事だ。今回私がそこに居合わせてしまったというだけだった。


 そんな事故が起こるなんて思いもしなかった私は、何が起きたのか考える暇もなく看板の下敷きとなってこの世を去ることになった。

 



 「んん……」


 どれほど経ったのか将一は目を覚まし、意識もはっきりしてきた。何が起きたのかもわからなかったが、最後の記憶が出入り口を出たところで途絶えていることに訝しがる。

 なんだかよくわからないがとりあえず体を起こすことにする。しかしそこで気が付いた。

 

 「どこだここ…?」

 

 目を覚まし、一番最初に見たのは青空だった。体を起こすと、目に映ったのは先ほどまで調理道具を買いに来た店などでなく、ただただコンクリートの地面が広がっているだけの光景だ。

 目の前の光景を理解できず首を動かし周りを見るが…建物も、車も、人も、道路も、何もかもがなかった。人間理解不能な出来事が起きたら本当に何も考えられなくなり、目で見える状況だけしか認識できないのだな。


 何も考えられないながらも立ち上がって更に周りを見渡す。しかし立ったとしてもそんな劇的に変わるようなことなどありもせず、左を向き右を向き、ぐるりと体を回すもどこもかしこも同じ風景が地平線のかなたまで続いていた。


 「いったいどうなって…なんだこれ…」

 「ご自分がどういった状況にいるかお分かりになりますか?」


 突然自分以外の誰か、女性の声が後ろから聞こえてきた。将一は驚きながらもゆっくり振り返る。先ほど周りを見渡した時にはだれもいなかったはずなのにと。

 振り返った将一の目に映る人物。働かない思考だが目の前の女性を見た瞬間、綺麗な人だなという感想が勝手に出てきて次の瞬間には消えていった。

 

 「あ、あの…どなたですか? ここは…一体?」

 「どうか落ち着いて。説明をいたしましょう、あちらに座りながらでも」

 そう言って女性は右手を伸ばし横に向ける。将一はつられてその腕の先を見る。そこには先ほどまでなかったはずの椅子が2脚置いてあった。

 椅子が突然出てきたことに、驚き固まる。


 「どうぞおかけになってください。お話はそれから」


 将一が固まってる間も女性は腕を伸ばし椅子を勧める。何が何だかわからないことだらけだが、とりあえず座って落ち着きたいという思いも出てきたのか、足がゆっくりと椅子に向かう。

 とりあえず勧められた椅子に腰を落ち着けた。ただ椅子1つに座っただけだがなんだか心が安心した。空と地面しかない光景の中、ちっぽけな椅子1つだが理解できる物を見れてほっとした思いだった。


 将一が椅子に座るのを見届けると、女性も続いて対面に置いてある椅子に座った。


 「さて、ではご説明しないといけませんね。石田将一、名前はこれであっていますか?」

 「あ…はい。石田将一と言います。石田と呼んでいただければ」

 「では石田さんと。とりあえず最初にした質問をもう一度。石田さんは今の状況を理解できていらっしゃいますか?」


 目の前の女性は落ち着いた声と表情をしながら将一に聞く。自分の今の状況を。


 「え…っと、正直何が何だかわからず困り果ててました。私は買い物帰りだったはずなのですが、なぜか地面に倒れていて先ほど起き上がってみると周りはこんなありさまで…」

 「そうですか…。ではまずあなたの今の状況を説明しますね、どうか落ち着いて」 

 そう言って目の前の女性は目をつむり、一拍間を置くと目と口を開き語りだす。


 「石田さん、あなたは亡くなられました。買い物帰りに出入り口を出た矢先、お店の飾りが落ちてきて頭に直撃したのです」


 真剣な表情で、だがどこか伝えるのに申し訳なさそうな顔をして。

 将一もその言葉を聞いた瞬間は意味が理解できなかったが、死んだと聞かされ困ったかのように周りを見渡す。

 その困惑した視線に答えるわけではないだろうが、周りの風景が問いの答えを物語っているような気がしてくる。


 どこまでも続く起伏のない整地されたコンクリートの地面。砂漠ならば同じ大地と空という条件にも合うのだろうが、こんな地平線のかなたまで同じ光景など地球にあるのだろうか。

