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挨拶

 そして翌朝。

 足音が近づき、ドアの前に立ち止まる気配がして太郎は立ち上がった。


 ノックの音がして、太郎が「どうぞ」と答えると、ドアが開き木戸が姿を現した。

「起きていたか? ふむ、結構」

 太郎は木戸にむかって「お早うございます」と挨拶して一礼する。例によって、一分の隙もない召し使いの服装をしている。


 夜明け前、太郎は目を覚まして洗顔をすませ、着替えをして木戸を待ち受けていたのである。部屋の窓にはようやく朝の日差しが差し込みはじめ、窓ガラスの桟をしらじらと染めている。


「これから屋敷内の召し使いたちと顔合わせをする。ついてこい」

 はい、と返事をすると太郎は立ち上がった。木戸はさっと背中を見せ歩き出す。廊下を歩き、階段をおりていき裏庭へ回るとそのまま厨房へと案内していった。


 真行寺家の厨房は、それだけでレストランが開けそうな大規模なものであった。巨大な業務用の冷蔵庫に、いくつものバーナーがならんだレンジ。流し台は三列もあり、複数のコックが同時に調理ができるようになっている。そこに屋敷内の召し使いたちが木戸の命令で集合していた。


 木戸と太郎が厨房に入っていくと、ずらりと勢ぞろいした召し使いたちは好奇の表情で太郎を見た。


 こんなに沢山の人間が働いていたのか……あらためて太郎は真行寺家という規模のおおきさにうたれていた。


「今日からこの屋敷で働くこととなった召し使い見習いの只野太郎だ!」

 木戸が宣言するように口を開くと、全員好意的な微笑をうかべ、ぱちぱちと拍手をして太郎を歓迎した。拍手をしているなかに、昨日夕食を持ってきてくれた幸司の顔もあった。幸司は太郎の顔を見て、にやりと笑った。


 木戸にうながされ、太郎は挨拶をした。


「よろしくお願いします。なにも判らないので、みなさんのご指導をたまわりたく思います」

 型どおりの挨拶に、みなうなずいている。たぶん、新しく入ってきた召し使いたちはみな同じことを口にするんだろうな、と太郎は考えていた。

テレビで「MASK」を観る。ジム・キャリーの出世作。しかしジム・キャリーはこういうアクの強い役になると生き生きするな。日本でいえば、竹中直人みたいなものか?

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