 周囲の何もない風景を一望すると、答えを得たかのような気がした。将一は困惑した表情から、どこか諦めたような納得がいったような顔をして溜息をもらす。


 「私は死んでここにいると…さしずめ天と地の境界線の上にでもいるんですかね?」

 「ここは私が用意した空間です。もっとわかりやすくお空の上でも良かったのかもしれませんが、地に足がついている方が人としては落ち着けるでしょう?」

 「なるほど…確かに目覚めたら空中にいるだと心臓に悪そうです。もう動いてないんでしょうけど」

 女性の言葉に同意するかのように語る将一。心臓が動いてないのに心臓に悪いなんてことを言う余裕もどうにか出てきたのか。


 「それであなたは…なんとなくもうわかりましたけど女神様だったり?」

 「その通りです。名前は言いずらいでしょうからただの女神とでも思っていただければ」

 「では女神様と…。まだ頭がはっきりしてるわけではないのですがとりあえずこれだけ…私はなんでここにいるのでしょう? 天国行きか地獄行きの判定でもあるのですか?」


 目の前の女性の正体も薄々感じてはいたがどうやら女神様であっていたらしい。名前については、神様っていろんな面を持ってて呼び方が違ったりしているらしいし、この女神様が誰だろうとそこまで興味がわかずただ女神様とだけ思うことにした。

 そして理解が追い付かない思考の中でとりあえず1番気になっていることを聞いてみた。天国か地獄か…生きている人間には絶対知ることができない判定だな。


 女神様に質問をしてみたがどうも答えが返ってこない。将一はとりあえず女神様が口を開いてくれるのをを待った。

 しばらくして口を開く女神様。その言葉は、将一は言われるかもしれないと思っていたものだった。しかし行動の方は思いもしなかったが。


 「ごめんなさい…私にはこれしか言えません」

 そう言うと女神様は頭を下げる。少なくとも謝られるようなことなどないはずだった。


 「えっと…どういうことでしょう? 私は地獄行きで天国には逝かせられないということで? とはいえ謝られる必要は…」

 「そうではないのです。…石田さんは本来まだ死ぬべき運命ではなかったはずなのです」

 「……はい?」

 

 女神様の突然の告白に理解が追い付かいない。頭が更に困惑する。

 まだ死ぬべき運命ではなかった? 意味が分からない。


 「すいません女神様、もう少し詳しくお話していただいても?」

 「ええ、これからしっかりご説明しましょう。石田さんがこうなってしまったわけを」

 そうして女神様が過去にあった出来事を語りだす。正直理解が追い付かないが、なんとか分かった事だけ簡単にまとめてみたので聞いてみる。

 

 「つまり…どっかの神様が地上に手を出した所為で、私の運命がいびつな状態になったと?」

 「そうなります。私達神は地上に影響を与えやすいのです。過去幾度も私たちは地上を生きるものに干渉してきました。時に手を差し伸べ手助けをしたり、時に神罰を与えるために、またある時は自由気ままに」

 「最後のなんですか?」

 「神とは本来そういったモノなのです。自分勝手と言いましょうか…」

 将一の質問に女神は答えと過去の例を口にする。


 「…それで神様の影響で運命がおかしくなって私は死んでしまったということですか」

 「そうなります、石田さんには申し訳ないことをいたしました。本来なら影響を出してしまった神が謝らなければならないことですが…当の神は他の神に詰問されて、すでに処置を待つ身になっていまして」

 「処置?」

 将一は当の本人?(神)が謝りに来ない理由に聞き返す。


 「私達神は地上に大きな影響を出してしまう、ゆえに手を出すことをやめ見守る選択を取りました。しかし彼の神は逸脱し手を出してしまい、その結果石田さんが死ぬ事となりました。

 今後このようなことが起きぬよう、戒めるためにも既に沙汰が下っています。他の神たちにより神格を剥奪され、次第に体が維持ができず消滅となるでしょう。

 既に石田さんという犠牲者が出ており手遅れではありますが…そういうことですので今はどこぞで処置待ちしてるかと。なので本人が謝りに来れず、私が代わりにこうして対応させていただいております」

 「はあ…」


 責任取らされ神の座を…存在が消えると聞き、既に対応済みなのだとわかるとこちらから何か言うことも思い浮かばなかった。

 正直未だに頭の中が落ち着かない所為もあるのか、怒りという感情がどうにも希薄だ。本来なら殺人だと怒るべきところなのだろうが、相手が神様というのもあって腕をどう振り上げればいいのかにさえ迷う。


 自分が死ぬ事になった犯人が分かって、既に判決も下っているのならそれでもういいかなぁと困惑しながらも納得する将一だった。



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